• ネガティブな感情に悩んでいませんか?ブログ「思考の余白」では、脳科学や心理学の知識をヒントに、小さな習慣で自分を好きになる思考法を発信しています。

    vol.21 「睡眠負債」が招く感情の乱れ:自己受容を高める運動習慣

    vol.21 「睡眠負債」が招く感情の乱れ:自己受容を高める運動習慣 150 150 HAKU

    私自身、かつて慢性的な睡眠不足に陥っていた。
    運動習慣がなかった頃は、ベッドに入っても2〜3時間眠れず、夜中に何度も目が覚めるのが当たり前。子供が大きくなっても、風邪やアレルギーで、鼻が詰まったり咳き込む音に神経を尖らせてしまい、眠りたいのに眠れない日々が10年以上続いていた。

    夜中に目が覚めると、昼間の失敗が頭を占拠し、心臓の鼓動が耳元まで響く。 夢の中でさえ仕事に追われ、出口のない閉鎖空間を彷徨うような悪夢。そして、休まる暇もなく残酷に朝はやってくる。

    その結果、私の心は常に限界まで張り詰めていた。 今思えば、それが睡眠不足のせいなのか、生理前の揺らぎなのか、あるいはその両方だったのか。

    正体のわからないイライラに振り回され、些細なことで声を荒らげ、物に当たってしまう。そんな醜い自分を直視するのが怖くて、夜のお風呂で声を殺して泣くのが、当時の私の精一杯の浄化だった。子供に辛く当たり、感情の矛先をモノに向けてしまう自分。 そのすべてを自分の弱さのせいにしていたあの頃は、ただ涙を流すことしかできなかった。

    自己嫌悪からの脱却:睡眠不足と脳のゴミ

    そんな最悪な毎日から抜け出すため、私は脳科学の知識をつけ、お酒の回数を減らし、運動習慣を取り入れた。すると、ある変化が起きた。ぐっすり眠れるようになったのだ。夜中に目が覚める「中途覚醒」が減り、気づいたら朝だったという日が徐々に増えていった。

    以前は、子どもを寝かしつけた後、眠れないのでスマホや動画を見るのがルーティンだった。しかし、運動を始めてからは身体が疲れているせいか、一緒に寝落ちすることが増えた。今まで2〜3時間かかっていた入眠時間が、大幅に短縮されたのだ。

    ある日、子どもから「最近、朝いつも優しいね」と言われた。その言葉は、私に大きな喜びを与えると同時に、深い罪悪感も与えた。自分が眠れていないことで、周りにどれほどネガティブな影響を与えていたか、ハッとさせられたのだ。今まで感情をぶつけてきたことを思い出し、胸が締め付けられる思いだった。

    脳科学が示す真実:睡眠負債が引き起こす認知機能の低下

    なぜ、私は自分をコントロールできなかったのだろう?その答えを、脳科学から学んだ。

    加藤 俊徳氏の『脳の名医が教える自己肯定感』という本によると、7時間以上の睡眠が推奨されている。ジョンズ・ホプキンス大学の研究では、「6時間以下」の睡眠の人たちが、最も老廃物が脳に溜まっていたという。つまり、睡眠不足は脳の清掃不足を引き起こし、思考がゴミで溢れてしまうのだ。

    さらにオックスフォード大学の研究では、長期的な睡眠不足が脳を収縮させるという結果が出ている。そして、脳が収縮するとさらに睡眠の質が落ち、より脳が縮んでいくという悪循環に陥るらしい。

    この事実を知ったことで、私が感情をコントロールできず考え方を変えられなかったのは、意志の弱さの問題ではなく、頭の中がゴミで溢れ(睡眠不足やストレスによるネガティブ思考、ワーキングメモリの過負荷など)、脳のパフォーマンスが低下していることも原因であることがわかった。私はこのゴミの山を、少しずつ排除することを決意した。

    運動習慣と体温変化:睡眠の質がもたらす行動変容

    眠りに焦点を当て、脳のゴミを捨てて、余白を作り出すために意識と行動を変えていくことにした。眠れるようになると、朝の思考がクリアになり、穏やかな気持ちで一日を始められる。これは、単に気分が良いだけでなく、日中のパフォーマンスに直結する。睡眠という基本的な行動が、私の自己管理能力を飛躍的に高めてくれたのだ。

    運動と睡眠の質の研究から、定期的な有酸素運動が入眠をスムーズにする効果は実証済みだ。メカニズムの核心は、運動後の体温変化にある。運動で一度深部体温を上げると、その後、熱を放出しようとして体温が急激に下がる。この急降下が入眠を促すトリガーとなる。実際、運動習慣がある人は、寝付きにかかる時間が短くなるというデータは多数存在する。

    さらに、アメリカ国立睡眠財団が支援した研究では、定期的に運動を始めた不眠症患者は、そうでない患者に比べて「睡眠の質が改善した」と答えた割合が約65%も高かったというデータがあるのだ。

    自己受容への投資:行動変容の第一歩

    私たちは、外部の刺激や環境に反応するだけの存在ではない。
    自らの内側、特に脳の仕組みを理解することで、より良く生きるための戦略を立てることができる。感情の波に飲まれるのではなく、その原因と向き合い、根本から解決する。質の高い睡眠を確保することこそ、その戦略の土台となる。


    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。
    これは、古代ギリシアの哲学者ソクラテスが遺した言葉だ。

    「世界を動そうと思ったら、まず自分自身を動かせ。」

    睡眠という、まず自分が動かすべき土台を整えること。そして、運動という行動があなたの脳のゴミを清掃し、自己受容を高める。健康的な脳こそがあらゆる成長の基盤であり、どんな困難な状況にあっても冷静に思考し、最適な判断を下すための不可欠なツールとなるのだ。

      HAKU

      30代、地方在住。クリニック勤務。自己肯定感は高いのに超ネガティブ思考、という矛盾の中にいた。私の世界を変えたのは脳科学。「幸せは自分でつくれる」と確信した。ここに綴るのは自分を変えるべく向き合った2025年の行動記録。あなたの「思考の余白」になれば嬉しい。

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