• ネガティブな感情に悩んでいませんか?ブログ「思考の余白」では、脳科学や心理学の知識をヒントに、小さな習慣で自分を好きになる思考法を発信しています。

    行動

    Vol.01 プロローグ : 思考の余白
    Vol.01 プロローグ : 思考の余白 1024 1024 HAKU

    ※このブログは、2025年2月から私が自分を変えようと必死に向き合っていた時期のリアルな行動記録です。 自己肯定感は高いのに超ネガティブ思考という矛盾を抱えたまま、過去を振り返り試行錯誤しているため、話が急に小学生の記憶に飛んだりすることもあります。それも一つのリアルとして、楽しんでいただけたら嬉しいです。


    「最近幸せそうな人を見ると、その幸せを壊したくなるんだよね」

    この話を初めて友人にしたのは、確か2月の、暗く寒い日だった。
    その日は仕事が休みだったにもかかわらず、夜明けから腹痛で目が覚めてしまうほど体調が悪かった。なんとか朝のルーティンをこなし、子供を学校に送り出した後、胃の辺りをさすりながら近所の内科へと向かった。

    胃腸炎と診断され、薬を処方されたが痛みは一向に治まらない。
    原因が分からず、ただひたすらに前日の行動を振り返っていた。食事が原因じゃなかったとしたら、精神的なものかもしれない。そう思い、この数ヶ月の自分を改めて客観的に振り返ってみると、夫や仕事、子育てなど、身の回りのあらゆることに常にイライラしていたことに気づいた。


    毎日怒りに支配され、それを発散する何かを探している状態だった私は、自分自身に意識を向ける余裕なんて1ミリもなかった。

    そんな中、突然の激しい腹痛で、誰かの助けを借りなければいけないほど心細い状態になってしまった。ソファに横になりながら何となくLINEの友だちリストを眺め、子供がいない空間でゆっくり喋りたくて、一番仲の良い友人に電話をしていた。

    2時間ほど話しただろうか。会話の中で、私は冒頭の言葉を友人に言った。すると、彼女は静かにこう言った。

    「それって、幸せじゃない人が思うことだよ。」

    例えるならば、胃の痛いところにプロレスラーからエルボーを食らった感覚だ。「え?どういうこと?それヤバくない?」と、笑いながら精一杯のツッコミを入れたが、内心ものすごいショックを受けた。なにせ、20年来の付き合いで、どんな時も私の幸せを心から願ってくれるような彼女が、わざわざ残してくれた大切な言葉だ。

    その言葉は、そのままの意味だとわかっていた。この強烈なパワーワードが胸に突き刺さり、窓から見える晴れた空が、一瞬にして土砂降りになりそうな雲の色に変わっていくように見えた。

    この話をブログに書いたのは、彼女を悪者にしたいからじゃない。
    むしろ「彼女は私のために悪者になってくれたのだ」と、今この文章を書きながら、自然と涙がこぼれてきた。


    過去の私は、自分自身を信じることができなかった。
    毎日身勝手な感情に振り回され、些細なことでイライラし、周囲の誰かに冷たく当たってばかりいた。原因は自分だとわかっているのに、問題に向き合いたくなくて毎晩のようにアルコールに逃げていた。その結果、自分でも手に負えないほど最低な状態に陥っていた。

    定期的に来る負の感情もあった。仕事も家族も周囲の全て、みんな嫌い。ライフル銃を抱えて、手当たり次第そこら中打ちまくる。怒りが暴走すると、そんな風に周りが敵だらけに見えてしまうのだ。その結果、さらに自己嫌悪を募らせ、自分の首を絞め続けていた。沼にどっぷりハマるというより、浸かった状態で周りの様子をみながら、自分がいつでも戦闘体制になれる準備をしているタチの悪い人間だった。


    最初、友人から言われた言葉の真意が理解できなかった。
    私は周囲から「HAKUはいつもちゃんとしているよね」「しっかりしてるわ」「大したもんだ」と言われて育ってきた。ネガティブな言葉をかけられた経験がなかったため、周りの暖かい目や肯定的な言葉から、何の疑いもなく自分は幸せな人間だと勘違いしていた。しかし、現実はそうではなかったようだ。

    もし「あなたの人生のターニングポイントは?」と聞かれたら….
    鬼の速さで林修さんのモノマネをして「この時でしょ!」と叫ぶだろう。

    彼女の一言をきっかけに、私は心の中で問いかけ始めた。
    「私にとって、本当の幸せって一体何なのだろうか。」

    私の思考や行動が動き始めたのは、まさにこの瞬間からだ。答えのない問題を解き続けるような、正解や出口のない場所にいる夢を見ているようだった。向かう先が全然わからなかったにもかかわらず、不思議と怖くはなかった。


    そこから、私の「幸せ探し」が始まった。
    数ヶ月間、進路に悩む高校生のように、自分に合うものは何かを探し続けた。脳科学、認知行動療法、人間心理に関する動画や本を読みあさって得た知識を、日々の生活で試した。学んだことをノートに書き写したり、小さな目標を立てて達成感を味わうトレーニングも行った。すぐには効果を感じられなかったけれど、継続するうちに、心の景色に少しずつ変化が現れ始めた。

    私はバカなのではなく無知であったことを理解し、自分を責めることをやめた。
    そして、運動が脳に良いことを知り、筋トレやランニングを始めた。
    さらに、ドーパミンの「光と闇」を知り、お酒との付き合い方や考え方を変えた。
    そして、早起きを習慣にして、朝のゴールデンタイムを学びの時間に充てた。

    この小さな行動の一つひとつが、結果として、私自身にとても大きな変化をもたらした。


    約一年間の行動を続けた結果、大切なことに気づいた。世間の基準ではなく、自分の心の声に耳を傾け、目標に向かって行動し、日々成長を感じること。この方法こそが、人を幸せにする唯一の道なのだとわかった。

    以前の私は、ネガティブな思考でいつも頭の中がパンク状態だった。しかし学びと実践を繰り返すうちに、少しずつそのモヤモヤが解消され、心に「思考の余白」が生まれてきた。

    その余白こそが、新しいアイデアが生まれたり、予期せぬ発見があったりする大切なスペースなのだ。だからこそ、「思考の余白」を持つことで、私たちはもっと広い視野で物事を捉えられるようになる。感情に無鉄砲に反応するのではなく、一呼吸置いて、より賢い選択をすることができるようになるのだ。


    このブログでは、昔の私のように「変わりたいのに変われない」と悩んでいたり、自信を持てずにいる人へ、私の実体験から見つけた「思考法」や「行動のヒント」をシェアしていきたい。

    脳科学に基づいた思考の整理術、幸せを感じられる小さな習慣、そしてモチベーションを継続する方法。これらの知識が、あなたの人生をデザインしていく上での、ガイドラインになれたら最高に嬉しい。

    いくつになっても遅くはない。 変われる方法は、たくさんあるから大丈夫。

    未来は、あなた次第でまだまだ広がっていく。その先に広がる世界は、きっと想像以上に素晴らしい。自分を信じるという軸に基づき、幸せを感じ続けられるような毎日を歩んでいくことができるだろう。その軸を裏付ける仕組みをこのブログで発信していく。ぜひ、これからのあなたの成長へと役立ててほしい。

    Vol.02 ホメオスタシスを突破!人生の目的を見つける「根源的欲求」の言語化
    Vol.02 ホメオスタシスを突破!人生の目的を見つける「根源的欲求」の言語化 1024 1024 HAKU

    「時間がない。」「疲れることは極力したくない。」
    そう思って、いつも新しい行動を避けて過ごしていた。

    好きなYouTubeやNetflixは寝る時間を削ってまでも観るのに、運動や何かを学ぶことに対しては、暇なくせにその時間を一切使いたくなかった。なぜなら、以前の私には目的や目標がないくせに、仕事に行って帰るだけで毎日精一杯だったからだ。

    何か新しいことを始めたいと思うことは、何度もあった。しかし、それは子供の習いごとを増やすとか、ママ友との交流を深めるとかいうことではない。むしろ、これ以上仕事と子供のことで自分の人生を忙しくするのではなく、もっと自分のために忙しくしたいと強く願っていた。だが、その「何か」がわからず、ずっと満たされないまま過ごしていた。

    そんな時、ジョージ・レナード氏の本『達人のサイエンス』を手にした。この本で、私の行動を阻んでいた正体が、ホメオスタシスという現状を維持しようとする性質だと知ったのだ。これがあるから私たちは変わることができず、行動できないのだと理解した。

    脳科学が示す抵抗:ホメオスタシスの正体

    目的や目標がないから変われないし、変わらない。
    そう思った私は、次に別の本を手に取った。それは、マイクロソフト Wordの開発者による『やりたいことの見つけ方。』だった。この本には、人生の目的を見つけるための7つの質問が記されていた。特に最後の7つ目の質問には、時間をかけて向き合った。

    「7.君は何をしたいと思っている?どうなっていたいと思っている?」
    この問いに対する私の答えは、ノートに書き出した以下のことだった。

    • 筋トレを続けて健康的な身体を保ちたい
    • ランニングで距離を伸ばしたい
    • 毎日自分の成長を感じたい
    • 自分が楽しめることをしたい
    • 自分のためになる勉強をしたい
    • 人に頼られたい
    • 気の合う仲間を増やしたい
    • 初めての体験を増やしたい

    これらの願望は、全て「現状の私を変えたい」という強い内発的なエネルギーを秘めていた。つまり、ホメオスタシスという脳の抵抗に打ち勝つには、このエネルギーを論理的に言語化する必要があったのだ。

    ホメオスタシスは、私たちを生存させるための重要な機能だが、同時に成長を阻む最大の壁となる。これは、慣れた場所にいる心地よさから抜け出させない、脳の安全装置のようなものだ。

    この壁を乗り越えるには、「現状維持以上の強烈な報酬」が必要になる。例えるなら、脳を説得するための「最高のご褒美」を用意するようなものだ。そのため、脳に明確な「目標」という名の報酬を設定し、ドーパミンシステムを活性化させることが、行動経済学的な習慣化の基本となる。目的が曖昧だと、脳は「無駄なエネルギーを使うな」と判断し、ソファから立ち上がることさえ拒否してしまう。この「立ち上がれない」という体の反応こそが、脳からの「目的が不明確です!」という警告サインだったのだ。

    人生の目的を見つける問いと根源的欲求

    これらの答えを「根源的な欲求」「システム」「手段」の3つのカテゴリーに分けて整理した。何度も出てくる欲求だけを、ノートの次のページに抜き出して書き出す。そうすると、そこに書き出されたものこそが、自分の真の欲求そのものだと気づく。

    私の根源的な欲求から分かった人生の目的は、「自分の知識や体験を通して、たくさんの人の悩みを解決したい。そして今後も自己成長を感じられるような学びを増やし、行動し続けていきたい」ということだった。

    この目的が見えたのが2025年6月、朝の勉強を始めて2ヶ月が経った頃だ。
    当初、ブログを作るという考えはなかった。しかし、目的が明確になったことで、少しずつ頭の中で「自分の行動を通して、誰かに伝える」という具体的なイメージが浮かび上がってきた。その結果、7月中にそのアウトプットの構成を考え、8月中にブログをスタートさせることを決めた。

    目的が明確になると、脳は目標達成に必要な情報を自動的に選び出すようになる。これは、「目標」という名のフィルターを脳に装着した状態だ。ホメオスタシスによる現状維持の抵抗よりも、目標達成の報酬(ドーパミン)の魅力が上回るため、行動がスムーズになるのだ。

    行動変革の実現:目的がもたらす力

    ホメオスタシスという抵抗に打ち勝つには、その先にある「明確な目的」が必要なのだとこの経験から学んだ。目の前の行動が、自分の人生の目的にどう繋がっていくかが見えると、自然と身体は動き出す。

    それは、誰かに言われたからやるということではない。まさしく、自分の内側から湧き上がる、根源的な欲求に基づいた行動だからこそ、続けられる。この気づきは、個人の成長だけでなく、何かに挑戦する人たちにとって、新たな道を開く力になるだろう。あなたの行動は、あなただけの「根源的な欲求」から生まれる、最もパワフルな力なのだから。

    「時間がない」という言い訳は、突き詰めれば「心からやりたい目的がない」という自己認識の不足が原因である。自分の心の声に耳を傾け、真の欲求を言語化することこそが、ホメオスタシスという名の壁を打ち破り、行動への扉を開く鍵なのだ。


    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。 これは、アメリカの哲学者ラルフ・ワルド・エマーソンが遺した言葉だ。

    「人生とは、意識的に創造されるべき芸術作品である。」

    あなたの人生は、受け身で流されるものではない。ホメオスタシスという名の抵抗は必ずある。しかし、あなたの目的意識という名の情熱こそが、その壁を打ち破り、人生を創造するための最強の力となる。目的が明確になれば、日々の小さな選択も意味ある一歩に変わり、無駄な時間が消え、あなた自身を豊かにしていくだろう。

    Vol.03 なぜ嫌いな人が頭から離れない?メタ認知で解くネガティブ感情の正体
    Vol.03 なぜ嫌いな人が頭から離れない?メタ認知で解くネガティブ感情の正体 1024 1024 HAKU

    嫌いな人ができると、まるで報われない片思いのように、毎日頭の中で繰り返し思い出しては、その人を呪っていた。何年か前に、この思考が自分の心を著しく疲弊させていることに気づいた。そこで、「もう絶対に嫌いな人は作らない!」と子供のように力強く心に決めた時期があった。

    そう思っていても、ママ友付き合いや職場等で「この人何か嫌な感じだな」と思う人は次から次へと湧き出てくる。そのたびに、昔大嫌いだった人たちまでカムバックして思い起こすことになった。朝起きては思い出し、寝る前も嫌いな顔が頭をよぎる。無意識に朝から晩までその人のことを考え続けていた。その結果、寝ても覚めても心の囚人のような状態が何度もあったのだ。

    誰かを嫌う感情が絶えずあり、日々を過ごしている。この状態は私だけなのだろうか。そのネガティブな感情は途切れることなく続き、まるで椅子取りゲームのように順番に私のことをイラつかせてくる。私だけがこんな日々を過ごしているのなら、正直怖い。なぜなら、ネガティブ感情は、私たちの生活の質を著しく低下させるからだ。

    ネガティブ感情の正体:サバンナ脳の仕組み

    ネガティブな感情は、なぜあるのだろうか。その問いに、以前の私なら「日本人は心配性の遺伝子が多く備わっているから?」と答えたかもしれない。しかし、その答えは、私に「不安や心配性は仕方ない」「そういう性格だから」という甘い結論を与えていた。結果として、「だからしょうがない」と問題解決から目をそらし、自分自身を決めつける思考に繋がっていたのだ。

    しかし、『ストレス脳』という本で、その考え方は間違っていると気づいた。そもそも私たちの脳は、大昔からほとんど変わっていない。脳の目的は、「生き延び、子孫を残すこと」だ。新しい行動をとると死んでしまうリスクがあり、危険から身を守るためにネガティブ感情が発生するようになっている。それゆえに、私たちは常に幸せな気分でいられるようには作られていないのだ。

    この事実に気づいた時、私は大きな衝撃を受けた。脳は感情を使って私たちを支配し、危険から守っている。なぜなら、私たちの脳が今でもサバンナで狩猟採集をして暮らしていると思っているからだ。昔と今、変わりすぎた時代に脳は追いついていない。だからこそ、おかしなことが起きている。まずは、この本質から、自分の脳を理解する必要がある。私たち人間の脳は4万年前から変わっていない。すべては、ここから始まる。加えて、このネガティブ感情の仕組みを理解することが、自己肯定感を高めるための第一歩になる。

    メタ認知の鍵:「人間とは何か」の歴史的探求

    脳や行動認知療法を学ぶ過程で、私は人間の本質について、まだ知らないことが多いと気づいた。実際、それがきっかけとなり、子供と図書館へ行った際に、人類の歴史をテーマにした、ベングト=エリック・エングホルム氏の『こどもサピエンス史:生命の始まりからAIまで』という本を見つけた。そこには、情報がない時代、試行錯誤を繰り返して生きてきた私たち人間の物語が綴られていた。ネアンデルタール人とサピエンスの戦いや、架空の物事を信じて大きな集団を作り、お金や科学といった概念を生み出し、文明を築き上げてきた歴史の流れが描かれていた。

    その一方で、科学が加速度的に進化する現代において、私たちは「何になりたいのか」「どうやってそれを実現するのか」を真剣に考えなければならない時代にきている。過去の歴史を知ることは、現代の複雑な社会で自分を見失わないためのメタ認知に不可欠だ。したがって、情報過多の中で思考の軸を保つには、「人間とは何か」という根源的な問いを理解する必要がある。

    幸福の循環:アウトプットの科学的効果と自己成長

    私がこのブログを始めたのも、その自己成長の一環だ。誰かに伝えるというアウトプットの場を持つことで、学んだ知識がより深く脳に定着し、自分の行動がより明確になった。さらに、その過程で、かつて自分が苦しんでいたのと同じように悩んでいる人がいるかもしれないと考えるようになったのだ。

    これは単なる経験則ではない。例えば、アメリカの心理学者、ヘンリー・ローディガー博士らが提唱した「テスト効果」は、情報をただ読むよりも、「思い出す(アウトプットする)行為自体」が、記憶を強化する現象であることを実証している。また、コロンビア大学の研究にある「生成効果」は、情報を自分の言葉で説明することで、記憶がより強固になることを示している。

    私は、自分の知識や経験を通して、そうした人たちの悩みを解決する手助けをしたい。そして何より、自己成長を続けながら、その輪を広げていきたいと強く願っている。ブログというアウトプットは、誰かの役に立ちながら、私自身の成長も加速させる、最も効率的な学習ツールとなった。

    誰かの役に立つことで、自分自身も満たされる。この幸福の循環こそが、私が今、ブログを続ける最強の理由(イシュー)だ。実際、この循環こそが、ネガティブ感情を打ち破る力となる。

    脳の進化と幸せへの道

    現代社会は情報過多で、何が正しいか見極めるのが難しい時代だ。だからこそ、自分の内側に目を向け、何が自分にとって本当に重要なのかを見つけることが不可欠なのだ。重要なのは、誰かの真似をすることではない。真に大切な行動は、あなた自身の根源的な欲求に基づき、内側から生まれてくる。この真理を忘れてはいけない。

    なぜなら、私たちはネガティブな感情から逃れられない。しかし、その感情が私たちの進化の過程で身を守るために生まれたものであると理解することは、自己を深く知る第一歩となる。そして、自分の脳を理解し、正しい知識と行動を組み合わせることで、私たちは困難な時代を生き抜く力を手に入れることができる。


    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。 古代ギリシアの哲学者ソクラテスが遺した言葉だ。

    「自分を知らない者は、自分の人生を生きることができない。」

    あなたのネガティブな感情の源を知り、行動を変えること。 それが、より豊かな人生への道なのだ。まずは、自分の脳の仕組みを理解するところからスタートしよう。

    Vol.04 ドーパミン依存から脱却する脳科学的アプローチ(1)
    Vol.04 ドーパミン依存から脱却する脳科学的アプローチ(1) 1024 1024 HAKU

    運動を始めたら、今度は脳の仕組みに夢中になった。
    アンデシュ・ハンセン氏の『運動脳』『ストレス脳』など、脳科学や神経科学の本を読み漁った。当時はまだ自分に自信が持てず、本の中に答えや救いを探していたからだ。

    過去のダメな自分を肯定したかったわけではない。

    「どうしてあんな状態だったのか?」「なぜあんな行動をとってしまったのか?」その根本的な理由を知りたかった。脳に操られ、目的もなく、毎日同じことの繰り返し。刺激を求めては、ネガティブな方向ばかり向いていた。そんなイライラしていた日々には、特別な理由があるのではないか。

    そう考え始めた頃だった。

    依存のメカニズム:「意志の弱さ」ではない脳の真実

    快楽の報酬を予測するドーパミンは、私たちを簡単に快楽の虜にするホルモンだ。
    食べること、お酒、ゲーム、買い物、ポルノ。これらの行動でドーパミンは簡単に分泌される。そして、それが繰り返されると、その快楽をまた味わいたいと感じ、何度も同じ行動を繰り返すように脳はプログラムされている。

    私の場合は、毎日のお酒によってドーパミンを分泌する神経回路網が、病的なまでに強固に構築されていることに気づいた。依存とは意志の弱さではなく、脳が過学習によって支配された状態なのだ。この制御不能な行動を、当時の私は「自分の意志が弱いせいだ」と思い込んでいた。しかし、それは単なる思い込みだった。この真実に気づくことこそが、長年の自己嫌悪から解放される鍵となった。

    負のスパイラル:報酬がストレスに変わる瞬間

    しかし、お酒を飲めば飲むほどストレスは増えていった。
    お酒を飲んだあとのデメリットが多すぎて、毎日最悪な気分だった。お酒を飲むとトイレの回数が増え、そのたびに睡眠が中断され、質の高い睡眠がとれない。寝不足はコルチゾール(ストレスホルモン)の分泌を促し、翌日のイライラに直結する。

    脳はお酒を「報酬」と記憶しているため、「ストレスを感じる→飲酒」という負のスパイラルを勝手に作り出す。意志の弱さではどうにもならない、脳の仕組みだったのだ。

    依存は、脳が報酬を過剰に学習し、その報酬がない状態を危険と認識することから始まる。お酒を飲んだ後のデメリット(寝不足、イライラ、後悔)を知っていてもやめられないのは、脳が「生存に必要な行動」だと誤って指令を出しているからだったのだ。

    解放の戦略:メタ認知による代替報酬への習慣化

    この仕組みを理解したことで、お酒という誤った報酬を、運動や学習という健全な報酬に代替すればいいとわかった。このメタ認知こそが、行動変革の第一歩となる。

    今ではたまに夫がお酒を買ってきて、冷蔵庫にストックしていても「私はいらない」とスルーできるようになった。この背景には、「脳に操られていた過去の私には戻りたくない」という強い気持ちがあるのはもちろんのことだ。

      運動や朝の学習が、まさにその代替報酬戦略であり、お酒よりも遥かに高いリターンをもたらしてくれた。

    自己肯定感の獲得:支配から自由へ

    過去の私は、意志の弱さを嘆き、自堕落な生活を何年も続けていた。

    しかし、脳の仕組みという論理を知ったことで、自己否定が自己肯定へと反転した。自分を責める必要はない。必要なのは、正しい知識と、脳を再教育するための行動だ。

    「自分はできないダメなやつだ」と諦めてしまうのはまだ早い。自分がとってしまうネガティブな行動に、まず疑問を持とう。これこそがまさにメタ認知のトレーニングとなる。

    (ドーパミン依存から脱却する脳科学的アプローチ(2)へ続く)

    Vol.05 ドーパミン依存から脱却する脳科学的アプローチ⑵
    Vol.05 ドーパミン依存から脱却する脳科学的アプローチ⑵ 1024 1024 HAKU

    前回のブログで触れたように、あの頃の私は、ストレス対策として毎日お酒に頼りきりだった。飲んでも満たされないのに、ただひたすらその繰り返し。現状維持をしているつもりもなかったが、気づかないうちに足元の地面は崩れ、そのまま沼に埋まりつつあるような状態だった。

    そんな中、茂木健一郎氏の『脳の話』で、ドーパミンの存在と仕組みについて、さらに深く理解することができた。

    ドーパミンには「光」と「闇」の側面がある。ドーパミンは、自己成長や達成感を感じられる「光」の側面を持つ一方で、人間の欲求を暴走させやすい「闇」の側面も持つホルモンなのだ。仕事や勉強で成果を出すのは難しいため、お酒やギャンブルといった「すぐ得られる快楽」に人間は流されやすい。これこそが、依存症の罠だ。

    依存のメカニズム:「意志の弱さ」ではない脳の真実

    気づけば私の周りの友人は、お酒でつながっている人ばかりだった。お酒を飲まない状態で会うことは、まずない。そのため、「お酒×美味しいご飯」、「お酒×会いたい人」というのは、私にとって人生の外せないキーワードだったのだ。

    この気づきを踏まえて、私はある本質的な問いに行き着いた。「自分を変えるには環境や付き合う人を変えるしかない」とよく言われているが、果たして本当にそうだろうか。お酒を完全にやめて、友だちと疎遠になり、その環境を自分が本当に求めているのかを考え直した。

    私は大好きな友人とお酒を飲みながら話したいことも、一緒に行きたいお店も沢山ある。お酒が人生の全てではないけれど、人生の楽しみになっている部分も多かった。だからこそ、依存を克服するためにすべてを断ち切るのは、根本的な解決策ではないと結論づけた。

    幸福の劣化を防ぐ:「制限」による代替報酬戦略

    仕事や勉強といった「すぐには結果が出ない、手間のかかる報酬」よりも、お酒といった「即効性のある報酬」を脳は優先的に得ようとする。この快楽を繰り返すことで、神経回路が強化され、自らの意志ではコントロールできない依存症の罠にハマるのだ。だが、お酒を完全に断つのではなく、ドーパミンの「光」の部分に焦点を当てることで、今より楽しめると知り、本で紹介されていたある方法を取り入れた。

    それは、ドーパミンがもたらす幸福感を劣化させずに長く楽しむために「制限する」ことだ。制限することで「楽しい」と感じる能力が復活し、幸福度や満足度がアップするという。

    そこで私は自分なりのルールを決めた。「お酒は週に2回まで」という、回数を制限しただけのシンプルなルールだ。週末に飲む約束やイベントがあると意識すると、平日は飲まなくても平気になった。使えるカードは週に2枚しかない。それをどう使うか。この「制限」という考え方一つで、行動が変わったのだ。

    支配からの解放:自己肯定感への習慣化 

    依存の原因は個人の意志の弱さにあるのではなく、脳の仕組みが関係している。そして、その仕組みを理解することで、私たちは自分をコントロールし、より良い選択ができるようになる。


    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。 これは、アメリカの哲学者ラルフ・ワルド・エマーソンが遺した言葉だ。

    「自分自身を信頼せよ。あなたの心の中にある、その聖域に頼るのだ。」

    「自分を変えたい。」そう思ったとき、まず自分の脳を知ることから始めてみよう。自分の行動を客観的に捉えることで、解決策は必ず見つかる。変われない自分を嫌わず、まず最初に、そんな自分に寄り添ってあげよう。

    Vol.06「怒りの遺伝」は嘘。BDNFとアンガーマネジメントで感情の連鎖を断つ
    Vol.06「怒りの遺伝」は嘘。BDNFとアンガーマネジメントで感情の連鎖を断つ 1024 1024 HAKU

    実家は5人家族なのだが、母以外は怒りのコントロールが苦手で、すぐに感情を爆発させる人間ばかりだった。私たちはそれを「遺伝だから」「血だから」と割り切り、直そうともしなかった。今でも、私以外の3人はこの考えのままだ。

    そんな環境の中、母は家族から理不尽なイライラをぶつけられても耐える人だった。姉から聞く話によると、感情のままに拳をテーブルに叩きつけるような父に対し、母は言い返すこともなかったようだ。子供の頃から私は、父が仕事のストレスを家の中で発散することや、それによって家族団欒の空気を壊していることに違和感は覚えず、「いつものことだ」と思っていた。

    そして、気づけば家族のその負の感情のバトンを、今は私自身がしっかり握っていた。その「怒りの役割」を今度は自分が担う側になっている。これは最悪な事実だ。

    習慣の呪い:「怒りの遺伝」の正体とBDNF

    脳科学や認知行動療法に関する本を読み進めるうちに、私は意外な真実を発見した。怒りやストレスといった感情は、「遺伝」ではなく、脳の習慣から生まれるというのだ。そして、特に運動にはストレスを抑える効果があり、怒りの暴走を防ぐという事実が判明した。

    アンデシュ・ハンセン氏の『運動脳』は、私の認識を大きく変えた。この本によると、脳の機能は生まれつきのものではない。後天的に変えていくことが可能だというのだ。運動によって、私たちは慢性的なストレスを感じにくくなる。ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を減らし、気分のムラやうつ状態を改善できる。

    さらに重要なのが、「BDNF(脳由来神経栄養因子)」というタンパク質だ。運動とBDNFの相乗効果は何年も前から注目されており、BDNFは脳の細胞を保護し、新しい細胞の成長を促す。神経細胞のつながりを強化し、細胞の老化を遅らせる効果がある。心拍数を上げる有酸素運動をすることで、このBDNFを大量に分泌させることができる。その結果、気分の落ち込みから自分を守り、うつ病を予防できるのだ。

    アンガーマネジメント:運動がくれる静かで力強い行動

    私はすぐにこの知識を、行動に移すことにした。怒りに支配される前に、怒りから逃げることを選んだのだ。家族に嫌な思いをさせたくない、職場の雰囲気を壊したくない。そして何よりも、これ以上自分で自分を嫌いたくなかった。

    私たち「イライラ組」には、運動習慣ゼロという共通点があった。その事実に気づいた瞬間、頭の中で点と点が繋がった。身体を動かさず、ただじっとしていたことが、怒りの暴走を許していた原因だったのかもしれないと腑に落ちたのだ。

    私は、多幸感をもたらすエンドルフィンと、BDNFを増やすランニングを掛け合わせ、少しずつ行動を重ねていった。ランニングを続けるうちに、走る行為そのものが、本当にストレスホルモンを抑えてくれるように感じた。嫌なことがあっても、走り終わった後は不思議と心が落ち着き、ネガティブな感情が薄れていくのだ。私はこの小さな感覚を大切にし、自らの脳を守るという強い意志を持つことにした。

    ニーチェの教え:遺伝の鎖を断ち切る自己決定

    この個人的な経験は、誰もが直面する課題にも応用できる。自分や周りの人々の行動や感情を、性格や相性のせいと片付けるのではなく、その根本にある脳の仕組みを理解することが重要だ。運動習慣がないことが、怒りやストレスの原因であるように、私たちの行動や感情は特定の習慣の欠如から生まれることが多い。

    ストレスを管理し、自己成長を促すための「運動」を実践できる習慣を身につけること。特に、ストレス解消に特化するなら、新しいスキルを学ぶよりも運動のほうが効果的だ。大切なのは、個人の遺伝や性格を責めることではない。健全な行動習慣を築けるような環境を、自分自身で整えることにある。

    結果、怒りから逃げるためのランニングは、私にとって単なる身体活動ではなかった。それは、長年抱え続けてきた「自分を信じられないこと」や、「遺伝だから」という諦めの思考から逃れるための、静かで力強い行動だった。

    私たちは、生まれ持った脳の構造を変えることはできない。しかし、その「脳の習慣」を知り、意識することで確実に変えていける。


    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。
    これは、ドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェが遺した言葉だ。

    「自己決定に際しては、他に誰もおらず、代わりの人間がいない、ということを考慮せよ。」

    遺伝や環境のせいだと諦めそうになったら、この言葉を思い出してほしい。私たちが自分を創るのは、与えられたものをどう使うか。その選択の連続なのだ。今日、あなたが何を学び、どう行動するか。その小さな決断こそが、運命の鎖を断ち切る、小さなきっかけとなり、大きな希望に変わる。

    vol.07 受動的な時間からの脱却:「内発的動機」で人生の主導権を握る
    vol.07 受動的な時間からの脱却:「内発的動機」で人生の主導権を握る 1024 1024 HAKU

    私には、年の離れた姉がいる。大学を卒業するまでの間、私の人生は姉が監修・仕切っていた。

    姉は、両親よりも私の進路に対して現実的で、影響力のある存在だった。やりたいことも夢もなかった私にとって、自分で道を切り開くより、姉の言う通りに進路をなぞる方が確実で安全だった。

    そして何より、そう選択する方が悩まずに済む、一番「楽」な方法だったのだ。

    大学に入るまではよかった。ドラえもん的存在から守られ、のび太のように特に努力せずに生きてこられた。しかし、大学3年生頃から周囲の様子が変わり始めていた。同じ年の子は就職活動のため、スーツ姿で授業を受けたり、キャンパスへ来たりしていたのだが、それに気づいても私は全く焦ることもなく、勉強した記憶がほとんどないほど遊び倒していた。

    結局、なんとなく時間は過ぎ、就職どころか「そもそも無事に卒業できるのか?」という切実な問題に直面した。4年の秋頃からやっと焦り始め、結果毎日卒論に追われることになった。

    家族依存と虚無感:外部のレールに乗った23年間

    そんな私を見ていても、姉は「就活どうするの?」とは言わなかった。それどころか私の家族は、私だけ過保護に育てながらも、当時最も重要だった人生の岐路(就職)には一切口出しをしないという、極めて矛盾したスタイルだった。

    父は末っ子の私をすごく可愛がっていたので、手元におきたかったのだろう。卒論が終わり、気だるそうにパソコンで求人サイトを検索する私を見て、「HAKUは就職しないで家にいたらいいんじゃないか」と父から言われた。「それはさすがにマズイだろう」と、逆にこっちがドン引きし、焦るきっかけになったのを今でも覚えている。専業主婦の母は、なぜだろう。就活には全く関与してこなかった。

    そんな中、祖父がICUに入るほど身体を悪くし、入院退院を繰り返していた。家族の話し合いの末、我が家で最期を過ごすことが決まり、祖父、両親、私、姉との五人暮らしが始まった。

    私は祖父が大好きで、幼い頃からとても懐いていた。夏休みに従兄弟が遊びに来ていても、祖父から一番愛されているのは私だと信じていた。小学生の頃、姉の前でわざと祖父に「お姉ちゃんと私、どっちが好き?」と聞くような性格の悪い妹だったのだが、姉に気を遣いながらも「HAKUが一番だなぁ」とビールを片手に照れながら言ってくれる祖父の姿が大好きだった。

    そんな祖父があと数ヶ月しか生きられないということを母から伝えられ、就活がさらにどうでも良いものとなり、考えることを完全にやめた。できる限り祖父の近くにいたかったのだ。同時に、祖父が家にいる限り、まだ自由が手に入るとさえ思っていた節があった。

    覚醒の瞬間:内発的衝動が人生の転機を作る

    姉としては、妹がこのまま何もしないのはまずいと思っていたのだろう。中途採用に有利になるようにと、IT系のスクールを探してくれた。もちろん私は行きたいわけではなかったのだが、面接で「卒業後は何をしていましたか?」と聞かれた場合、答えに窮してばつが悪いことはわかっていた。そのため、姉から提案された時はすんなり言うことを聞き、当然お金も出してもらった。だが、真剣に勉強していたかと言うと、全くしていなかったのは言うまでもない。

    祖父が他界したあとに、「この会社に入って仕事したい!」と強く惹かれる求人を1件見つけた。勤務場所は東京だ。受けるなら引っ越しせざるを得ない。実家暮らしで、社会に出て働いたこともない私には、想像もできない未来だった。

    「さて、どうする?」ここから私の人生は一変する。

    求人へ応募する前に、両親と姉を説得するという最大の難関が待っていた。「どうしてもここじゃなきゃ嫌だ、ここで働くためならなんだってやる!」と、その情熱を、履歴書ではなく、まず家族に訴えるところから就活を始めたのだった。

    今でも覚えている。心惹かれた瞬間の、心臓がバクバクする感覚を。生まれて初めて湧き上がった「内発的な衝動」が、私を「受動的なレール」から引きずり出した瞬間だった。

    私はこの時、「内発的動機」に突き動かされていたことを、歳を重ねて初めて理解した。行動してきた中で読んだ、沢山の本の知識を得て初めて、あの時の突き動かされるような衝動が何だったのか、今では明確に言語化できるようになった。

    ドーパミンの真実:受動的な時間は脳を殺す

    内発的動機とは、「やりたい」「面白い」「好き」という、自分の内側から生まれるやる気のことだ。外発的動機とは、「親や上司に褒められるから」といった外部からの働きかけによって湧き出てくるやる気のことである。

    学生時代まで、私は「外発的動機」でしか物事に取り組んでこなかった。やりたいこともなく、言われたことをその通りにする方が楽だったからだ。しかし、生まれて初めて、自分の中から湧き出て、溢れてとまらないほどやってみたい仕事を見つけた。

    結果的に内定をもらい、家族の協力のもと東京に引っ越せた。全てうまくいくような流れを作れたのは、自分から生まれた「内発的動機」が大きかったからだ。一番行きたい会社に就職が決まったことも嬉しかったが、それ以上に、姉の言うことよりも自分のしたいことを初めて優先できた体験が、ものすごく大きな付加価値となった。

    それまでの、家族のいうことを聞いているだけの状態は、本当の意味で生きていない受動的な時間だった。やりたいこともなく、大事な時間をただ溶かしていた頃は、身体は動かせているのに、脳は死んでいるような状態だったのではないだろうか。

    星 友啓氏の「全米トップ校が教える自己肯定感の育て方」という本には、成績や他人の評価、お金やステータスといった外発的報酬は内発的満足度とは対照的で、おまけの報酬にすぎないと書かれていた。これらは短期的には強いが、長期的に依存していると心身ともに悪影響を及ぼすそうだ。

    内発的動機による行動は、ドーパミンを内側から持続的に分泌させ、フロー状態(集中しているが時間が経つのを忘れる状態)を生み出す。一方、外発的動機は、ストレスホルモンであるコルチゾールを伴うため、疲弊しやすく、長続きしない。遊んでドーパミンは出ていたものの、すぐに消えてしまい持続しなかったことが、私が学生時代に感じた虚無感の正体であり、ドーパミンの枯渇だったと言える。

    行動変容の鍵:あなたのやる気は、外から?中から?

    もしやりたいことがわからない人や、今の状態が合っているかわからない人は、一度立ち止まって考えてみてほしい。その物事に対するやる気が、「内発的動機」か「外発的動機」かを見つめ直してみるといい。

    「親に言われたから」「世間体が良いから」といった外発的動機で動いている限り、あなたの人生の主導権は他人にある。

    親や周りにはちょっと理解されないかもしれないが、「これをやってる時が最高に楽しい!」という感情こそが、あなたの人生を動かす真の内発的動機となる。自己分析を通じて、様々な気づきを得るだろう。


    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。 アメリカの哲学者ラルフ・ワルド・エマーソンが遺した言葉だ。

    「最も大事なことは、自分の心の声に耳を傾け、その声に従って生きることだ。」

    あなたの内側から湧き出る「やりたいこと」は、一体何だろうか。その炎こそが、人生の困難を乗り越える確かなエネルギー源となるだろう。

    Vol.08 「幸せ」を掴む習慣化の鍵:ウェルビーイングをイシューにするメタ認知術
    Vol.08 「幸せ」を掴む習慣化の鍵:ウェルビーイングをイシューにするメタ認知術 1024 1024 HAKU

    子供を育てていると、「自分」という存在が希薄になる瞬間がある。

    自分が何をしたいのか分からなくなるのではない。日々の忙しさに追われすぎて、その問い自体を心の奥底に埋めてしまっていた状態だった。たとえ時間があったとしても、お酒やスマホに流されて、その問いに向き合うことを拒否する始末。あの頃の私には、問題に向き合うための余裕も、それを許す心の余白も全くなかったのだ。

    母としてではなく、「私」として使える考える時間が欲しかった。

    しかし、1人になる時間があって考えたとしても、結局自分の幸せが何かわからない。何を目的に生きるのかが見えていない間は、何をやっても面白いと感じられず、多くの時間と労力を無駄にしていた。

    ただ頑張るのではなく、どこを目的に、何から始めるかをその都度考えなければいけない。これは、何が大切かもわからなかった私が、唯一無意識のなかで作り出していた行動の鉄則だった。

    メタ認知が導く:「私」の人生の目的

    そんな学びの渦中に、私は二冊の重要な本に出会った。安宅 和人氏の『イシューからはじめよ』では、本当に取り組むべき課題を見極める力(イシュー)の重要性を知った。また、岡崎 かつひろ氏の『お金に困らない人が学んでいること』からは、知識はアウトプットすることで記憶効率が上がり、人に見られると行動が加速することを学んだ。

    ノートに書き写している最中、この二つの知識が結びつき、私はパッと手を止めた。

    「そのために何に取り組むべきなのか?」「今までのやり方と、これから私がすることは何が違うのか?」この二つの問いを深く、何度も繰り返し紙に書き出した。

    そして、今までのノートを読み返し、自分は何を求めて行動を続けていたのか、それが誰の役に立つのかを自問自答し続け、一つの結論にたどり着いたのだ。

    最高の課題(イシュー)の発見とウェルビーイング

    沢山の本を読み進めた結果、「人は、常に幸せな状態を求めている」という真理にたどり着いた。そして、この真実を誰よりも切実に必要とし、行動していた私は、自分の人生の究極のイシュー(取り組むべき課題)として設定したのだ。

    これは、まさに時代が求めるウェルビーイング的生き方と言える。ウェルビーイングという「幸せ」の定義は、単に一時的な喜びではない。心身ともに健康で、人間関係が良好であること。自分の人生に意味や目的を感じ、目標に向かって成長できる、といった持続的な状態を指す。

    私自身の行動と学びを共有することで、ネガティブな状態から抜け出し、ウェルビーイングという持続的な幸せを、他の人でも掴めると私は信じている。このブログは、その信念と全ての想いを込めて行動を発信していくための決意表明なのだ。

    幸福度ランキングが示す「イシュー設定」の必要性

    World Happiness Report(世界幸福度報告書)という調査がある。これは、GDP、健康寿命、社会的支援、自由度、寛大さ、そして腐敗の認識といった要素を考慮して幸福度を算出している。2025年の調査で、日本の幸福度ランキングは147カ国中55位。前年よりも4ランク下落している。さらに、G7の中では最下位だという。経済的に豊かで治安も安定している一方で、精神的な幸福度が低いという事実に、私は驚きを隠せなかった。

    私たちは今すぐにでも立ち止まって、自分自身の幸せについて真剣に考えるべき時なのだ。「イシューからはじめよ」という問いかけは、もはや個人的な成長目標ではなく、国民的な課題だと捉える方が賢明なのかもしれない。

    習慣化と行動:幸せを創造する鍵

    「自分は今、常に幸せな状態だ」と心から思える人が増えれば、この世界はより良くなるはず。

    そのために私はこのイシューを言葉にし、毎日行動し続けなければならないと感じている。それは、個人の幸福追求にとどまらず、より良い社会を創るための静かなる挑戦なのだ。そして、この方法は誰にでも始めることができる。


    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。 これは、精神科医ヴィクトール・フランクルが遺した言葉だ。

    「ただ願うだけではだめだ。行動し、その行動に意味を与えることこそが、幸せの鍵だ。」

    あなたの行動こそが、あなたの人生を定義する。その一歩に意味を見出し、幸せな状態でいられるよう行動し続けよう。あなたが今日得たこの知識は、もう誰にも奪えない。あなたの人生は、今、あなたがどんな行動をとるかという「日々の行動の積み重ね」で決まるのだ。

    vol.09「バカ」コンプレックスを「無知」で克服する自己肯定感の育て方
    vol.09「バカ」コンプレックスを「無知」で克服する自己肯定感の育て方 1024 1024 HAKU

    これまで私は、「自分は頭が悪い」というコンプレックスを抱えて生きてきた。
    幸いにも恵まれた環境で生きてこられたが、仕事で壁にぶつかるたびにその失敗を「私の能力のせいだ」と決めつけていた。だが、ある本を読んでその考えは大きく変わった。

    その本とは、いかにもなタイトルの一冊。橘 玲氏の『バカと無知』だ。内容は、バカの思考や行動を辛辣な言葉で書かれており、ページを開くたびにショックを受けながらも、どこか自分を重ねて読み進めていった。

    読んで気づいたのは、私はバカなのではなく、ただ「無知」だったかもしれないということだ。この発見が、私に大きな安堵をもたらした。かつての私は、自分がバカであることを知られるのが怖くて、本に書いてあるように、自分を必要以上に大きく見せようとしていた。小学生の頃から「HAKUは真面目な子」と周りに言われ続けたそのイメージを、崩さないよう必死に生きてきたのだ。しかし内側では自分の弱さを理解している、惨めな自分も存在していた。

    内面と外面のバランスを取るために、私は「学び」という選択を決めた。

    「バカ」と「無知」の境界線と自己肯定

    「失敗は悪いことではない」というマインドを、常に持ち続けた。
    うまくいかないことや、自分自身に嫌気がさすことはたくさんあったけれど、「失敗は成功への糧」と何度も心の中で繰り返した。なぜなら、知識や経験がないことは、決して恥ずかしいことではないからだ。

    知識が無いことを自覚し、そこから学ぼうとする行動こそが大切なのだ。その行動が、結果的に成長と幸せに繋がっていく。私は、今まで数えきれないほどの失敗を経験してきた。その都度、学び、成長しようと試みてきたからこそ、今の自分がいる。自分の強さとは、完璧さで測るのではなく、無知であることを認め、そこから学ぼうとする力にあるのだ。

    失敗を恐れない「成長マインドセット」への切り替え

    この考え方は、私の子供との関係にも影響を与えた。
    うまくいかないことがあっても、私は子供に、失敗は成功への糧であることを繰り返し教えた。すると、子供は「そっか」というような顔で失敗を受け止め、前向きな姿勢を見せるようになった。

    大人になっても、日々失敗する。かつての私もそうだった。

    うまくできないことを頭のせいにするのではなく、失敗を成功に繋がる糧だと思考を変える必要がある。この変化は、心理学でいう「成長マインドセット」に切り替わったことを意味する。知能は固定されたものではなく、努力で伸びると信じることで、失敗は「能力の証明」ではなく「学習の機会」となる。現実は見えている。その現実を変えるために、日々勉強をして知識を補充している。その結果、人生はより豊かになっていくことを知ったのだ。

    無知を楽しむ:行動と習慣化の連鎖

    無知な自分を認めたことで、私は人よりも多くの事を喜べるようになった。新しい知識を得るたびに、世界が広がるような感覚がある。それは、まるで分厚い霧が晴れて、目の前に広大な景色が広がるような体験だ。何かを新しく学ぶことは、いつでも、何度でも、私たちをワクワクさせてくれる。その小さな喜びこそが、行動を続けるための最大のエネルギーなのだ。

    この「学ぶ喜び」は、ドーパミンを分泌させ、次の学習行動を促す。さらに、ブログなどで学んだことをアウトプットする行為は、記憶の定着を強固にし、自己成長を加速させる。無知の領域を広げ、それを探求する行動の連鎖こそが、人生を豊かにする鍵となる。

    無知の知の肯定がもたらす人生の変革

    もしかしたら、あなたも自分を「バカ」だと決めつけていないだろうか?
    そうだとしたら、まずその考えを手放してみてほしい。あなたはただ、まだ知らないことが多いだけなのかもしれない。その無知を恥じるのではなく、むしろ探求すべき新領域として捉えてみてはどうだろうか。

    無知は決して悪いことじゃない。
    自分の無知を認め、学び続ける。そのシンプルな行動こそが、無限の可能性と自由を与えてくれる、人生の最高の財産なのだ。そして、その財産を増やすたびに、あなたはより多くの喜びと感動を味わうことになる。学びは、私たちに無限の可能性と自由を与えてくれることを再確認できた。


    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。
    これは、現代科学哲学者カール・ポパーが遺した言葉だ。

    「学べば学ぶほど、自分の無知を知る。」

    自分の「無知」を自覚すること。それこそが、コンプレックスを自信に変え、人生の舵を握るためのスタートラインだ。その探求心こそが、あなたの人生に無限の知識という光を与えてくれるだろう。

    vol.10 「ワーキングマザーの習慣化」現状維持の壁を破る短期集中の行動哲学
    vol.10 「ワーキングマザーの習慣化」現状維持の壁を破る短期集中の行動哲学 1024 1024 HAKU

    私は今、「ゼロ100思考」という自らの特性と向き合っている。
    産後、2つの資格(当時働いていた職場で活かせる植物系の資格と、今の仕事で使う医療系の資格)を取得したのだが、その過程は常に極端だった。

    「ゆっくりマイペースで勉強しよう」なんて考えは全くない。
    目標は最短での取得。取れないならやらない。取れないかもしれないなんて、そもそも考えない。やるからには必ず合格してみせる。そんな私を見て、夫がよく言うツッコミを思い出す。「また出たよ、ゼロ100思考!」。それでいい。ゼロだろうがヒャクだろうが、短期間で集中して挑まねば、資格取得は不可能なものだと私は理解できている。

    なぜ「短期」という言葉に、こんなに魂を燃やす必要があるのか?
    それは私のライフスタイルに密接に関わっている。

    ワーキングマザーとホメオスタシスの壁

    今は子育て中の身で、とにかく時間がない。
    子供が少し手を離れたかなと思っても、全くそんなことはない。

    子供が「怖い夢を見た」と夜中にグズグズしながら起きた時に、その理不尽な理由で起こされるのは毎回私で(夫は別室で寝ている。それを望んだのは私だが、腹が立つ)、学校で食べるお弁当を、朝早く起きて仕事に行く前に作るのも私なのだ(夫も学校の連絡アプリを入れているけど、お弁当の日さえ知らない)。

    色んな理由で起きる日々のタスクが多すぎて、自分のやりたいことを実行する為に使える時間が圧倒的に足りないのである。仕事で使える取得したいスキルという「正当な理由」があったとしても、自分の時間を増やすのは本当に難しい。

    おそらく、行動する前にホメオスタシスも全力で働いていたのだろう。

    そんな時、会ったこともない地獄の閻魔様に、こんな風に凄まれるのを想像してしまう。

    「では2ヶ月以内に資格を取得できるのであれば、勉強をスタートさせなさい。ただし仕事や家事、休日の家族とのお出かけも今まで通りやった上で、その隙間で時間を作れるのであればやってみなさい。あなたがやりたいことなので、家族を犠牲にしてまで時間を作ろうなどと思わないように。期間内に資格を取得できなければ…..あなたの舌を抜きますよ?」

    閻魔が舌を抜くなんて、あまりにも非現実的な妄想に「はい、承知いたしました…」とドキドキしながら、目を合わせず答える私がいる。完全に妄想の中での話なのだが、ある意味現実的でもある。

    とにかく時間がない中で、短期間で集中することが求められる。
    そしてその行動を、なぜやらなければいけないのか、家族に説明する必要も出てくる。「資格の勉強をしてくるから、図書館に行ってくる。これは仕事で使う大事な資格だから、勉強が終わるまで家には帰れない。その間、子供の世話と家のことよろしく」なんて、思っても口が裂けても言えない。あくまで私は「資格を取らせていただく側」なのだ(…なんで?)。

    少し前置きが長くなってしまったが、幸いにも資格は何とか期間内に無事に取り終えた。今回のこと以外にも、子育て中の親(特に母)にとって、「終わりよければ全て良し」としなければ、腑に落ちない問題が山ほどあるのだ。

    短期集中と最少行動量の科学的根拠

    そんな時期を終え、また波がやってきた。
    健康やメンタルに良いと、自己流で始めた運動や筋トレだ。資格取得とは種類が異なり、やった分だけ身になる分野の行動である。

    毎日どんなトレーニングが良くて、何が自分に合うのかを、得意の短期集中ルートで探し続けた。パーソナルに通っていたわけではないので、メニュー作りには一番苦労した。教科書のない問題を解くのは初めてだったので、何が正解か全くわからなかった。

    プロからすると、1ヶ月で効果が出るものなどないし、そもそもそんな考え方はやめた方がいいと言われるかもしれないが、こんな科学的データもある。

    早稲田大学などの研究でわかったのは、わずか40秒間だけでも、全力で動くトレーニングをすれば、全身の筋肉が大きく活動し、十分な効果を生む「最少の時間」があるということだ(出典)。また、筋トレ初心者は、筋肉が刺激に慣れていない分、短期間で効果が出やすいことも知られている。私は独断と偏見を可能な限り使い、とにかくやってみた。

    その中で1週間で効果がでたものがあった。それは冨永愛さんのカエル脚腹筋だ。最初は辛かったが、数日で効果が出たのでモチベーションが上がり、毎日続けることができた。それ以外のトレーニングで1ヶ月間効果が出なかったものは切り捨て、ジムのトレーナーがお勧めするものなど、信憑性のある人の発信で本当に効きそうなものだけを試し続けた。

    自分だけの最短ルートメニューを作り、毎月メニューの見直しと更新を行い続けた結果、3ヶ月で友人や家族から「痩せたね」と言われるほど、ボディラインが変わっていた。

    成長マインドセット:失敗を恐れない軌道修正

    牛尾 剛氏の『世界一流エンジニアの思考法』という本には、「検討するより早く失敗した方がいい」と書かれている。挑戦→失敗→振り返り→修正。このサイクルが早いほど価値があるようだ。私も渦中はこの考え方だった。まず、身体機能的にこのトレーニングができるかどうか、試すところから始めた。身体の変化に出にくいものは切り捨て、何が悪かったのかフィードバックし、トレーニングメニューを修正する。

    安全を考慮しつつ、私は筋トレの内容を妥協せず、成果に繋がることだけをやりたかった。なぜなら、できるものだけを何となく続けるのは意味がないと思っていたからだ。

    ちなみに参考にしなかったのは、妊娠中の体重を含めたであろう「⚪︎ヶ月で20kg減量」という発信だ。出産経験がある私からすれば、妊娠前の体重ではなく、子供がお腹にいる状態の増加分まで含めた数字を基準として成果とするのは、フェアではない。そうした信憑性に欠ける発信は、意識的にシャットアウトしていた。

    何を考え、どれを参考にするかは人それぞれだが、正しい情報を選び、適度にフィードバックして修正していく。これも継続する上で必要な考え方だと私は思う。

    継続の本質:行動哲学と自己肯定感

    筋トレを習慣化する上で大切なのは、まず負荷をかけず行動すること。
    そして、どんなに小さくても身体の変化を見つけること。その繰り返しが、やがて確かな自信となる。できないものに執着しなくてもいい。自分で決めた期間内に効果がないなら手放してもいい。

    私の行動がすべて正解だとは思わないが、間違ったやり方を何ヶ月も続けるよりも潔いのではないだろうか。短期間で集中してやる資格取得のためではないので、間違っていたなと思ったらすぐに軌道修正ができるのが、筋トレを含め、体を動かす運動が持つ最大のメリットだと思う。


    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。
    これは、イギリスの自然科学者、チャールズ・ダーウィンが遺した言葉だ。

    「強いものが生き残るのではない。変化できるものが生き残るのだ。」

    このダーウィンの言葉こそ、あなたの短期集中・軌道修正の哲学を最もよく表している。変化を恐れず、常に実験を繰り返す行動が、人生の答えを導くのだ。積み重ねられた行動データこそが、誰にも奪われない自信となる。

    vol.11 「ホメオスタシス」を破る習慣化のスイッチとメタ認知術
    vol.11 「ホメオスタシス」を破る習慣化のスイッチとメタ認知術 150 150 HAKU

    「時間がない。」「疲れることは、極力したくない。」

    そう思って、いつも新しい行動を避けて過ごしていた。好きなYouTubeやNetflixは寝る時間を削ってまで観るのに、運動や何かを学ぶことに対しては、暇なくせにその時間を使いたくなかった。

    このエネルギーの偏りが、そのままお酒に流れていた。
    毎日お酒は飲めるけど、休肝日は1日も作れない。

    飲酒後の運動は非効率だと感じていたし、飲まない日を運動に充てる気もなかった。要するに、ゼロ100思考でドーパミンに操られていた過去の私は、何がなんでも運動を拒否していたのだった。そもそも仕事自体肉体労働だというのに、帰ってから身体を動かすなんて、そんな疲れるようなことを誰がやるんだよとさえ思っていた。

    しかし、勉強するうちに運動のメリットを痛感することが増えた。
    「自分を信じたい」という強い願いと同じくらい、運動が自分に多くの良い影響をもたらすことがわかっていた。だからこそ、とにかくやらなければいけないと心に強く思うように変わっていたのだ。

    では、実際にどう習慣化に成功したのか。ここからはその話をしよう。

    週に2回はお酒をOKとしていたため、ほとんど週末に飲み会の予定を入れていた。そのためカギとなったのは、飲む約束がほとんどない平日だ。仕事が終わって家に着いた瞬間が、私にとって一番危険な時間帯だった。あの瞬間は、まるで何かの区切りの合図のように、無意識にお酒を求めていた。この習慣的な「一息」をどう排除するかが勝負だった。

    習慣化の土台:筋トレとアルコールの非効率な組み合わせを避ける

    お酒は週2回まで。その代わり、残りの5日間は「飲まない日」と決めた。

    いつしか、仕事と筋トレをセットで考えるようになった。仕事がない日は朝のランニングをすることで、結果として、毎日何かしらの運動をこなすのが当たり前になっていた。ここで最も重要だったのは、筋トレの日にお酒を飲むことは絶対にしないと決めたことだ。

    実は、オーストラリアのRMIT大学の研究で、筋トレ後のアルコール摂取が、筋肉の合成(筋タンパク質合成)を最大で37%も抑制することが明らかになっている(出典)。プロテインを飲んだとしても、アルコールがその効果を大幅に妨げてしまうのだ。一方、ランニングの日はお酒を飲んでもOKというルールにした。このように、行動の組み合わせで非効率な結果を避けるように組み立てたのだ。

    行動経済学の応用:習慣化を成功させるスイッチと紐づけ

    仕事と筋トレを習慣化するために参考にしたのが、戸田 大介氏の『継続する技術』と、齋藤 孝氏の『本当に頭がいい人の思考習慣』という本だ。

    『継続する技術』で特に参考になったのは、「楽に動けるタイミングを知る」という点だった。人が最も行動しやすいのは、何か別の行動を起こす前か後だという。例えば、入浴の前に筋トレをする、起床後にランニングをするといった具合だ。

    すでに毎日行っている行動の前後に、新しく継続したいことを紐づけておくと、継続率が上がる。さらに、実行時間になったら通知が来るようリマインダーを設置するのが良いとされていた。

    私の場合、通知やリマインダーは特に設定しなかった。
    シンプルに「18時になったら筋トレをする」と決め、帰宅してから筋トレまでの10分間を準備時間とした。この時間にバナナを食べて水を飲み、インスタグラムで好きな筋トレ&ランニング女子のストーリーズを見ていた。頑張っている人を見て、勝手に勇気づけられる状態を作り、自分を盛り上げ続けた。

    そして、『本当に頭がいい人の思考習慣』では「自分がオン状態になれるスイッチを作る」と説かれていた。私は帰宅中に聴いている曲を、筋トレ中に聴くものへと変えた。家に着くまでの間に、徐々にやる気のスイッチを温めながら帰宅したのだ。その結果、「仕事 → 帰宅中の音楽 → バナナと水とSNS → 筋トレ」という流れを作り上げ継続することができた。

    意志力に頼らない:ホメオスタシスとメタ認知の活用

    新しい習慣を始めると、心の中で様々な声が聞こえてくる。
    「今日は疲れたからもういいや」「あー、面倒くさい」「明日頑張ろう」。

    そんなネガティブな思考は、実は脳が安定を求めて発している信号だ。脳は変化を嫌い、いつものパターンに留まろうとする。ここで大切なのが、その声に耳を傾けすぎないこと。「そういう風に考えている自分がいるな」と客観的に認識するだけでいい。

    そうすることで、感情に振り回されず、冷静に状況を判断できる。ホメオスタシスが働いている状態を、メタ認知することで楽になる。この思考法こそが、「意志力」だけに頼らない習慣化の鍵だ。

    結局のところ、根性論ではどうにもならないのが人間というわけだ。

    行動こそすべて:無駄な思考の余白をなくす戦略

    新しい習慣を邪魔するのは、ネガティブ思考が働く「暇な時間」だ。私はそのネガティブな時間が何分も何時間も続くタイプだったので、筋トレをサボりたくなるような暇な時間を、徹底的になくすよう心がけた。

    仕事が終わったら筋トレ、仕事がない日の朝はランニングといったように、行動の前に余計なことを考える余地を与えない。こうすることで、ダラダラする時間を遮断する。

    「あと30分後、1時間後にやろう」と考えても、時間が近づくほど実行したくなくなるのが人間の脳だ。思考を遮断するイメージで、嫌だなと思ったらすぐに行動に移す。脳内に「面倒くさい」が蔓延する前に、行動でネガティブ思考を食い止めるのだ。


    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。
    これは、哲学者ジャン=ポール・サルトルが遺した言葉だ。

    「人間とは、自分の行動の相である」

    あなたがどういう人間であるか、どんな人間になるかは、頭で考えていることや理想ではなく、あなたが意識的に「何をするか」という行動の総体によって決まる。つまり、「ランニングを習慣にしたい」と願うことではなく、「今、玄関のドアを開けて外に出る」という行動の選択こそが、未来の自分を形作るのだ。

    無駄な思考の余白を埋め、まずは行動でスイッチを入れよう。
    あなたの望む幸せは、いつだって、あなたの次の「一歩」にかかっている。

    vol.12 「現状維持バイアス」を破るリスキーシフトで自己成長を加速
    vol.12 「現状維持バイアス」を破るリスキーシフトで自己成長を加速 150 150 HAKU

    目次


    子どもが幼稚園に通い始めた頃。 自分の存在を、外の世界でも確立したいという欲求が、静かに、でも確実に膨らんでいた。キャリアの岐路で、私は正反対の2つの求人を天秤にかけ、数日間思考を巡らせていた。

    1つ目は、ファッションブランドの工場。家から車で5分。徒歩でも行ける距離にある大きな工場は安定的で、仕事内容も想像通りだった。

    もう1つは園芸店で、接客のほかに鉢植えなどの仕立てもあると書かれていた。仕事内容を見てピンとくるものはゼロという、ほぼ未知の世界の求人だった。さらに、通勤に片道40分かかる県外の職場で、興味はあったものの、比較するまでもないというのが最初の印象である。

    当時の私にとって、植物は「草、花、木」程度の認識だった。観葉植物という言葉さえ知らず、知識があるとかないの問題ではない状態だった。リスクしかないと思える未知への選択に、私の心はなぜ反応してしまったのか。この選択が、その後の思考と人生を大きく変えることになる。

    なぜ私はリスキーシフトを選んだのか

    結局、私が連絡を入れたのは園芸店の方だった。 面接を経て、私の新しい日常はそこから動き出した。

    数日間悩んだのだが、心の中では最初からこっちを選んでいた気がする。植物を買ったことも育てたこともなかったため、全くの無知の状態であったにもかかわらず、「知らないからこそやってみたい」という気持ちがとても強く湧いていた。そこから、植物についての猛勉強がスタートした。

    当時の私にとって、その選択はリスクでしかなかった。安定した近所の企業、想像の範囲内の仕事、そして何より通勤時間の短さ。これらの要素を捨てて、未知の世界に飛び込むことに迷いがなかったわけではない。夫には「職場は近くがいいよ」と言われていたし、義母からも「あの会社は長く働けるよ」と勧められていた。

    しかし、心の中で「知らないことを知りたい」という純粋な好奇心が迷いを打ち消していったのだ。自分の人生を、他者ではなく自分自身で切り開いていくという、解放的な感覚をその瞬間再び味わってしまった。この「知らないを楽しむ」という感覚は、行動経済学でいう「現状維持バイアス」を打ち破る最良の戦略だったと言える。

    神経可塑性:新しい挑戦が脳を強くする理由

    私たちの脳は、一度完成したら変わらないと考える人もいるが、実際は生涯にわたって変化し続ける能力を持っている。専門的には「神経可塑性(しんけいかそせい)」と呼ばれ、脳は柔軟に形を変え、新しい機能を獲得できるというのだ。

    特に新しい体験は、この脳の柔軟性を最大限に引き出す。新しいスキルを学ぶ、新しい場所を旅する、新しい人と出会うといった経験は、脳内で新たな神経回路を形成し、既存の回路を強化する。ハーバード大学の研究でも、好奇心が創造性や柔軟な思考力の向上につながることが示されている(出典)。知識がゼロの状態で新しい世界に飛び込み、猛勉強を始めたことは、結果として私の脳に新しい回路を構築し、人生を豊かにする柔軟な思考力を育んだ。

    自己成長を望むなら、脳に新しい刺激を与えることが不可欠なのだ。

    未知の楽しさとドーパミンの報酬

    ゲイリー・ジョン・ビショップ氏の『あなたはあなたの使っている言葉でできている』という本に「先がわからないから面白い」ことが記されており、今回のことを照らし合わせた結果その通りだと痛感している。人は安定を求めて、どうなるかわからないものを避け、いつも通りのものを選んでしまう癖がある。その結果、人生はつまらないものと思うようになるのだ。

    今だからこそわかる。あの時は、先が読めなかったからこそ、毎日とても楽しかった。わからなかったことが理解できるようになって、少しずつ世界が広がっていくような感覚があった。植物の幅広い内容と種類に「全ては覚えられない」と思うことはあったが、その困難な課題を乗り越えるための努力こそが、辛さではなく楽しさであったことを今でも覚えている。

    新しいことを学ぶことは、脳にとって最高の喜びだ。期待や発見があるたびにドーパミンが分泌され、モチベーションが上がり、さらに学びたいという欲求が湧いてくる。それ以来、私は無意識に「わからない事」を探し、「知らないを楽しむ」という行動を増やすようにしていった。

    これは、思考の余白をネガティブな感情ではなく、ポジティブな好奇心で満たすメタ認知の実践でもあった。

    自己成長と習慣化:困難な道から得る真の豊かさ

    この経験をもとに、「やったことがない」or「面倒なもの」であればあるほど、大きな経験を得られると考えた。「面倒な未知の経験」を選択したことで、大袈裟ではなく、本当に人生が豊かになっていった。

    もちろん、何を選択するかにもよるだろう。今回、私は植物を選んだことで、自然をより身近に感じることができ、心から好きになれた。都会では感じにくかった季節の移ろいを肌と目で感じられるようになり、自然と一緒に生きていると実感できるように変わった。

    困難な道を選ぶことは、一見遠回りに見えるかもしれない。 だが、その道のりには、予期せぬ出会いや発見が待っている。安定した道だけを進んでいたら、決して見ることのできなかった景色だ。そして、その経験は揺るぎない自信となり、次の挑戦への原動力となる。これは、仕事に限った話ではない。趣味や人間関係でも、新しいことに挑戦するたびに、私の世界は確実に広がっていった。ポジティブ心理学でいうところの、「フロー状態(時間の感覚を忘れるほど集中し、活動自体が喜びとなる精神状態)」に近い、充実した日々を送れるようになったのだ。

    メタ認知:視野を広げ、次の自分を創造する

    あなたが今いる場所で満足しているなら、それは素晴らしいことだ。だけどもし、少しでも「何かを変えたい」と思っているなら、一度立ち止まって、自分の心の奥底を覗いてみてほしい。

    「先がわからない」ことに、怖さを感じるかもしれない。でも、その怖さの先には、想像もしていなかった自分に出会う喜びが待っている。私たちは、知らないことややったことのないことに挑戦するたびに、新しい自分に生まれ変わる。それは、自分の脳を再プログラミングするようなものだ。


    最後に、私自身がこの挑戦と自己成長を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。

    これは、ドイツの哲学者、フリードリヒ・ニーチェの言葉だ。

    「世界には、きみ以外には誰も歩むことのできない唯一の道がある。その道はどこに行き着くのか、と問うてはならない。ひたすら進め。」

    このニーチェの言葉こそ、「先がわからないからこそ進む」というあなたの選択の哲学を最もよく表している。変化や困難を恐れず、誰にも真似できない行動を積み重ねること。それが、人生の答えを導くのだ。積み重ねられた行動データこそが、誰にも奪われない自信となる。

    自分の脳を意識し、刺激を増やしてみよう。


    vol.13 「ランナーズハイ(脳内麻薬)」で自己肯定感を上げる行動変容術
    vol.13 「ランナーズハイ(脳内麻薬)」で自己肯定感を上げる行動変容術 150 150 HAKU


    自分のことが信じられず、他人の幸せばかりが目に映る日々。

    そんな自分から脱却したくて、私は「即効性のある快楽」を脳科学に求めた。 それが、最強の脳内麻薬とも言われる「エンドルフィン」だ。

    このホルモンは「脳内麻薬」と呼ばれ、モルヒネに似た鎮痛作用と幸福感をもたらすという。とにかく時間がない。自分のことが嫌いな時間を減らしたいという一心で、手っ取り早く自分の脳内にエンドルフィンを分泌させたかったのだ。

    脳内麻薬:エンドルフィンを出すための多様な方法

    エンドルフィンを分泌させる方法は、運動や心の状態、食事など、いくつかあるらしい。脳関係の本でいくつか見たが、詳しく書いている本に出会えていなかったので、AIで調べたところ、以下のようなパターンがわかった。

    • 運動: ウォーキング、ジョギングなどの有酸素運動
    • 感情や心理状態: 大いに笑う、感動する、恋愛感情
    • 強い信念: 困難な状況でも「きっと大丈夫」と信じる
    • 食事や感覚: 甘いもの、スパイス、性行為
    • リラクゼーション: 深呼吸、入浴、瞑想

    ランナーズハイと苦手克服がもたらす成長

    エンドルフィンについて調べるうちに、私が最も心惹かれたのは「ランナーズハイ」という言葉だった。ちょうどそのタイミングで、母親の本棚に西東社編集部により出版された「人生を変える言葉2000」という本があり、その中に書かれていた、マラソンランナー高橋尚子さんの言葉に強く心を動かされたのだ。

    「明日のジョーのように、戦い終え、そのまま頭の中が真っ白になっていくほど走れたら本望なんです。」

    マラソンランナーとしての高橋尚子さんのことはあまり詳しくないため、どんな想いからこの言葉を言ったのかはわからない。それでも、この言葉から多量のエンドルフィンが分泌されているのかもしれないと、直感的に感じたのだ。

    友達と会ったり、音楽を聞いたり、甘いものを食べたりしても、それは一時的な幸せでしかなかった。私が求めていたのは、苦しいけれど、それを乗り越えることで成長を実感できる「何か」だった。それが、今まで経験したことのない「ランナーズハイ」になることかもしれないと感じた瞬間だった。

    ランニングが変えた、私の脳と心

    小学生の頃、マラソン大会はいつもビリに近い順位だった。呼吸が乱れ、心臓が破裂しそうなほどバクバクする上、口の中が血の味がし始めるのが嫌で嫌で仕方なかった。年に1度しかないイベントだったのだが、私にとって長く走り続けることは、生きている中で一番つらい運動でしかなかった。

    しかし、その苦手意識が強い分、克服できたらその成長は計り知れないとも思えた。死ぬほどやりたくないけど、走れる自分を見てみたい。できなかったことができるようになったら、どれほどの効果があるのか、試してみたかったのだ。

    4月からランニングを始め、2ヶ月後には2kmだった距離が、5kmまで走れるようになった。この変化は、体力だけではなかった。

    走り終える5km地点に近づく頃には、どんなに嫌なことがあっても「まあ、大したことじゃないか」と思えるようになっていた。ランニングを終え、クタクタの体でシャワーを浴びてコーヒーを飲むと、今までにはなかったポジティブなエネルギーが湧き出てくるのを感じられた。

    明らかに、脳内が良い方向に変わっていたと実感したのだ。

    行動変容の鍵:習慣化とポジティブな連鎖

    ランニングは、ただのつらい運動ではなかった。私の心をコントロールするためのツールだったのだ。走ることで、脳内にはポジティブな感情を生み出すホルモンが分泌される。体が動けば、心も自然と上向きになることがやっとわかった。

    私のように、エンドルフィンを出すための行動が、もしかしたら苦手なことかもしれない。しかし、やってみなければわからないことは、世の中には無限に存在する。やってみて、「やっぱり嫌」ならそれでいい。

    正解は一つじゃない。数学だって、解き方は色々ある。でもきっと、答えはあなたの中にしかない。いろんなことを試しながら、幸福感のホルモンを分泌させてみよう。


    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。
    古代ギリシアの哲学者アリストテレスが遺した言葉だ。

    「重要なのは何が与えられているかではなく、与えられているものをどう使うかだ。」

    私たちは、生まれつきの才能や環境に恵まれなくても、今持っているものをどう使うかで、新しい自分を創り出せる。ランニングが私にとってのツールだったように、あなたにもきっと何かが見つかるはず。大切なのは、「やってみる」という小さな一歩なのだから。

    自分の脳を意識し、刺激を増やしてみよう。

     

    vol.14 脳科学が証明する「偶然」を「必然」に変える方法
    vol.14 脳科学が証明する「偶然」を「必然」に変える方法 150 150 HAKU

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    私は高校生の時から、図書館という場所が大好きだった。あの頃は、試験勉強が主な目的だったけれど、放課後や休日に友人と会える、特別な場所でもあった。それが今では、子どもと一緒の空間だ。しかも、児童書コーナーのみ。大人の本が並ぶエリアには、縁がない日々が続いていた。

    そんなある日、子どもと児童書を読んでいた時、同じフロアにある雑誌コーナーで、Forbes JAPAN編集部の「フォーブス」に目が止まり、立ち止まった。その号のタイトルは「10代と問う、生きる、働く、学ぶ」。文字が少なく、とてもシンプルな表紙だったのだが、この3つのキーワードが気になり、手に取った。

    フォーブスは、アメリカ発祥の世界的な経済雑誌だ。ビジネスを動かす「人」にフォーカスし、そのサクセスストーリーや生き様が書かれており、読んですぐに夢中になった。どのページも情熱にあふれる人たちの話ばかりで、刺激を受ける1冊だった。

    さらに同じコーナーで、もう一冊気になる雑誌を見つけた。『THE21』編集部の「PHPビジネスThe21」だ。この頃からアプリ開発に興味があった私にとって、「AI仕事術」というタイトルは無視できなかった。ノウハウや活用法、AIを使いこなすためのおすすめツールなどが書かれていて、どちらの雑誌も内容が濃く、知的好奇心を満たしてくれるものだった。私は本のタイトルを覚え、家でじっくり読むために、「もう帰りたい」と嫌がる子供にお願いをして、その足で書店へ向かった。

    「カラーバス効果」が示す目標達成の世界

    この一連の行動から、私はあることに気づかされた。
    なにおれ氏の『ミニマリスト式 超人生戦略』という本に書かれていた「カラーバス効果」だ。これは、ある一つのことを意識すると、それに関する情報が無意識のうちに自分の手元に集まってくる現象らしい。

    「フォーブス」も「PHPビジネスThe21」も、私の脳が「これは自分にとって必要で、興味がある情報だ」と判断し、無意識に見つけたのだと思う。今まで一度も手に取ることのなかった雑誌に、吸い込まれるように惹かれていったこの体験は、まさにピタッとハマったという感覚であった。脳の持つ力は本当にすごい。この出来事を通して、自分の視野がぐっと広がった気がした。

    脳科学的裏付け:フィルタリング機能「RAS」の正体

    しかもこのカラーバス効果には、脳科学的な裏付けがある。
    私も最近になって知ったのだが、私たちの脳にはRAS(網様体賦活系)というフィルタリング機能があるのだ。

    私たちの脳は、毎日、膨大な量の情報を受け取っているらしいのだが、その全てを処理することはできない。そこでRASが「自分にとって重要ではない」と判断した情報をシャットアウトし、必要な情報だけをふるいにかけているというのだ。

    カラーバス効果は、このRASの働きを意識的に利用する行為となる。「アプリ開発に興味がある」「ブログを書きたい」と明確に意識することで、RASはそれらを「重要だ」と判断する。結果、普段なら見過ごしてしまう雑誌のタイトルや、ウェブ上の記事が自然と目に入ってくるようになる。

    つまり、あなたが素晴らしい情報やチャンスに出会うのは、単なる偶然ではない。あなたが自分の目標を明確にした結果、脳の仕組みを活用して引き寄せた必然なのだ。

    ポジティブ思考を促すメリット

    このRASの働きを意識して利用することには、以下のようなメリットがある。

    1. 集中力とパフォーマンスの向上:目標に意識を集中させることで、脳は不要な情報処理にエネルギーを浪費しなくなる。目の前のタスクに必要な情報だけに集中でき、生産性がアップする。
    2. ポジティブ思考の強化:自分の目標や好きなことに意識を向けることで、RASはポジティブな情報を集めやすくなる。これにより、自己効力感(自分ならできるという感覚)が高まり、モチベーションが維持されやすくなる。
    3. 思考の柔軟性と創造性の向上:意識的に多様な情報に注意を向けることは、脳に新しい刺激を与える。異なる分野の知識や経験が結びつき、新しいアイデアや問題解決策が生まれやすくなる。

    つまり、RASを意識することは、忙しい私たちにとって、人生を効率よく豊かにするための裏技とも言える。

    習慣化の本質:優秀さは行為ではない

    私たちは、自分の人生を自由に作れる。どんな情報を集め、どんな思考を持つかは、すべて自分自身で決められるのだ。このカラーバス効果を使いこなすことで、あなたは無意識のうちに、自分の理想とする未来に近づく。

    これは、単なる思考法ではない。
    最終的には、行動を続けるための習慣に繋がっていくだろう。


    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。
    これは、ドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェが遺した言葉だ。

    「今日なし得ることは、今日中にせよ。然らずんば明日もまた不可能なり。」

    大きな成功も、理想の自分も、日々の小さな習慣の積み重ねによって創られる。そして、「意識する」という行動の習慣こそが、カラーバス効果を最大限に引き出す鍵となる。今日から、あなたが本当に興味を持っていること、心から知りたいことを一つ、意識してみよう。

    vol.15 行動を加速させる「言語化」で習慣化を成功させる方法
    vol.15 行動を加速させる「言語化」で習慣化を成功させる方法 HAKU

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    職場のDr.から運動の必要性や、実行した結果のポジティブな効果について具体的に教わっていた。しかし、私は「へぇ、そうなんですね」と、どこか他人事のように聞き流すことを1年も続けてしまっていた。行動の必要性は頭では理解しているのに、何からすべきか分からない。その思考が、私をずっと立ち止まらせていた。

    そんな中、仕事中に行動を言語化することの重要性を痛感した出来事があった。それは、ふとした瞬間に職場のスタッフに「筋トレと有酸素運動の違いって何ですか?」と質問された時だった。頭の中にイメージはあったものの、論理的に言葉で説明できなかった。「筋トレは筋肉をつける運動で、有酸素は歩いたり走ったりする運動かな」と、普通すぎる答えしか返せなかった。

    この時の私は、すでに筋トレやランニングを始めていたにもかかわらず、これほど簡潔な回答さえできない自分が恥ずかしく思えた。

    質問に答えたものの、仕事を終え帰ってからも自分の中で腑に落ちないモヤモヤが残った。私は昔から人に説明することが大の苦手で、話した後に相手に伝わっていないことを察するたびに、自己嫌悪に陥るタイプの人間であることを思い出してしまった。

    そこで、帰宅後すぐにインターネットや本で筋トレと有酸素運動の違いに加え、それぞれのメリットを調べ、専門用語を避けて誰が見てもわかるよう手書きのメモにまとめ、それを翌日そっと彼女に渡したのだった。

    「なんとなく」を言語化する力

    この行動は、彼女のためだけではなく、私自身のためでもあった。

    ぼんやりしていた知識を、言葉にすることでハッキリと整理され、頭の中にちゃんと定着する感覚があった。つまり、誰かに教えるというアウトプットが、新しく知った情報というインプットを、もっとしっかり覚える手助けをしてくれたのだ。そして、この経験がきっかけで、私は運動や脳科学の学びをノートにまとめる習慣を始めた。これは、メタ認知(自分を客観視する力)を高めるのにも役立ったと思う。


    行動と知識の習慣化ループ

    「誰かに何か聞かれたときに、すぐに答えられるようになりたい。」

    この気づきが、私を動かす原動力になった。得意なことをただ頭で理解するだけでなく、人にわかりやすく説明できるほど深く知る。この決意が、私にとっての自己成長の大きな一歩になった。

    行動すると知識が増えて、知識が増えるとまた行動したくなる。
    この好循環が、私の脳内をどんどん変えていった。

    朝の時間を使い、本や動画で学んだ内容を、自分の言葉で表現する練習を繰り返した。この習慣のおかげで、考えがまとまり、仕組みを理解できるようになった。それから「自分は説明できる」という自信もついてきた。これは、認知行動療法の核となる「思考→行動→感情」の良いループが機能し始めた証と言えるだろう。


    言語化が自己成長と思考に開く道

    この経験から、私は確信した。言葉にする力は、コミュニケーション能力の向上だけではない。自分自身の考えを明確にし、自信に繋がるための強い力となる。「なんとなく」を言語化することで、行動の理由が明確になり、より建設的な選択が可能になる。そして、それが次の行動へと力強くつながっていくのだ。

    このブログは、私自身が学びを深めるための「アウトプットの場」でもある。
    自分の過去の経験や、そこから学んだことを言葉にすることで、私自身がもっと深く自分を理解し、成長を感じられるようになった。そして、その気づきを皆に伝えることで、同じように悩んでいる誰かの役に立てるとしたら、それに勝る喜びはない。


    あなたの成長を加速させるヒント

    もし、あなたの中に「なんとなく」とか「モヤモヤ」した気持ちがあるなら、それを言語化するところから始めることを勧めたい。ノートに書き出してもいいし、信頼できる誰かに話してみるのもいい。言葉にすることで、その「なんとなく」の正体が明らかになり、次の行動が驚くほど明確に見えてくるようになる。

    知識を得るだけでなく、それを誰かに伝えられるレベルまで深く理解すること。
    この意識を持つだけで、あなたの学びの質は格段に向上する。それは、あなたが自身の人生のあらゆる領域で、より良い判断を下すための、確かな指針となるはずだ。

    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。
    これは、ドイツの詩人・劇作家であるヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテが遺した言葉だ。

    「知識だけでは十分ではない。それを適用しなければならない。意欲だけでは不十分ではない。それを実行しなければならない。」

    行動を続けながら、言葉で「思考の余白」を埋めていくこと。
    それが、あなたの人生の意欲を実行へと変える前向きな習慣になっていく。あなたの成長は、あなたの行動、そして言語化の積み重ねの先にも必ず存在する。

    vol.16 「ネガティブ思考」は伝染する?人間関係の断捨離とメタ認知術
    vol.16 「ネガティブ思考」は伝染する?人間関係の断捨離とメタ認知術 HAKU

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    歳を重ねると、自虐的な発言や、人を小馬鹿にして笑いをとる人が増えているように思う。

    クリニックの受付では、会計を済ませずに帰ろうとする高齢者に「すみません、お会計がまだです。」と声をかけると、「ボケてきちゃって嫌ね」「頭が悪くてごめんなさいね」と返す人が多かった。検査室では、難聴の高齢者の付き添いの人が「この人耳がほとんど聞こえていないから、検査は適当でいいですよ」などと笑いながら言うこともあった。

    どちらのケースも愛想笑いにとどめ、基本はスルーと決めていた。

    正直に言うと、ボケてきた、頭が悪いなどと自分で言う人に対して「そんなことないですよ」と持ち上げるのも面倒であり(本人はそう言って欲しそうな顔をしているが)、難聴者の付き添いにまで気を遣うのは手間なので、そういった相手には極力時間をかけたくなかった。

    この頃から徐々に、「人のネガティブな感情を極力受け取りたくはない」という思いが強くなっていった。医療機関という特殊な場所柄もあるけれど、一見エネルギッシュに見える人であっても、ふとした瞬間にネガティブな本音が見え隠れする。

    そんな空気に包まれて仕事をする中で、私の心には次第にモヤモヤが溜まっていくようになった。

    脳の仕組み:ネガティブ思考の増殖

    思考の質は、人生の質を左右する。

    そう確信したのは、行動を続ける中で、私自身の過去と長く向き合ってきた経験があるからだ。以前はネガティブな考えに囚われ、自分を信じることができなかったのだが、脳の仕組みを理解することで、何とかそのループから抜け出すことができた。しかし、自分を変えるには内面だけでは不十分だと途中で悟った。なぜなら、周囲の環境が思考に与える影響の大きさを知ったからだ。

    佐藤 伝氏の『なぜかうまくいく人のひみつの習慣』によると、人間の脳は一日に約5000ものことを考えており、その約9割はネガティブな内容だという。プラス思考はわずか1割程度しかない。さらに、このマイナス思考には増殖していくという特徴があるらしい。

    しかし、良いニュースもある。プラスの言葉を口にすると、このマイナス思考の増殖をストップさせることができるというのだ。

    それを知ってから、私は仕事中に嫌な感情が湧いた時、「まぁまぁまぁ」「気にしない気にしない」「オッケーオッケー」とポジティブな言葉を繰り返し、小さな声で呟くようになった。一見、怪しい人に見えるかもしれないが、これが自分にとっては非常に効果的だった。感情に支配される前に、自分でコントロールする術を身につけたのだ。

    だが、そのコントロールがうまくいかないことも多々あった。その原因は、職場の同僚による日常的なネガティブな発言だった。

    ストレスを映し出す環境の危険性

    ある同僚は、スタッフルームに入ってきて早々、「疲れた」「眠い」と毎朝言うのが口癖だった。同じく子育て中の身なので、朝から大変なのは理解できる。しかし、まだ仕事も始まっていない状態で、毎日そのネガティブな言葉を聞くことが、私にとって非常に大きなストレスに感じるようになった。

    心理学の研究では、ネガティブな人との会話後、参加者のストレスホルモン(コルチゾール)のレベルが上昇したというデータが報告されている(参照)。これは、脳がその人物を「危険な存在」や「ストレス源」として認識し、自然と距離を置こうとする防衛反応だと考えられる。

    職場で唯一飲みに行くほどの仲だったからこそ、自分の都合で離れていくことに、どこか身勝手な申し訳なさを感じながらも、私は少しずつ彼女から距離を置くことにした。 自分の思考を守るためには、今、この物理的な距離が必要だと判断したのだ。

    人間関係の質と自己成長

    そんな時期に、エミチカ氏の『結局、「手ぶらで生きる女」がうまくいく モナコの大富豪に学んだ、自由に生きる57のヒント』という本を読んだ。そこで、人生を豊かに生きる上で大切なことを再確認した。それは「人間関係は、量より質を大事にする」という事だ。運やツキを掴みたければ、長く付き合いたいと感じる人とだけ全力で関係を築くこと。そして、どんな人と付き合いたいかのイメージを強く持つことが重要だという。周りの人の考えは、自分に映る鏡なのだ。

    どんな人と時間を共にするかによって、良くも悪くも自分自身が引っ張られてしまう。これは本当にその通りだと思う。「疲れた」「できない」「だって」「どうせ」といった思考で頭の中がいっぱいになっている人といると、こっちの気分まで落ち込む。自分が前向きに変わろうとしているタイミングなら、なおさら聞いていられない。

    冒頭で話した患者さんの件も同様だ。自分を下げて笑いを取ろうとする人や、人を小馬鹿にするような人たちとは、一線を引くべきだと感じた。

    断捨離の勇気:ストレス源からの解放

    加藤 俊徳氏の『なぜうまく行く人はひとり言が多いのか』という本にも、似たようなことが書かれていた。「ネガティブな独り言を言うと脳の働きが悪くなる。マイナスな言葉を呟いている友人や親からは距離をおいた方がいい」と。

    ネガティブな思考には、もう二度と引っ張られたくなかった。昔のように彼女と親しい関係を続けるのは難しいと感じ、この一年間プライベートな誘いをすることは一度もなかった。かつての楽しかった時間を思うと胸の奥がチクリと痛むけれど、 それは今の自分をキープするための、私なりの切実な決断でもあった。

    自分を変えるためには、行動だけでなく、環境を選ぶことも大切な選択の一つだ。人間関係も同様に、自分の人生にとって最適なものを選び抜くべきなのだ。自分の成長を阻害するような人間関係は、思い切って手放す勇気を持つべきだ。それは冷たい行為なのではない。自分の可能性を信じ、未来を切り拓くための、賢明な選択なのだ。

    習慣化の鍵:「5人の法則」で人生を彩る

    自分を大切にすることは、心地よい空間と前向きな人を選ぶことにも繋がる。それは、あなた自身の幸せだけでなく、あなたが出会う人々にもポジティブな影響を与える。自己成長を願うなら、まず身の回りの人間関係を見直してみよう。そして、あなたが心から「この人と共に成長したい」と思える人との関係性を大切にしてほしい。

    自分の思考の傾向を理解し、ネガティブな独り言をコントロールする。そして、付き合う人を選ぶ。このシンプルな二つの行動が、あなたの人生を根本から変える力を持つ。それは生まれ持った性格や運命ではなく、あなたが意識的に選択できるものなのだ。


    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。
    これは、哲学者ジム・ローンが遺した言葉だ。

    「あなたは、最も多くの時間を過ごす5人の人間の平均である。」

    これはとても有名な言葉なので、知っている人も多いはずだ。
    あなたの人生の質は、あなたが共に過ごす人々によって形作られる。より良い自分へと成長するために、今日、あなたの周りの「5人」を意識的に見直すことから始めてみてはどうだろう。それが、あなたの人生の軌道を好転させる確かな行動である。