• ネガティブな感情に悩んでいませんか?ブログ「思考の余白」では、脳科学や心理学の知識をヒントに、小さな習慣で自分を好きになる思考法を発信しています。

    脳科学

    Vol.01 プロローグ : 思考の余白
    Vol.01 プロローグ : 思考の余白 1024 1024 HAKU

    ※このブログは、2025年2月から私が自分を変えようと必死に向き合っていた時期のリアルな行動記録です。 自己肯定感は高いのに超ネガティブ思考という矛盾を抱えたまま、過去を振り返り試行錯誤しているため、話が急に小学生の記憶に飛んだりすることもあります。それも一つのリアルとして、楽しんでいただけたら嬉しいです。


    「最近幸せそうな人を見ると、その幸せを壊したくなるんだよね」

    この話を初めて友人にしたのは、確か2月の、暗く寒い日だった。
    その日は仕事が休みだったにもかかわらず、夜明けから腹痛で目が覚めてしまうほど体調が悪かった。なんとか朝のルーティンをこなし、子供を学校に送り出した後、胃の辺りをさすりながら近所の内科へと向かった。

    胃腸炎と診断され、薬を処方されたが痛みは一向に治まらない。
    原因が分からず、ただひたすらに前日の行動を振り返っていた。食事が原因じゃなかったとしたら、精神的なものかもしれない。そう思い、この数ヶ月の自分を改めて客観的に振り返ってみると、夫や仕事、子育てなど、身の回りのあらゆることに常にイライラしていたことに気づいた。


    毎日怒りに支配され、それを発散する何かを探している状態だった私は、自分自身に意識を向ける余裕なんて1ミリもなかった。

    そんな中、突然の激しい腹痛で、誰かの助けを借りなければいけないほど心細い状態になってしまった。ソファに横になりながら何となくLINEの友だちリストを眺め、子供がいない空間でゆっくり喋りたくて、一番仲の良い友人に電話をしていた。

    2時間ほど話しただろうか。会話の中で、私は冒頭の言葉を友人に言った。すると、彼女は静かにこう言った。

    「それって、幸せじゃない人が思うことだよ。」

    例えるならば、胃の痛いところにプロレスラーからエルボーを食らった感覚だ。「え?どういうこと?それヤバくない?」と、笑いながら精一杯のツッコミを入れたが、内心ものすごいショックを受けた。なにせ、20年来の付き合いで、どんな時も私の幸せを心から願ってくれるような彼女が、わざわざ残してくれた大切な言葉だ。

    その言葉は、そのままの意味だとわかっていた。この強烈なパワーワードが胸に突き刺さり、窓から見える晴れた空が、一瞬にして土砂降りになりそうな雲の色に変わっていくように見えた。

    この話をブログに書いたのは、彼女を悪者にしたいからじゃない。
    むしろ「彼女は私のために悪者になってくれたのだ」と、今この文章を書きながら、自然と涙がこぼれてきた。


    過去の私は、自分自身を信じることができなかった。
    毎日身勝手な感情に振り回され、些細なことでイライラし、周囲の誰かに冷たく当たってばかりいた。原因は自分だとわかっているのに、問題に向き合いたくなくて毎晩のようにアルコールに逃げていた。その結果、自分でも手に負えないほど最低な状態に陥っていた。

    定期的に来る負の感情もあった。仕事も家族も周囲の全て、みんな嫌い。ライフル銃を抱えて、手当たり次第そこら中打ちまくる。怒りが暴走すると、そんな風に周りが敵だらけに見えてしまうのだ。その結果、さらに自己嫌悪を募らせ、自分の首を絞め続けていた。沼にどっぷりハマるというより、浸かった状態で周りの様子をみながら、自分がいつでも戦闘体制になれる準備をしているタチの悪い人間だった。


    最初、友人から言われた言葉の真意が理解できなかった。
    私は周囲から「HAKUはいつもちゃんとしているよね」「しっかりしてるわ」「大したもんだ」と言われて育ってきた。ネガティブな言葉をかけられた経験がなかったため、周りの暖かい目や肯定的な言葉から、何の疑いもなく自分は幸せな人間だと勘違いしていた。しかし、現実はそうではなかったようだ。

    もし「あなたの人生のターニングポイントは?」と聞かれたら….
    鬼の速さで林修さんのモノマネをして「この時でしょ!」と叫ぶだろう。

    彼女の一言をきっかけに、私は心の中で問いかけ始めた。
    「私にとって、本当の幸せって一体何なのだろうか。」

    私の思考や行動が動き始めたのは、まさにこの瞬間からだ。答えのない問題を解き続けるような、正解や出口のない場所にいる夢を見ているようだった。向かう先が全然わからなかったにもかかわらず、不思議と怖くはなかった。


    そこから、私の「幸せ探し」が始まった。
    数ヶ月間、進路に悩む高校生のように、自分に合うものは何かを探し続けた。脳科学、認知行動療法、人間心理に関する動画や本を読みあさって得た知識を、日々の生活で試した。学んだことをノートに書き写したり、小さな目標を立てて達成感を味わうトレーニングも行った。すぐには効果を感じられなかったけれど、継続するうちに、心の景色に少しずつ変化が現れ始めた。

    私はバカなのではなく無知であったことを理解し、自分を責めることをやめた。
    そして、運動が脳に良いことを知り、筋トレやランニングを始めた。
    さらに、ドーパミンの「光と闇」を知り、お酒との付き合い方や考え方を変えた。
    そして、早起きを習慣にして、朝のゴールデンタイムを学びの時間に充てた。

    この小さな行動の一つひとつが、結果として、私自身にとても大きな変化をもたらした。


    約一年間の行動を続けた結果、大切なことに気づいた。世間の基準ではなく、自分の心の声に耳を傾け、目標に向かって行動し、日々成長を感じること。この方法こそが、人を幸せにする唯一の道なのだとわかった。

    以前の私は、ネガティブな思考でいつも頭の中がパンク状態だった。しかし学びと実践を繰り返すうちに、少しずつそのモヤモヤが解消され、心に「思考の余白」が生まれてきた。

    その余白こそが、新しいアイデアが生まれたり、予期せぬ発見があったりする大切なスペースなのだ。だからこそ、「思考の余白」を持つことで、私たちはもっと広い視野で物事を捉えられるようになる。感情に無鉄砲に反応するのではなく、一呼吸置いて、より賢い選択をすることができるようになるのだ。


    このブログでは、昔の私のように「変わりたいのに変われない」と悩んでいたり、自信を持てずにいる人へ、私の実体験から見つけた「思考法」や「行動のヒント」をシェアしていきたい。

    脳科学に基づいた思考の整理術、幸せを感じられる小さな習慣、そしてモチベーションを継続する方法。これらの知識が、あなたの人生をデザインしていく上での、ガイドラインになれたら最高に嬉しい。

    いくつになっても遅くはない。 変われる方法は、たくさんあるから大丈夫。

    未来は、あなた次第でまだまだ広がっていく。その先に広がる世界は、きっと想像以上に素晴らしい。自分を信じるという軸に基づき、幸せを感じ続けられるような毎日を歩んでいくことができるだろう。その軸を裏付ける仕組みをこのブログで発信していく。ぜひ、これからのあなたの成長へと役立ててほしい。

    Vol.02 ホメオスタシスを突破!人生の目的を見つける「根源的欲求」の言語化
    Vol.02 ホメオスタシスを突破!人生の目的を見つける「根源的欲求」の言語化 1024 1024 HAKU

    「時間がない。」「疲れることは極力したくない。」
    そう思って、いつも新しい行動を避けて過ごしていた。

    好きなYouTubeやNetflixは寝る時間を削ってまでも観るのに、運動や何かを学ぶことに対しては、暇なくせにその時間を一切使いたくなかった。なぜなら、以前の私には目的や目標がないくせに、仕事に行って帰るだけで毎日精一杯だったからだ。

    何か新しいことを始めたいと思うことは、何度もあった。しかし、それは子供の習いごとを増やすとか、ママ友との交流を深めるとかいうことではない。むしろ、これ以上仕事と子供のことで自分の人生を忙しくするのではなく、もっと自分のために忙しくしたいと強く願っていた。だが、その「何か」がわからず、ずっと満たされないまま過ごしていた。

    そんな時、ジョージ・レナード氏の本『達人のサイエンス』を手にした。この本で、私の行動を阻んでいた正体が、ホメオスタシスという現状を維持しようとする性質だと知ったのだ。これがあるから私たちは変わることができず、行動できないのだと理解した。

    脳科学が示す抵抗:ホメオスタシスの正体

    目的や目標がないから変われないし、変わらない。
    そう思った私は、次に別の本を手に取った。それは、マイクロソフト Wordの開発者による『やりたいことの見つけ方。』だった。この本には、人生の目的を見つけるための7つの質問が記されていた。特に最後の7つ目の質問には、時間をかけて向き合った。

    「7.君は何をしたいと思っている?どうなっていたいと思っている?」
    この問いに対する私の答えは、ノートに書き出した以下のことだった。

    • 筋トレを続けて健康的な身体を保ちたい
    • ランニングで距離を伸ばしたい
    • 毎日自分の成長を感じたい
    • 自分が楽しめることをしたい
    • 自分のためになる勉強をしたい
    • 人に頼られたい
    • 気の合う仲間を増やしたい
    • 初めての体験を増やしたい

    これらの願望は、全て「現状の私を変えたい」という強い内発的なエネルギーを秘めていた。つまり、ホメオスタシスという脳の抵抗に打ち勝つには、このエネルギーを論理的に言語化する必要があったのだ。

    ホメオスタシスは、私たちを生存させるための重要な機能だが、同時に成長を阻む最大の壁となる。これは、慣れた場所にいる心地よさから抜け出させない、脳の安全装置のようなものだ。

    この壁を乗り越えるには、「現状維持以上の強烈な報酬」が必要になる。例えるなら、脳を説得するための「最高のご褒美」を用意するようなものだ。そのため、脳に明確な「目標」という名の報酬を設定し、ドーパミンシステムを活性化させることが、行動経済学的な習慣化の基本となる。目的が曖昧だと、脳は「無駄なエネルギーを使うな」と判断し、ソファから立ち上がることさえ拒否してしまう。この「立ち上がれない」という体の反応こそが、脳からの「目的が不明確です!」という警告サインだったのだ。

    人生の目的を見つける問いと根源的欲求

    これらの答えを「根源的な欲求」「システム」「手段」の3つのカテゴリーに分けて整理した。何度も出てくる欲求だけを、ノートの次のページに抜き出して書き出す。そうすると、そこに書き出されたものこそが、自分の真の欲求そのものだと気づく。

    私の根源的な欲求から分かった人生の目的は、「自分の知識や体験を通して、たくさんの人の悩みを解決したい。そして今後も自己成長を感じられるような学びを増やし、行動し続けていきたい」ということだった。

    この目的が見えたのが2025年6月、朝の勉強を始めて2ヶ月が経った頃だ。
    当初、ブログを作るという考えはなかった。しかし、目的が明確になったことで、少しずつ頭の中で「自分の行動を通して、誰かに伝える」という具体的なイメージが浮かび上がってきた。その結果、7月中にそのアウトプットの構成を考え、8月中にブログをスタートさせることを決めた。

    目的が明確になると、脳は目標達成に必要な情報を自動的に選び出すようになる。これは、「目標」という名のフィルターを脳に装着した状態だ。ホメオスタシスによる現状維持の抵抗よりも、目標達成の報酬(ドーパミン)の魅力が上回るため、行動がスムーズになるのだ。

    行動変革の実現:目的がもたらす力

    ホメオスタシスという抵抗に打ち勝つには、その先にある「明確な目的」が必要なのだとこの経験から学んだ。目の前の行動が、自分の人生の目的にどう繋がっていくかが見えると、自然と身体は動き出す。

    それは、誰かに言われたからやるということではない。まさしく、自分の内側から湧き上がる、根源的な欲求に基づいた行動だからこそ、続けられる。この気づきは、個人の成長だけでなく、何かに挑戦する人たちにとって、新たな道を開く力になるだろう。あなたの行動は、あなただけの「根源的な欲求」から生まれる、最もパワフルな力なのだから。

    「時間がない」という言い訳は、突き詰めれば「心からやりたい目的がない」という自己認識の不足が原因である。自分の心の声に耳を傾け、真の欲求を言語化することこそが、ホメオスタシスという名の壁を打ち破り、行動への扉を開く鍵なのだ。


    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。 これは、アメリカの哲学者ラルフ・ワルド・エマーソンが遺した言葉だ。

    「人生とは、意識的に創造されるべき芸術作品である。」

    あなたの人生は、受け身で流されるものではない。ホメオスタシスという名の抵抗は必ずある。しかし、あなたの目的意識という名の情熱こそが、その壁を打ち破り、人生を創造するための最強の力となる。目的が明確になれば、日々の小さな選択も意味ある一歩に変わり、無駄な時間が消え、あなた自身を豊かにしていくだろう。

    Vol.03 なぜ嫌いな人が頭から離れない?メタ認知で解くネガティブ感情の正体
    Vol.03 なぜ嫌いな人が頭から離れない?メタ認知で解くネガティブ感情の正体 1024 1024 HAKU

    嫌いな人ができると、まるで報われない片思いのように、毎日頭の中で繰り返し思い出しては、その人を呪っていた。何年か前に、この思考が自分の心を著しく疲弊させていることに気づいた。そこで、「もう絶対に嫌いな人は作らない!」と子供のように力強く心に決めた時期があった。

    そう思っていても、ママ友付き合いや職場等で「この人何か嫌な感じだな」と思う人は次から次へと湧き出てくる。そのたびに、昔大嫌いだった人たちまでカムバックして思い起こすことになった。朝起きては思い出し、寝る前も嫌いな顔が頭をよぎる。無意識に朝から晩までその人のことを考え続けていた。その結果、寝ても覚めても心の囚人のような状態が何度もあったのだ。

    誰かを嫌う感情が絶えずあり、日々を過ごしている。この状態は私だけなのだろうか。そのネガティブな感情は途切れることなく続き、まるで椅子取りゲームのように順番に私のことをイラつかせてくる。私だけがこんな日々を過ごしているのなら、正直怖い。なぜなら、ネガティブ感情は、私たちの生活の質を著しく低下させるからだ。

    ネガティブ感情の正体:サバンナ脳の仕組み

    ネガティブな感情は、なぜあるのだろうか。その問いに、以前の私なら「日本人は心配性の遺伝子が多く備わっているから?」と答えたかもしれない。しかし、その答えは、私に「不安や心配性は仕方ない」「そういう性格だから」という甘い結論を与えていた。結果として、「だからしょうがない」と問題解決から目をそらし、自分自身を決めつける思考に繋がっていたのだ。

    しかし、『ストレス脳』という本で、その考え方は間違っていると気づいた。そもそも私たちの脳は、大昔からほとんど変わっていない。脳の目的は、「生き延び、子孫を残すこと」だ。新しい行動をとると死んでしまうリスクがあり、危険から身を守るためにネガティブ感情が発生するようになっている。それゆえに、私たちは常に幸せな気分でいられるようには作られていないのだ。

    この事実に気づいた時、私は大きな衝撃を受けた。脳は感情を使って私たちを支配し、危険から守っている。なぜなら、私たちの脳が今でもサバンナで狩猟採集をして暮らしていると思っているからだ。昔と今、変わりすぎた時代に脳は追いついていない。だからこそ、おかしなことが起きている。まずは、この本質から、自分の脳を理解する必要がある。私たち人間の脳は4万年前から変わっていない。すべては、ここから始まる。加えて、このネガティブ感情の仕組みを理解することが、自己肯定感を高めるための第一歩になる。

    メタ認知の鍵:「人間とは何か」の歴史的探求

    脳や行動認知療法を学ぶ過程で、私は人間の本質について、まだ知らないことが多いと気づいた。実際、それがきっかけとなり、子供と図書館へ行った際に、人類の歴史をテーマにした、ベングト=エリック・エングホルム氏の『こどもサピエンス史:生命の始まりからAIまで』という本を見つけた。そこには、情報がない時代、試行錯誤を繰り返して生きてきた私たち人間の物語が綴られていた。ネアンデルタール人とサピエンスの戦いや、架空の物事を信じて大きな集団を作り、お金や科学といった概念を生み出し、文明を築き上げてきた歴史の流れが描かれていた。

    その一方で、科学が加速度的に進化する現代において、私たちは「何になりたいのか」「どうやってそれを実現するのか」を真剣に考えなければならない時代にきている。過去の歴史を知ることは、現代の複雑な社会で自分を見失わないためのメタ認知に不可欠だ。したがって、情報過多の中で思考の軸を保つには、「人間とは何か」という根源的な問いを理解する必要がある。

    幸福の循環:アウトプットの科学的効果と自己成長

    私がこのブログを始めたのも、その自己成長の一環だ。誰かに伝えるというアウトプットの場を持つことで、学んだ知識がより深く脳に定着し、自分の行動がより明確になった。さらに、その過程で、かつて自分が苦しんでいたのと同じように悩んでいる人がいるかもしれないと考えるようになったのだ。

    これは単なる経験則ではない。例えば、アメリカの心理学者、ヘンリー・ローディガー博士らが提唱した「テスト効果」は、情報をただ読むよりも、「思い出す(アウトプットする)行為自体」が、記憶を強化する現象であることを実証している。また、コロンビア大学の研究にある「生成効果」は、情報を自分の言葉で説明することで、記憶がより強固になることを示している。

    私は、自分の知識や経験を通して、そうした人たちの悩みを解決する手助けをしたい。そして何より、自己成長を続けながら、その輪を広げていきたいと強く願っている。ブログというアウトプットは、誰かの役に立ちながら、私自身の成長も加速させる、最も効率的な学習ツールとなった。

    誰かの役に立つことで、自分自身も満たされる。この幸福の循環こそが、私が今、ブログを続ける最強の理由(イシュー)だ。実際、この循環こそが、ネガティブ感情を打ち破る力となる。

    脳の進化と幸せへの道

    現代社会は情報過多で、何が正しいか見極めるのが難しい時代だ。だからこそ、自分の内側に目を向け、何が自分にとって本当に重要なのかを見つけることが不可欠なのだ。重要なのは、誰かの真似をすることではない。真に大切な行動は、あなた自身の根源的な欲求に基づき、内側から生まれてくる。この真理を忘れてはいけない。

    なぜなら、私たちはネガティブな感情から逃れられない。しかし、その感情が私たちの進化の過程で身を守るために生まれたものであると理解することは、自己を深く知る第一歩となる。そして、自分の脳を理解し、正しい知識と行動を組み合わせることで、私たちは困難な時代を生き抜く力を手に入れることができる。


    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。 古代ギリシアの哲学者ソクラテスが遺した言葉だ。

    「自分を知らない者は、自分の人生を生きることができない。」

    あなたのネガティブな感情の源を知り、行動を変えること。 それが、より豊かな人生への道なのだ。まずは、自分の脳の仕組みを理解するところからスタートしよう。

    Vol.06「怒りの遺伝」は嘘。BDNFとアンガーマネジメントで感情の連鎖を断つ
    Vol.06「怒りの遺伝」は嘘。BDNFとアンガーマネジメントで感情の連鎖を断つ 1024 1024 HAKU

    実家は5人家族なのだが、母以外は怒りのコントロールが苦手で、すぐに感情を爆発させる人間ばかりだった。私たちはそれを「遺伝だから」「血だから」と割り切り、直そうともしなかった。今でも、私以外の3人はこの考えのままだ。

    そんな環境の中、母は家族から理不尽なイライラをぶつけられても耐える人だった。姉から聞く話によると、感情のままに拳をテーブルに叩きつけるような父に対し、母は言い返すこともなかったようだ。子供の頃から私は、父が仕事のストレスを家の中で発散することや、それによって家族団欒の空気を壊していることに違和感は覚えず、「いつものことだ」と思っていた。

    そして、気づけば家族のその負の感情のバトンを、今は私自身がしっかり握っていた。その「怒りの役割」を今度は自分が担う側になっている。これは最悪な事実だ。

    習慣の呪い:「怒りの遺伝」の正体とBDNF

    脳科学や認知行動療法に関する本を読み進めるうちに、私は意外な真実を発見した。怒りやストレスといった感情は、「遺伝」ではなく、脳の習慣から生まれるというのだ。そして、特に運動にはストレスを抑える効果があり、怒りの暴走を防ぐという事実が判明した。

    アンデシュ・ハンセン氏の『運動脳』は、私の認識を大きく変えた。この本によると、脳の機能は生まれつきのものではない。後天的に変えていくことが可能だというのだ。運動によって、私たちは慢性的なストレスを感じにくくなる。ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を減らし、気分のムラやうつ状態を改善できる。

    さらに重要なのが、「BDNF(脳由来神経栄養因子)」というタンパク質だ。運動とBDNFの相乗効果は何年も前から注目されており、BDNFは脳の細胞を保護し、新しい細胞の成長を促す。神経細胞のつながりを強化し、細胞の老化を遅らせる効果がある。心拍数を上げる有酸素運動をすることで、このBDNFを大量に分泌させることができる。その結果、気分の落ち込みから自分を守り、うつ病を予防できるのだ。

    アンガーマネジメント:運動がくれる静かで力強い行動

    私はすぐにこの知識を、行動に移すことにした。怒りに支配される前に、怒りから逃げることを選んだのだ。家族に嫌な思いをさせたくない、職場の雰囲気を壊したくない。そして何よりも、これ以上自分で自分を嫌いたくなかった。

    私たち「イライラ組」には、運動習慣ゼロという共通点があった。その事実に気づいた瞬間、頭の中で点と点が繋がった。身体を動かさず、ただじっとしていたことが、怒りの暴走を許していた原因だったのかもしれないと腑に落ちたのだ。

    私は、多幸感をもたらすエンドルフィンと、BDNFを増やすランニングを掛け合わせ、少しずつ行動を重ねていった。ランニングを続けるうちに、走る行為そのものが、本当にストレスホルモンを抑えてくれるように感じた。嫌なことがあっても、走り終わった後は不思議と心が落ち着き、ネガティブな感情が薄れていくのだ。私はこの小さな感覚を大切にし、自らの脳を守るという強い意志を持つことにした。

    ニーチェの教え:遺伝の鎖を断ち切る自己決定

    この個人的な経験は、誰もが直面する課題にも応用できる。自分や周りの人々の行動や感情を、性格や相性のせいと片付けるのではなく、その根本にある脳の仕組みを理解することが重要だ。運動習慣がないことが、怒りやストレスの原因であるように、私たちの行動や感情は特定の習慣の欠如から生まれることが多い。

    ストレスを管理し、自己成長を促すための「運動」を実践できる習慣を身につけること。特に、ストレス解消に特化するなら、新しいスキルを学ぶよりも運動のほうが効果的だ。大切なのは、個人の遺伝や性格を責めることではない。健全な行動習慣を築けるような環境を、自分自身で整えることにある。

    結果、怒りから逃げるためのランニングは、私にとって単なる身体活動ではなかった。それは、長年抱え続けてきた「自分を信じられないこと」や、「遺伝だから」という諦めの思考から逃れるための、静かで力強い行動だった。

    私たちは、生まれ持った脳の構造を変えることはできない。しかし、その「脳の習慣」を知り、意識することで確実に変えていける。


    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。
    これは、ドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェが遺した言葉だ。

    「自己決定に際しては、他に誰もおらず、代わりの人間がいない、ということを考慮せよ。」

    遺伝や環境のせいだと諦めそうになったら、この言葉を思い出してほしい。私たちが自分を創るのは、与えられたものをどう使うか。その選択の連続なのだ。今日、あなたが何を学び、どう行動するか。その小さな決断こそが、運命の鎖を断ち切る、小さなきっかけとなり、大きな希望に変わる。

    vol.07 受動的な時間からの脱却:「内発的動機」で人生の主導権を握る
    vol.07 受動的な時間からの脱却:「内発的動機」で人生の主導権を握る 1024 1024 HAKU

    私には、年の離れた姉がいる。大学を卒業するまでの間、私の人生は姉が監修・仕切っていた。

    姉は、両親よりも私の進路に対して現実的で、影響力のある存在だった。やりたいことも夢もなかった私にとって、自分で道を切り開くより、姉の言う通りに進路をなぞる方が確実で安全だった。

    そして何より、そう選択する方が悩まずに済む、一番「楽」な方法だったのだ。

    大学に入るまではよかった。ドラえもん的存在から守られ、のび太のように特に努力せずに生きてこられた。しかし、大学3年生頃から周囲の様子が変わり始めていた。同じ年の子は就職活動のため、スーツ姿で授業を受けたり、キャンパスへ来たりしていたのだが、それに気づいても私は全く焦ることもなく、勉強した記憶がほとんどないほど遊び倒していた。

    結局、なんとなく時間は過ぎ、就職どころか「そもそも無事に卒業できるのか?」という切実な問題に直面した。4年の秋頃からやっと焦り始め、結果毎日卒論に追われることになった。

    家族依存と虚無感:外部のレールに乗った23年間

    そんな私を見ていても、姉は「就活どうするの?」とは言わなかった。それどころか私の家族は、私だけ過保護に育てながらも、当時最も重要だった人生の岐路(就職)には一切口出しをしないという、極めて矛盾したスタイルだった。

    父は末っ子の私をすごく可愛がっていたので、手元におきたかったのだろう。卒論が終わり、気だるそうにパソコンで求人サイトを検索する私を見て、「HAKUは就職しないで家にいたらいいんじゃないか」と父から言われた。「それはさすがにマズイだろう」と、逆にこっちがドン引きし、焦るきっかけになったのを今でも覚えている。専業主婦の母は、なぜだろう。就活には全く関与してこなかった。

    そんな中、祖父がICUに入るほど身体を悪くし、入院退院を繰り返していた。家族の話し合いの末、我が家で最期を過ごすことが決まり、祖父、両親、私、姉との五人暮らしが始まった。

    私は祖父が大好きで、幼い頃からとても懐いていた。夏休みに従兄弟が遊びに来ていても、祖父から一番愛されているのは私だと信じていた。小学生の頃、姉の前でわざと祖父に「お姉ちゃんと私、どっちが好き?」と聞くような性格の悪い妹だったのだが、姉に気を遣いながらも「HAKUが一番だなぁ」とビールを片手に照れながら言ってくれる祖父の姿が大好きだった。

    そんな祖父があと数ヶ月しか生きられないということを母から伝えられ、就活がさらにどうでも良いものとなり、考えることを完全にやめた。できる限り祖父の近くにいたかったのだ。同時に、祖父が家にいる限り、まだ自由が手に入るとさえ思っていた節があった。

    覚醒の瞬間:内発的衝動が人生の転機を作る

    姉としては、妹がこのまま何もしないのはまずいと思っていたのだろう。中途採用に有利になるようにと、IT系のスクールを探してくれた。もちろん私は行きたいわけではなかったのだが、面接で「卒業後は何をしていましたか?」と聞かれた場合、答えに窮してばつが悪いことはわかっていた。そのため、姉から提案された時はすんなり言うことを聞き、当然お金も出してもらった。だが、真剣に勉強していたかと言うと、全くしていなかったのは言うまでもない。

    祖父が他界したあとに、「この会社に入って仕事したい!」と強く惹かれる求人を1件見つけた。勤務場所は東京だ。受けるなら引っ越しせざるを得ない。実家暮らしで、社会に出て働いたこともない私には、想像もできない未来だった。

    「さて、どうする?」ここから私の人生は一変する。

    求人へ応募する前に、両親と姉を説得するという最大の難関が待っていた。「どうしてもここじゃなきゃ嫌だ、ここで働くためならなんだってやる!」と、その情熱を、履歴書ではなく、まず家族に訴えるところから就活を始めたのだった。

    今でも覚えている。心惹かれた瞬間の、心臓がバクバクする感覚を。生まれて初めて湧き上がった「内発的な衝動」が、私を「受動的なレール」から引きずり出した瞬間だった。

    私はこの時、「内発的動機」に突き動かされていたことを、歳を重ねて初めて理解した。行動してきた中で読んだ、沢山の本の知識を得て初めて、あの時の突き動かされるような衝動が何だったのか、今では明確に言語化できるようになった。

    ドーパミンの真実:受動的な時間は脳を殺す

    内発的動機とは、「やりたい」「面白い」「好き」という、自分の内側から生まれるやる気のことだ。外発的動機とは、「親や上司に褒められるから」といった外部からの働きかけによって湧き出てくるやる気のことである。

    学生時代まで、私は「外発的動機」でしか物事に取り組んでこなかった。やりたいこともなく、言われたことをその通りにする方が楽だったからだ。しかし、生まれて初めて、自分の中から湧き出て、溢れてとまらないほどやってみたい仕事を見つけた。

    結果的に内定をもらい、家族の協力のもと東京に引っ越せた。全てうまくいくような流れを作れたのは、自分から生まれた「内発的動機」が大きかったからだ。一番行きたい会社に就職が決まったことも嬉しかったが、それ以上に、姉の言うことよりも自分のしたいことを初めて優先できた体験が、ものすごく大きな付加価値となった。

    それまでの、家族のいうことを聞いているだけの状態は、本当の意味で生きていない受動的な時間だった。やりたいこともなく、大事な時間をただ溶かしていた頃は、身体は動かせているのに、脳は死んでいるような状態だったのではないだろうか。

    星 友啓氏の「全米トップ校が教える自己肯定感の育て方」という本には、成績や他人の評価、お金やステータスといった外発的報酬は内発的満足度とは対照的で、おまけの報酬にすぎないと書かれていた。これらは短期的には強いが、長期的に依存していると心身ともに悪影響を及ぼすそうだ。

    内発的動機による行動は、ドーパミンを内側から持続的に分泌させ、フロー状態(集中しているが時間が経つのを忘れる状態)を生み出す。一方、外発的動機は、ストレスホルモンであるコルチゾールを伴うため、疲弊しやすく、長続きしない。遊んでドーパミンは出ていたものの、すぐに消えてしまい持続しなかったことが、私が学生時代に感じた虚無感の正体であり、ドーパミンの枯渇だったと言える。

    行動変容の鍵:あなたのやる気は、外から?中から?

    もしやりたいことがわからない人や、今の状態が合っているかわからない人は、一度立ち止まって考えてみてほしい。その物事に対するやる気が、「内発的動機」か「外発的動機」かを見つめ直してみるといい。

    「親に言われたから」「世間体が良いから」といった外発的動機で動いている限り、あなたの人生の主導権は他人にある。

    親や周りにはちょっと理解されないかもしれないが、「これをやってる時が最高に楽しい!」という感情こそが、あなたの人生を動かす真の内発的動機となる。自己分析を通じて、様々な気づきを得るだろう。


    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。 アメリカの哲学者ラルフ・ワルド・エマーソンが遺した言葉だ。

    「最も大事なことは、自分の心の声に耳を傾け、その声に従って生きることだ。」

    あなたの内側から湧き出る「やりたいこと」は、一体何だろうか。その炎こそが、人生の困難を乗り越える確かなエネルギー源となるだろう。