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    vol.24 「すぐやる」習慣化:作業興奮を呼び起こす行動経済学

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    目次


    「勉強できる環境じゃないと、捗らない」 「すぐに痩せるわけじゃないなら、やる意味がない」

    完璧な環境が整わなければ、始める意味がない。かつての私は、そうやってやる前からとにかく諦めがちだった。言い訳という名の鎧を纏って、一歩も動けずにいたのだ。

    その理由は、ただ一つ。

    自分を信じていなかったから。 成功した未来の姿を、どうしてもイメージできなかった。

    ただそれだけで、私は自分の可能性に自ら蓋をし、一歩も動けずにいた。

    この考え方で、人生において何か一つでも良い事があっただろうか?

    行動したくない理由を山ほど抱えて、動けなくなっている自分を守るための鎧はあまりにも重すぎる。そんな自分の心と向き合い続けた結果、ようやく気づいたことがある。 準備万端だから始めるのではない。始めていくから、準備が整っていくのだ。

    すべては、行動できないための言い訳にすぎない。
    まずは、その事実に気づくことが大前提なのだ。


    「作業興奮」の仕組み:すぐやる脳が教えてくれた脳科学

    言い訳ばかりしている中で、ある本を読んだ。菅原 道仁氏の『すぐやる脳』という本だ。

    この本で、私は「作業興奮」という言葉に出会った。これは「やる気がなくても、やり始めれば次第にやる気が高まってくる」という脳の仕組みのことだ。具体的には、側坐核(そくざかく)という脳の部位が刺激されることで起こる現象だ。やる気を迎えにいくつもりで、まずは小さな一歩を踏み出すことが大切なのだという。

    ランニングを始めたときは、特に準備らしい準備はしなかった。家にある無地のTシャツと短パン、そして持っている靴の中で一番走りやすそうなスニーカー。「何事も最初が肝心」というけれど、その考え方が行動を妨げるなら、最初は肝心じゃなくてもいい。そのくらいフラットに、ハードルを極限まで下げて始めることこそが、本当の意味で最初の一歩なのだ。

    今までは、新しいことを始めるために、完璧なウェアやシューズを買い揃えることに全力を尽くし、準備が整うのをひたすら待っていた。

    しかし、それは脳が巧妙に仕掛けた「ホメオスタシス(現状維持機能)」という名の言い訳にすぎなかったのだ。

    完璧な準備という甘い誘惑は、行動を先延ばしにするための最大の罠なのである。 私はようやく、そのカラクリを悟った。

    行動経済学の真実:時間は「資産」である

    あれこれ考えている時間が、とにかくもったいない。時間は資産だ。考えているだけで行動できなくなるような思考を、そもそも作る必要なんてない。

    準備しすぎなかったおかげで、私はすぐに走り出すことができた。
    そして走り続けるうちに「この靴の方が脚に良さそう」「汗を吸収するサラッとしたTシャツが欲しい」と、今の自分に必要なものがだんだん見えてきた。

    これは、行動経済学でいう「プロスペクト理論」の応用とも言える。完璧な準備で得られる「利益」よりも、早く始めなかったことによる「損失の回避(時間を失う損失)」に焦点を当てた結果だ。

    大切なのは、自分が動けなくなる状態を、自分自身で作り出さないことだ。頭でっかちになり、考えれば考えるほど行動できなくなる状態は避けよう。行動するまでの時間を最小限にすることが、何かを始める上で最も重要なこととなる。

    思考の余白をなくす習慣化戦略

    仕事を終え、疲れて帰ってきてソファに座り込んだ瞬間も、自分にとって危険な時間だった。この「区切りの合図」を「行動のスイッチ」に切り替える必要がある。帰宅後はすぐ運動、仕事がない日の朝はランニングといったように、行動の前に余計なことを考える余地を与えない。こうすることで、ダラダラする時間を作らないようにした。

    「あと30分、やっぱり1時間後にやろう」と考えても、時間が近づくほど実行したくなくなるのが人間の脳だ。思考を遮断するイメージで、筋トレやランニングなどの行動そのものを嫌だなと思ったらすぐにやる。脳内に「面倒くさい」が蔓延する前に、行動でネガティブ思考を食い止めるのだ。

    この戦略こそ、私の脳を「考えるモード(DMN)」から「実行モード」へ強制的に切り替える手段であった。


    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。
    ドイツの哲学者ニーチェが遺した言葉だ。

    「計画は実行しながら練り直せ。」

    完璧な計画を立ててから行動に移すのは、時間の無駄になるかもしれない。まず始めてみて、うまくいかないところは微調整しながら進めばいい。この柔軟な思考こそが、習慣化を成功させる鍵となる。

      HAKU

      30代、地方在住。クリニック勤務。自己肯定感は高いのに超ネガティブ思考、という矛盾の中にいた。私の世界を変えたのは脳科学。「幸せは自分でつくれる」と確信した。ここに綴るのは自分を変えるべく向き合った2025年の行動記録。あなたの「思考の余白」になれば嬉しい。

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