• ネガティブな感情に悩んでいませんか?ブログ「思考の余白」では、脳科学や心理学の知識をヒントに、小さな習慣で自分を好きになる思考法を発信しています。

    心理学

    vol.43 モノより体験へ投資!幸福を持続させる贈り物の選び方
    vol.43 モノより体験へ投資!幸福を持続させる贈り物の選び方 HAKU

    毎年、母の日の直後にやってくる、私の母の誕生日。
    一昨年はスカート、昨年は日傘。今までは本人のリクエストに応じた「モノ」を贈っていたのだが、今年は違った。脳科学や心理学を学び、「物質的なモノは幸福をもたらさない」という科学的な知識を得ていたため、今年は例年以上に頭を悩ませることになった。

    母が喜びそうなものは何か、一生懸命考えた。
    モノではなく、行動、経験、旅行など、何を楽しめるか思考を巡らせた。

    その結果、母が昔よく「ものまね歌合戦」をテレビで見ていたことを思い出し、当時出ていた芸能人のイベントがないか検索した。その結果、「コロッケ&美川憲一のコンサート」が近隣で開催されることを知り、すぐに母にメールを送った。

    母は一人でコンサートに行くタイプではない。だからこそ、これは「母との思い出作り」という名目の、私自身の時間を投じる投資でもあった。当時のモノマネの詳細は覚えていないけれど、私は母の付き添いとして、会場へと足を運んだ。

    行動経済学の選択:モノではなく体験に投資する理由

    結果は、大成功だった。

    母の表情が緩んでいくのを隣で見届けて、この「記憶への投資」の正しさを確信した。 けれど、物語はそこでは終わらなかったのだ。

    驚くべきことに、私自身もまた、予想を遥かに上回る衝撃を受けることになったのである。

    本音を言うと、母への誕生日プレゼントなので私自身はそこまで楽しまなくても良いと思っていた。しかし、予想を上回るほどコンサートは楽しい体験となり、終わってからも色々考えるきっかけとなった。

    ポジティブ心理学が示すように、物質的なモノは購入直後に幸福度のピークを迎え、その後はすぐに慣れて価値が低下する。しかし、コンサートのような「体験への投資」は、記憶として残り、時間が経つほど価値が増していく。モノではなく時間を贈るという選択は、母の幸福を持続させるための最も賢い行動経済学的な判断だった。

    この経験は、「誰かのために行動する」ことが、結局は「自分の幸福度を高める」という、利他的な行為が自己肯定感に繋がるというポジティブ心理学の原則とも一致する。相手の喜びが、自分自身のセロトニン分泌を促した一つの証明だ。

    予期せぬ気づき:一流のエンタメが思考を変える

    会場でまず目を奪われたのは、満席のホールを埋め尽くした高齢者たちの、弾けるような笑い声と、一幕ごとにかける声援の力強さだった。

    日々のクリニック勤務で目にするのは、疾患や苦痛を抱えた患者さんたちの姿。その日常との強烈な対比によって、私は「健康」の真意を再定義することになった。健康とは、単に病気がないことではない。心から笑い、魂を震わせるエネルギーを持っていることなのかもしれない。

    次に感じたのは、コロッケ氏を知っているようで知らない私でも、爆笑するほど面白いネタを見たという感覚だった。実際のところ、人を笑わせるのは、怒らせるよりもずっと大変なはずだ。それなのに、昔のネタを知らない私を含め、会場のほぼ全員が笑っている。それは、彼らの芸が感情の本質に訴えかけているからだと感じた。一流のエンターテインメントは、世代や知識、時代さえも超えて人の心を動かす力を持っているのだ。

    そして、美川憲一氏がシャンソンの歌の合間に放ったこの一言が、私の胸の奥深く、最も熱い場所に突き刺さった。

    「死ぬほど生きなさい」

    その言葉は、棘よりも鋭く、心臓を直接揺さぶるほどの重みを持っていた。

    この時の私は、夜明け前から走り、誰にも言わずに学び、自分を信じるために必死で行動を積み上げている最中だった。何ヶ月もかけて「死ぬほど生きている」と言ってもいいほど、真剣になっていたからからこそ、この言葉が刺さったのだろう。母の隣で、涙をこぼそうになったが必死にこらえた。なぜかというと、私がこの頃何をしていたのかを、両親にはまだ伝えていなかったからだ。説明の出来ない涙は、流せない主義なのである。

    母のために選んだ場所で、自分の潜在意識が必要としていた「答え」に出会う。この予期せぬ覚醒が、私のこれからの行動に、さらなる強固な動機づけを与えてくれた。

    行動が先:メタ認知で無知を楽しむ習慣化

    この体験が教えてくれたのは、「行動」が先で、「気づき」は後からついてくるという習慣化の鉄則だ。未知の場所に自分からどんどん飛び込んでみる他ない。たとえ自分には関係ないと思っていた分野であっても、一流のものに触れることで、自己成長の扉は思いがけない方向から開かれる。

    自分から動くことはもちろん、時には「誰かの誘いに乗ってみる」のも一つの手だ。
    自分のフィルターだけでは選ばない場所に身を置くことで、思考の余白に新しい風が吹き込み、思いがけない発見がもたらされる。自分の殻に閉じこもらず、メタ認知によって「自分の知らない世界」を面白がること。その姿勢こそが、新しい自分への道を切り開く最高のスキルとなるだろう。


    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。
    ドイツの科学者・哲学者ヘルマン・フォン・ヘルムホルツが遺した言葉だ。

    「最も良い着想は、問題から離れ、気晴らしをしている時に、思いがけずやってくる。」

    母のために選んだ体験への投資は、結局、自分自身の人生を豊かにする決断の一部となった。
    効率ばかりを追い求める脳に、あえて「普段の自分なら選ばない選択」という投資をしてみよう。その先に、思いがけない発見があることだろう。

    vol.45 「アハ体験」を呼ぶ思考法:習慣化で人生の設計図を創る
    vol.45 「アハ体験」を呼ぶ思考法:習慣化で人生の設計図を創る HAKU

    目次


    私は今まで、「幸せになりたい」と本気で意識したことがなかったのかもしれない。

    なんとなく過ぎゆく日々。行きたくない仕事や、負担に感じる子供の学校行事。それらを乗り切るための「ご褒美」として週末のイベントを設定していた。あの頃は、楽しい予定を入れることだけに囚われ、その本質については考えることさえしていなかった。

    私にとっての幸せとは、大好きな友人たちと会って遊ぶことだと勘違いしていたのだ。確かに会えば楽しい。しかし、それが「真の幸せか?」という問いに対し、心は静かにNOを突きつけていた。

    この漠然とした違和感は、私の内面にある問題が引き起こしていた。

    自分を信じられず、怒りに支配され、新しい一歩を恐れる自分。
    そこから抜け出すために、私は貪るように本を読んだ。

    話題の人気本だけでは足りないことはわかっていた。
    興味のなかった分野、ありとあらゆるカテゴリーを片っ端から読み漁ってみた。かつて私の本棚に並んでいたのは「怒りの鎮め方」の本ばかりだったのだが、今は違う。脳科学、行動経済学、そして認知行動療法。自分の「行動」を責めるのではなく、その背景にある「脳の状態」をメタ認知する視点を得たとき、私の中に変化が訪れた。

    覚醒のメカニズム:アハ体験と思考の再構築

    「勉強して考え続ければいつか答えが出る」と、金森 重樹氏の『借金の底なしで死ぬまで知ったお金の味』という本に記されていた。思考は、ある一つのことを継続し、深掘りし続けた先に、突然の「解決」を連れてくる。

    「洞察(アハ体験)」とは、脳内の情報が一気に再編成され、解決策が突如として現れる現象だ。ノースウェスタン大学などの研究によれば、この「ひらめき」による解決は、論理的に一歩ずつ考えた場合よりも正答率が高いことが示されている。限界まで考え抜いたあとの「中断」が、脳内の再編成を促し、劇的な「覚醒」を呼び起こす。この「思考の再構築」こそが、解決への道を明るく照らす最短ルートとなるのだ。

    幸せの設計図:内発的動機による習慣化

    脳科学、認知行動療法、哲学、人間についての本を、これほど集中的に読んだ経験はない。

    点と線がつながり、ようやく一つの設計図が見えてきた。
    自分を信じる技術、目的の定め方、習慣化の作り方、脳に支配されない生き方が。

    それらをうまく自分に取り込むことで、常に幸せな状態を作り出そうと今も動き続けている。

    この「覚醒」は、決して特別な才能ではない。なりたい自分になるために、あるいは技術を習得するために、極限まで熱意を持って調べ尽くし、考え抜く。報酬がなくても、観客がいなくても、歩みを止められない「内発的動機」こそが、習慣化の最強の燃料となっていたのである。

    行動変容の第一歩:考える努力を止めない哲学

    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。
    アメリカの実業家・思想家であるヘンリー・フォードが遺した言葉だ。

    「考えるのをやめた時、人は老いる。」

    答えが出なくても、考え続けるその努力こそが、あなたの脳を活性化し、人生に新たな「覚醒」をもたらすはずだ。

    あなたの「今」の行動は、無意識に集めた知識を繋ぎ合わせ、人生の設計図を完成させる。
    今日から意識的に思考する習慣を日常のルーティンに取り入れよう。その継続こそが、未来の新しい自分を創り出す、力強い源泉となるのだから。

    vol.48 「褒める力」で自己承認を築く:ミラーニューロンによる成長戦略
    vol.48 「褒める力」で自己承認を築く:ミラーニューロンによる成長戦略 HAKU

    八木 仁平氏の『世界一やさしい才能の見つけかた』という本に、「人よりうまくできることが才能なのではなく、無意識でついやってしまうことが才能」ということが書かれていた。もしそうであるならば、私にとっての才能は「人を褒めること」かもしれない。

    私は義務や計算で人を褒めることはない。ただ純粋に、心が動かされた瞬間に称賛を送りたくなってしまうのだ。これは子供に対しても、周囲の大人に対しても同じだ。

    いつしか「HAKUさんって褒めるのが上手ですよね」と言われるようになり、それが自分自身の「無意識の強み」であることに気づかされた。

    内なる承認:褒めたいが止まらない本質

    私の周りには、魅力的な人が溢れている。
    皆それぞれが、今の自分を変えようと静かに動き始めている。

    週6出勤に加え、自分磨き、おしゃれ、友人関係など、多忙を極める職場の年下のスタッフは、「行くのが面倒くさいんですよ〜」と言いつつ、定期的にジムに通っている。運動と読書習慣がなかった知人からは、私に影響されスクワットと読書を始めたと、飲みながら教えてもらった。地元の友人は、手軽なジムでランニングをしていたが、本格的なスポーツジムに入会し直し、トレーナーさんに教えてもらいながら筋トレを始めたという。

    褒めるという行為は、単なる行動ではなく、忙しい日常の中で自分のために、何かを楽しみながら続けているという背景にこそ、素直にリスペクトを感じているからだ。

    自分自身が一生懸命に生き、理想に向かって行動し続けていると、同じような熱量を持つ人が自然と引き寄せられる。逆に、現状への不満を抱えたまま立ち止まっている人は、他者の努力を素直に認められない。他者の輝きが「行動しない自分」を照らし出し、自己否定を突きつける鏡になってしまうからだ。他者を褒められるということは、それだけで自分がポジティブなループの中にいる証拠なのかもしれない。

    ストイックな私とミラーニューロンによる影響力

    私はよく「ストイック」だと言われるが、その基準を他人に押し付けることはない。なぜなら、努力の物差しは人それぞれであり、自分の中にしかないものだからだ。「やるならめちゃくちゃハードルを下げて、スクワットは1日1回を3日間続けるところからで、いいんじゃないですかね」とヘラヘラしながら、心理的な負荷を最大限に削ぎ落として伝えるようにしている。

    中野 信子氏の『世界の頭の良い人がやっていること』を読み、驚きの発見があった。それは、人を上手に褒めることが、頭の良い人の行動の一つだと書かれていたからだ。自分が世界の頭の良い人の中に入って嬉しいという事ではなく、この予期せぬ発見が、私の行動にさらなる動機付けを与えたのである。

    人を褒めることで、自分自身の脳のミラーニューロンが活性化する。他者の素晴らしい行動を認識し、称賛することで、自分自身の脳内でもそのポジティブな回路が強化され、次の行動へのモチベーションへと変換されるのだ。

    まずは自分自身を褒めることから始めよう。
    そうやって毎日、自分の良いところを見つけ、肯定していく習慣は、やがて「なりたい自分」を形作る確かな指針となる。そしてそれは、周囲の人々を惹きつける魅力へと磨き上げられていくのだ。

    実際、私が自分自身を信じられるよう日々行動を積み重ねるうちに、その効果は見た目や思考の鋭さとして表れ始めた。私が「良い」と感じたものや行動を周囲に伝えると、それを聞いた人々が、自ら「自分に出来ること」を自然に始めてくれていた。私の変化を間近で見ていた彼らは、言葉を超えた何かを受け取ってくれていたのかもしれない。

    褒める力の科学:自己承認の循環を創る

    人を心から褒めるためには、まず自分自身の価値を認め、目的を明確に持っている必要がある。これは脳科学やポジティブ心理学が示す、「自己承認の循環」そのものである。自分の変化を自分で認め、日々自分を褒めている人だけが、他者の微かな変化を察知し、光を当てることができる。

    他者の行動を「素晴らしい」と認識する行為は、脳のミラーニューロンを活性化させ、これにより褒めている自分自身の脳内でも、そのポジティブな行動(努力やクリエイティブな活動)の回路が強化され、次の行動へのモチベーションへと繋がる。つまり、褒めることは、自分の脳を成長させるための能動的な行為でもあるのだ。

    あなたの目的が定まり、動き出したとき、あなたは周りの人を素直に褒められるだろうか?
    もしそうであれば、それはあなたが自分の人生と努力を、心から認められている何よりの証拠となるだろう。

    ニーチェの哲学:自分への義務と他者への光

    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。
    ドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェが遺した言葉だ。

    「最も大事なことは、自分自身に課した義務を、どれだけ継続できるかである。」

    誰かを褒める前に、まず自分自身への義務(目標設定や行動)を果たし、その努力を認めてあげよう。あなた自身の成長という火が灯ってこそ、他人の良さを照らし出す「光」になれるからだ。

    自分の努力を認められる人は、他者の努力にも寄り添える。
    その相互承認の連鎖こそが、孤独な努力を「共に高め合う理想的な状態」へと変えていく。あなたの内なる努力は、誰かのためではない。けれどその結果として、あなたの日常は、称賛し合える豊かな人々で満たされていくことになるだろう。