• ネガティブな感情に悩んでいませんか?ブログ「思考の余白」では、脳科学や心理学の知識をヒントに、小さな習慣で自分を好きになる思考法を発信しています。

    運動

    Vol.01 プロローグ : 思考の余白
    Vol.01 プロローグ : 思考の余白 1024 1024 HAKU

    ※このブログは、2025年2月から私が自分を変えようと必死に向き合っていた時期のリアルな行動記録です。 自己肯定感は高いのに超ネガティブ思考という矛盾を抱えたまま、過去を振り返り試行錯誤しているため、話が急に小学生の記憶に飛んだりすることもあります。それも一つのリアルとして、楽しんでいただけたら嬉しいです。


    「最近幸せそうな人を見ると、その幸せを壊したくなるんだよね」

    この話を初めて友人にしたのは、確か2月の、暗く寒い日だった。
    その日は仕事が休みだったにもかかわらず、夜明けから腹痛で目が覚めてしまうほど体調が悪かった。なんとか朝のルーティンをこなし、子供を学校に送り出した後、胃の辺りをさすりながら近所の内科へと向かった。

    胃腸炎と診断され、薬を処方されたが痛みは一向に治まらない。
    原因が分からず、ただひたすらに前日の行動を振り返っていた。食事が原因じゃなかったとしたら、精神的なものかもしれない。そう思い、この数ヶ月の自分を改めて客観的に振り返ってみると、夫や仕事、子育てなど、身の回りのあらゆることに常にイライラしていたことに気づいた。


    毎日怒りに支配され、それを発散する何かを探している状態だった私は、自分自身に意識を向ける余裕なんて1ミリもなかった。

    そんな中、突然の激しい腹痛で、誰かの助けを借りなければいけないほど心細い状態になってしまった。ソファに横になりながら何となくLINEの友だちリストを眺め、子供がいない空間でゆっくり喋りたくて、一番仲の良い友人に電話をしていた。

    2時間ほど話しただろうか。会話の中で、私は冒頭の言葉を友人に言った。すると、彼女は静かにこう言った。

    「それって、幸せじゃない人が思うことだよ。」

    例えるならば、胃の痛いところにプロレスラーからエルボーを食らった感覚だ。「え?どういうこと?それヤバくない?」と、笑いながら精一杯のツッコミを入れたが、内心ものすごいショックを受けた。なにせ、20年来の付き合いで、どんな時も私の幸せを心から願ってくれるような彼女が、わざわざ残してくれた大切な言葉だ。

    その言葉は、そのままの意味だとわかっていた。この強烈なパワーワードが胸に突き刺さり、窓から見える晴れた空が、一瞬にして土砂降りになりそうな雲の色に変わっていくように見えた。

    この話をブログに書いたのは、彼女を悪者にしたいからじゃない。
    むしろ「彼女は私のために悪者になってくれたのだ」と、今この文章を書きながら、自然と涙がこぼれてきた。


    過去の私は、自分自身を信じることができなかった。
    毎日身勝手な感情に振り回され、些細なことでイライラし、周囲の誰かに冷たく当たってばかりいた。原因は自分だとわかっているのに、問題に向き合いたくなくて毎晩のようにアルコールに逃げていた。その結果、自分でも手に負えないほど最低な状態に陥っていた。

    定期的に来る負の感情もあった。仕事も家族も周囲の全て、みんな嫌い。ライフル銃を抱えて、手当たり次第そこら中打ちまくる。怒りが暴走すると、そんな風に周りが敵だらけに見えてしまうのだ。その結果、さらに自己嫌悪を募らせ、自分の首を絞め続けていた。沼にどっぷりハマるというより、浸かった状態で周りの様子をみながら、自分がいつでも戦闘体制になれる準備をしているタチの悪い人間だった。


    最初、友人から言われた言葉の真意が理解できなかった。
    私は周囲から「HAKUはいつもちゃんとしているよね」「しっかりしてるわ」「大したもんだ」と言われて育ってきた。ネガティブな言葉をかけられた経験がなかったため、周りの暖かい目や肯定的な言葉から、何の疑いもなく自分は幸せな人間だと勘違いしていた。しかし、現実はそうではなかったようだ。

    もし「あなたの人生のターニングポイントは?」と聞かれたら….
    鬼の速さで林修さんのモノマネをして「この時でしょ!」と叫ぶだろう。

    彼女の一言をきっかけに、私は心の中で問いかけ始めた。
    「私にとって、本当の幸せって一体何なのだろうか。」

    私の思考や行動が動き始めたのは、まさにこの瞬間からだ。答えのない問題を解き続けるような、正解や出口のない場所にいる夢を見ているようだった。向かう先が全然わからなかったにもかかわらず、不思議と怖くはなかった。


    そこから、私の「幸せ探し」が始まった。
    数ヶ月間、進路に悩む高校生のように、自分に合うものは何かを探し続けた。脳科学、認知行動療法、人間心理に関する動画や本を読みあさって得た知識を、日々の生活で試した。学んだことをノートに書き写したり、小さな目標を立てて達成感を味わうトレーニングも行った。すぐには効果を感じられなかったけれど、継続するうちに、心の景色に少しずつ変化が現れ始めた。

    私はバカなのではなく無知であったことを理解し、自分を責めることをやめた。
    そして、運動が脳に良いことを知り、筋トレやランニングを始めた。
    さらに、ドーパミンの「光と闇」を知り、お酒との付き合い方や考え方を変えた。
    そして、早起きを習慣にして、朝のゴールデンタイムを学びの時間に充てた。

    この小さな行動の一つひとつが、結果として、私自身にとても大きな変化をもたらした。


    約一年間の行動を続けた結果、大切なことに気づいた。世間の基準ではなく、自分の心の声に耳を傾け、目標に向かって行動し、日々成長を感じること。この方法こそが、人を幸せにする唯一の道なのだとわかった。

    以前の私は、ネガティブな思考でいつも頭の中がパンク状態だった。しかし学びと実践を繰り返すうちに、少しずつそのモヤモヤが解消され、心に「思考の余白」が生まれてきた。

    その余白こそが、新しいアイデアが生まれたり、予期せぬ発見があったりする大切なスペースなのだ。だからこそ、「思考の余白」を持つことで、私たちはもっと広い視野で物事を捉えられるようになる。感情に無鉄砲に反応するのではなく、一呼吸置いて、より賢い選択をすることができるようになるのだ。


    このブログでは、昔の私のように「変わりたいのに変われない」と悩んでいたり、自信を持てずにいる人へ、私の実体験から見つけた「思考法」や「行動のヒント」をシェアしていきたい。

    脳科学に基づいた思考の整理術、幸せを感じられる小さな習慣、そしてモチベーションを継続する方法。これらの知識が、あなたの人生をデザインしていく上での、ガイドラインになれたら最高に嬉しい。

    いくつになっても遅くはない。 変われる方法は、たくさんあるから大丈夫。

    未来は、あなた次第でまだまだ広がっていく。その先に広がる世界は、きっと想像以上に素晴らしい。自分を信じるという軸に基づき、幸せを感じ続けられるような毎日を歩んでいくことができるだろう。その軸を裏付ける仕組みをこのブログで発信していく。ぜひ、これからのあなたの成長へと役立ててほしい。

    Vol.02 ホメオスタシスを突破!人生の目的を見つける「根源的欲求」の言語化
    Vol.02 ホメオスタシスを突破!人生の目的を見つける「根源的欲求」の言語化 1024 1024 HAKU

    「時間がない。」「疲れることは極力したくない。」
    そう思って、いつも新しい行動を避けて過ごしていた。

    好きなYouTubeやNetflixは寝る時間を削ってまでも観るのに、運動や何かを学ぶことに対しては、暇なくせにその時間を一切使いたくなかった。なぜなら、以前の私には目的や目標がないくせに、仕事に行って帰るだけで毎日精一杯だったからだ。

    何か新しいことを始めたいと思うことは、何度もあった。しかし、それは子供の習いごとを増やすとか、ママ友との交流を深めるとかいうことではない。むしろ、これ以上仕事と子供のことで自分の人生を忙しくするのではなく、もっと自分のために忙しくしたいと強く願っていた。だが、その「何か」がわからず、ずっと満たされないまま過ごしていた。

    そんな時、ジョージ・レナード氏の本『達人のサイエンス』を手にした。この本で、私の行動を阻んでいた正体が、ホメオスタシスという現状を維持しようとする性質だと知ったのだ。これがあるから私たちは変わることができず、行動できないのだと理解した。

    脳科学が示す抵抗:ホメオスタシスの正体

    目的や目標がないから変われないし、変わらない。
    そう思った私は、次に別の本を手に取った。それは、マイクロソフト Wordの開発者による『やりたいことの見つけ方。』だった。この本には、人生の目的を見つけるための7つの質問が記されていた。特に最後の7つ目の質問には、時間をかけて向き合った。

    「7.君は何をしたいと思っている?どうなっていたいと思っている?」
    この問いに対する私の答えは、ノートに書き出した以下のことだった。

    • 筋トレを続けて健康的な身体を保ちたい
    • ランニングで距離を伸ばしたい
    • 毎日自分の成長を感じたい
    • 自分が楽しめることをしたい
    • 自分のためになる勉強をしたい
    • 人に頼られたい
    • 気の合う仲間を増やしたい
    • 初めての体験を増やしたい

    これらの願望は、全て「現状の私を変えたい」という強い内発的なエネルギーを秘めていた。つまり、ホメオスタシスという脳の抵抗に打ち勝つには、このエネルギーを論理的に言語化する必要があったのだ。

    ホメオスタシスは、私たちを生存させるための重要な機能だが、同時に成長を阻む最大の壁となる。これは、慣れた場所にいる心地よさから抜け出させない、脳の安全装置のようなものだ。

    この壁を乗り越えるには、「現状維持以上の強烈な報酬」が必要になる。例えるなら、脳を説得するための「最高のご褒美」を用意するようなものだ。そのため、脳に明確な「目標」という名の報酬を設定し、ドーパミンシステムを活性化させることが、行動経済学的な習慣化の基本となる。目的が曖昧だと、脳は「無駄なエネルギーを使うな」と判断し、ソファから立ち上がることさえ拒否してしまう。この「立ち上がれない」という体の反応こそが、脳からの「目的が不明確です!」という警告サインだったのだ。

    人生の目的を見つける問いと根源的欲求

    これらの答えを「根源的な欲求」「システム」「手段」の3つのカテゴリーに分けて整理した。何度も出てくる欲求だけを、ノートの次のページに抜き出して書き出す。そうすると、そこに書き出されたものこそが、自分の真の欲求そのものだと気づく。

    私の根源的な欲求から分かった人生の目的は、「自分の知識や体験を通して、たくさんの人の悩みを解決したい。そして今後も自己成長を感じられるような学びを増やし、行動し続けていきたい」ということだった。

    この目的が見えたのが2025年6月、朝の勉強を始めて2ヶ月が経った頃だ。
    当初、ブログを作るという考えはなかった。しかし、目的が明確になったことで、少しずつ頭の中で「自分の行動を通して、誰かに伝える」という具体的なイメージが浮かび上がってきた。その結果、7月中にそのアウトプットの構成を考え、8月中にブログをスタートさせることを決めた。

    目的が明確になると、脳は目標達成に必要な情報を自動的に選び出すようになる。これは、「目標」という名のフィルターを脳に装着した状態だ。ホメオスタシスによる現状維持の抵抗よりも、目標達成の報酬(ドーパミン)の魅力が上回るため、行動がスムーズになるのだ。

    行動変革の実現:目的がもたらす力

    ホメオスタシスという抵抗に打ち勝つには、その先にある「明確な目的」が必要なのだとこの経験から学んだ。目の前の行動が、自分の人生の目的にどう繋がっていくかが見えると、自然と身体は動き出す。

    それは、誰かに言われたからやるということではない。まさしく、自分の内側から湧き上がる、根源的な欲求に基づいた行動だからこそ、続けられる。この気づきは、個人の成長だけでなく、何かに挑戦する人たちにとって、新たな道を開く力になるだろう。あなたの行動は、あなただけの「根源的な欲求」から生まれる、最もパワフルな力なのだから。

    「時間がない」という言い訳は、突き詰めれば「心からやりたい目的がない」という自己認識の不足が原因である。自分の心の声に耳を傾け、真の欲求を言語化することこそが、ホメオスタシスという名の壁を打ち破り、行動への扉を開く鍵なのだ。


    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。 これは、アメリカの哲学者ラルフ・ワルド・エマーソンが遺した言葉だ。

    「人生とは、意識的に創造されるべき芸術作品である。」

    あなたの人生は、受け身で流されるものではない。ホメオスタシスという名の抵抗は必ずある。しかし、あなたの目的意識という名の情熱こそが、その壁を打ち破り、人生を創造するための最強の力となる。目的が明確になれば、日々の小さな選択も意味ある一歩に変わり、無駄な時間が消え、あなた自身を豊かにしていくだろう。

    Vol.04 ドーパミン依存から脱却する脳科学的アプローチ(1)
    Vol.04 ドーパミン依存から脱却する脳科学的アプローチ(1) 1024 1024 HAKU

    運動を始めたら、今度は脳の仕組みに夢中になった。
    アンデシュ・ハンセン氏の『運動脳』『ストレス脳』など、脳科学や神経科学の本を読み漁った。当時はまだ自分に自信が持てず、本の中に答えや救いを探していたからだ。

    過去のダメな自分を肯定したかったわけではない。

    「どうしてあんな状態だったのか?」「なぜあんな行動をとってしまったのか?」その根本的な理由を知りたかった。脳に操られ、目的もなく、毎日同じことの繰り返し。刺激を求めては、ネガティブな方向ばかり向いていた。そんなイライラしていた日々には、特別な理由があるのではないか。

    そう考え始めた頃だった。

    依存のメカニズム:「意志の弱さ」ではない脳の真実

    快楽の報酬を予測するドーパミンは、私たちを簡単に快楽の虜にするホルモンだ。
    食べること、お酒、ゲーム、買い物、ポルノ。これらの行動でドーパミンは簡単に分泌される。そして、それが繰り返されると、その快楽をまた味わいたいと感じ、何度も同じ行動を繰り返すように脳はプログラムされている。

    私の場合は、毎日のお酒によってドーパミンを分泌する神経回路網が、病的なまでに強固に構築されていることに気づいた。依存とは意志の弱さではなく、脳が過学習によって支配された状態なのだ。この制御不能な行動を、当時の私は「自分の意志が弱いせいだ」と思い込んでいた。しかし、それは単なる思い込みだった。この真実に気づくことこそが、長年の自己嫌悪から解放される鍵となった。

    負のスパイラル:報酬がストレスに変わる瞬間

    しかし、お酒を飲めば飲むほどストレスは増えていった。
    お酒を飲んだあとのデメリットが多すぎて、毎日最悪な気分だった。お酒を飲むとトイレの回数が増え、そのたびに睡眠が中断され、質の高い睡眠がとれない。寝不足はコルチゾール(ストレスホルモン)の分泌を促し、翌日のイライラに直結する。

    脳はお酒を「報酬」と記憶しているため、「ストレスを感じる→飲酒」という負のスパイラルを勝手に作り出す。意志の弱さではどうにもならない、脳の仕組みだったのだ。

    依存は、脳が報酬を過剰に学習し、その報酬がない状態を危険と認識することから始まる。お酒を飲んだ後のデメリット(寝不足、イライラ、後悔)を知っていてもやめられないのは、脳が「生存に必要な行動」だと誤って指令を出しているからだったのだ。

    解放の戦略:メタ認知による代替報酬への習慣化

    この仕組みを理解したことで、お酒という誤った報酬を、運動や学習という健全な報酬に代替すればいいとわかった。このメタ認知こそが、行動変革の第一歩となる。

    今ではたまに夫がお酒を買ってきて、冷蔵庫にストックしていても「私はいらない」とスルーできるようになった。この背景には、「脳に操られていた過去の私には戻りたくない」という強い気持ちがあるのはもちろんのことだ。

      運動や朝の学習が、まさにその代替報酬戦略であり、お酒よりも遥かに高いリターンをもたらしてくれた。

    自己肯定感の獲得:支配から自由へ

    過去の私は、意志の弱さを嘆き、自堕落な生活を何年も続けていた。

    しかし、脳の仕組みという論理を知ったことで、自己否定が自己肯定へと反転した。自分を責める必要はない。必要なのは、正しい知識と、脳を再教育するための行動だ。

    「自分はできないダメなやつだ」と諦めてしまうのはまだ早い。自分がとってしまうネガティブな行動に、まず疑問を持とう。これこそがまさにメタ認知のトレーニングとなる。

    (ドーパミン依存から脱却する脳科学的アプローチ(2)へ続く)

    Vol.05 ドーパミン依存から脱却する脳科学的アプローチ⑵
    Vol.05 ドーパミン依存から脱却する脳科学的アプローチ⑵ 1024 1024 HAKU

    前回のブログで触れたように、あの頃の私は、ストレス対策として毎日お酒に頼りきりだった。飲んでも満たされないのに、ただひたすらその繰り返し。現状維持をしているつもりもなかったが、気づかないうちに足元の地面は崩れ、そのまま沼に埋まりつつあるような状態だった。

    そんな中、茂木健一郎氏の『脳の話』で、ドーパミンの存在と仕組みについて、さらに深く理解することができた。

    ドーパミンには「光」と「闇」の側面がある。ドーパミンは、自己成長や達成感を感じられる「光」の側面を持つ一方で、人間の欲求を暴走させやすい「闇」の側面も持つホルモンなのだ。仕事や勉強で成果を出すのは難しいため、お酒やギャンブルといった「すぐ得られる快楽」に人間は流されやすい。これこそが、依存症の罠だ。

    依存のメカニズム:「意志の弱さ」ではない脳の真実

    気づけば私の周りの友人は、お酒でつながっている人ばかりだった。お酒を飲まない状態で会うことは、まずない。そのため、「お酒×美味しいご飯」、「お酒×会いたい人」というのは、私にとって人生の外せないキーワードだったのだ。

    この気づきを踏まえて、私はある本質的な問いに行き着いた。「自分を変えるには環境や付き合う人を変えるしかない」とよく言われているが、果たして本当にそうだろうか。お酒を完全にやめて、友だちと疎遠になり、その環境を自分が本当に求めているのかを考え直した。

    私は大好きな友人とお酒を飲みながら話したいことも、一緒に行きたいお店も沢山ある。お酒が人生の全てではないけれど、人生の楽しみになっている部分も多かった。だからこそ、依存を克服するためにすべてを断ち切るのは、根本的な解決策ではないと結論づけた。

    幸福の劣化を防ぐ:「制限」による代替報酬戦略

    仕事や勉強といった「すぐには結果が出ない、手間のかかる報酬」よりも、お酒といった「即効性のある報酬」を脳は優先的に得ようとする。この快楽を繰り返すことで、神経回路が強化され、自らの意志ではコントロールできない依存症の罠にハマるのだ。だが、お酒を完全に断つのではなく、ドーパミンの「光」の部分に焦点を当てることで、今より楽しめると知り、本で紹介されていたある方法を取り入れた。

    それは、ドーパミンがもたらす幸福感を劣化させずに長く楽しむために「制限する」ことだ。制限することで「楽しい」と感じる能力が復活し、幸福度や満足度がアップするという。

    そこで私は自分なりのルールを決めた。「お酒は週に2回まで」という、回数を制限しただけのシンプルなルールだ。週末に飲む約束やイベントがあると意識すると、平日は飲まなくても平気になった。使えるカードは週に2枚しかない。それをどう使うか。この「制限」という考え方一つで、行動が変わったのだ。

    支配からの解放:自己肯定感への習慣化 

    依存の原因は個人の意志の弱さにあるのではなく、脳の仕組みが関係している。そして、その仕組みを理解することで、私たちは自分をコントロールし、より良い選択ができるようになる。


    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。 これは、アメリカの哲学者ラルフ・ワルド・エマーソンが遺した言葉だ。

    「自分自身を信頼せよ。あなたの心の中にある、その聖域に頼るのだ。」

    「自分を変えたい。」そう思ったとき、まず自分の脳を知ることから始めてみよう。自分の行動を客観的に捉えることで、解決策は必ず見つかる。変われない自分を嫌わず、まず最初に、そんな自分に寄り添ってあげよう。

    Vol.06「怒りの遺伝」は嘘。BDNFとアンガーマネジメントで感情の連鎖を断つ
    Vol.06「怒りの遺伝」は嘘。BDNFとアンガーマネジメントで感情の連鎖を断つ 1024 1024 HAKU

    実家は5人家族なのだが、母以外は怒りのコントロールが苦手で、すぐに感情を爆発させる人間ばかりだった。私たちはそれを「遺伝だから」「血だから」と割り切り、直そうともしなかった。今でも、私以外の3人はこの考えのままだ。

    そんな環境の中、母は家族から理不尽なイライラをぶつけられても耐える人だった。姉から聞く話によると、感情のままに拳をテーブルに叩きつけるような父に対し、母は言い返すこともなかったようだ。子供の頃から私は、父が仕事のストレスを家の中で発散することや、それによって家族団欒の空気を壊していることに違和感は覚えず、「いつものことだ」と思っていた。

    そして、気づけば家族のその負の感情のバトンを、今は私自身がしっかり握っていた。その「怒りの役割」を今度は自分が担う側になっている。これは最悪な事実だ。

    習慣の呪い:「怒りの遺伝」の正体とBDNF

    脳科学や認知行動療法に関する本を読み進めるうちに、私は意外な真実を発見した。怒りやストレスといった感情は、「遺伝」ではなく、脳の習慣から生まれるというのだ。そして、特に運動にはストレスを抑える効果があり、怒りの暴走を防ぐという事実が判明した。

    アンデシュ・ハンセン氏の『運動脳』は、私の認識を大きく変えた。この本によると、脳の機能は生まれつきのものではない。後天的に変えていくことが可能だというのだ。運動によって、私たちは慢性的なストレスを感じにくくなる。ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を減らし、気分のムラやうつ状態を改善できる。

    さらに重要なのが、「BDNF(脳由来神経栄養因子)」というタンパク質だ。運動とBDNFの相乗効果は何年も前から注目されており、BDNFは脳の細胞を保護し、新しい細胞の成長を促す。神経細胞のつながりを強化し、細胞の老化を遅らせる効果がある。心拍数を上げる有酸素運動をすることで、このBDNFを大量に分泌させることができる。その結果、気分の落ち込みから自分を守り、うつ病を予防できるのだ。

    アンガーマネジメント:運動がくれる静かで力強い行動

    私はすぐにこの知識を、行動に移すことにした。怒りに支配される前に、怒りから逃げることを選んだのだ。家族に嫌な思いをさせたくない、職場の雰囲気を壊したくない。そして何よりも、これ以上自分で自分を嫌いたくなかった。

    私たち「イライラ組」には、運動習慣ゼロという共通点があった。その事実に気づいた瞬間、頭の中で点と点が繋がった。身体を動かさず、ただじっとしていたことが、怒りの暴走を許していた原因だったのかもしれないと腑に落ちたのだ。

    私は、多幸感をもたらすエンドルフィンと、BDNFを増やすランニングを掛け合わせ、少しずつ行動を重ねていった。ランニングを続けるうちに、走る行為そのものが、本当にストレスホルモンを抑えてくれるように感じた。嫌なことがあっても、走り終わった後は不思議と心が落ち着き、ネガティブな感情が薄れていくのだ。私はこの小さな感覚を大切にし、自らの脳を守るという強い意志を持つことにした。

    ニーチェの教え:遺伝の鎖を断ち切る自己決定

    この個人的な経験は、誰もが直面する課題にも応用できる。自分や周りの人々の行動や感情を、性格や相性のせいと片付けるのではなく、その根本にある脳の仕組みを理解することが重要だ。運動習慣がないことが、怒りやストレスの原因であるように、私たちの行動や感情は特定の習慣の欠如から生まれることが多い。

    ストレスを管理し、自己成長を促すための「運動」を実践できる習慣を身につけること。特に、ストレス解消に特化するなら、新しいスキルを学ぶよりも運動のほうが効果的だ。大切なのは、個人の遺伝や性格を責めることではない。健全な行動習慣を築けるような環境を、自分自身で整えることにある。

    結果、怒りから逃げるためのランニングは、私にとって単なる身体活動ではなかった。それは、長年抱え続けてきた「自分を信じられないこと」や、「遺伝だから」という諦めの思考から逃れるための、静かで力強い行動だった。

    私たちは、生まれ持った脳の構造を変えることはできない。しかし、その「脳の習慣」を知り、意識することで確実に変えていける。


    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。
    これは、ドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェが遺した言葉だ。

    「自己決定に際しては、他に誰もおらず、代わりの人間がいない、ということを考慮せよ。」

    遺伝や環境のせいだと諦めそうになったら、この言葉を思い出してほしい。私たちが自分を創るのは、与えられたものをどう使うか。その選択の連続なのだ。今日、あなたが何を学び、どう行動するか。その小さな決断こそが、運命の鎖を断ち切る、小さなきっかけとなり、大きな希望に変わる。

    vol.07 受動的な時間からの脱却:「内発的動機」で人生の主導権を握る
    vol.07 受動的な時間からの脱却:「内発的動機」で人生の主導権を握る 1024 1024 HAKU

    私には、年の離れた姉がいる。大学を卒業するまでの間、私の人生は姉が監修・仕切っていた。

    姉は、両親よりも私の進路に対して現実的で、影響力のある存在だった。やりたいことも夢もなかった私にとって、自分で道を切り開くより、姉の言う通りに進路をなぞる方が確実で安全だった。

    そして何より、そう選択する方が悩まずに済む、一番「楽」な方法だったのだ。

    大学に入るまではよかった。ドラえもん的存在から守られ、のび太のように特に努力せずに生きてこられた。しかし、大学3年生頃から周囲の様子が変わり始めていた。同じ年の子は就職活動のため、スーツ姿で授業を受けたり、キャンパスへ来たりしていたのだが、それに気づいても私は全く焦ることもなく、勉強した記憶がほとんどないほど遊び倒していた。

    結局、なんとなく時間は過ぎ、就職どころか「そもそも無事に卒業できるのか?」という切実な問題に直面した。4年の秋頃からやっと焦り始め、結果毎日卒論に追われることになった。

    家族依存と虚無感:外部のレールに乗った23年間

    そんな私を見ていても、姉は「就活どうするの?」とは言わなかった。それどころか私の家族は、私だけ過保護に育てながらも、当時最も重要だった人生の岐路(就職)には一切口出しをしないという、極めて矛盾したスタイルだった。

    父は末っ子の私をすごく可愛がっていたので、手元におきたかったのだろう。卒論が終わり、気だるそうにパソコンで求人サイトを検索する私を見て、「HAKUは就職しないで家にいたらいいんじゃないか」と父から言われた。「それはさすがにマズイだろう」と、逆にこっちがドン引きし、焦るきっかけになったのを今でも覚えている。専業主婦の母は、なぜだろう。就活には全く関与してこなかった。

    そんな中、祖父がICUに入るほど身体を悪くし、入院退院を繰り返していた。家族の話し合いの末、我が家で最期を過ごすことが決まり、祖父、両親、私、姉との五人暮らしが始まった。

    私は祖父が大好きで、幼い頃からとても懐いていた。夏休みに従兄弟が遊びに来ていても、祖父から一番愛されているのは私だと信じていた。小学生の頃、姉の前でわざと祖父に「お姉ちゃんと私、どっちが好き?」と聞くような性格の悪い妹だったのだが、姉に気を遣いながらも「HAKUが一番だなぁ」とビールを片手に照れながら言ってくれる祖父の姿が大好きだった。

    そんな祖父があと数ヶ月しか生きられないということを母から伝えられ、就活がさらにどうでも良いものとなり、考えることを完全にやめた。できる限り祖父の近くにいたかったのだ。同時に、祖父が家にいる限り、まだ自由が手に入るとさえ思っていた節があった。

    覚醒の瞬間:内発的衝動が人生の転機を作る

    姉としては、妹がこのまま何もしないのはまずいと思っていたのだろう。中途採用に有利になるようにと、IT系のスクールを探してくれた。もちろん私は行きたいわけではなかったのだが、面接で「卒業後は何をしていましたか?」と聞かれた場合、答えに窮してばつが悪いことはわかっていた。そのため、姉から提案された時はすんなり言うことを聞き、当然お金も出してもらった。だが、真剣に勉強していたかと言うと、全くしていなかったのは言うまでもない。

    祖父が他界したあとに、「この会社に入って仕事したい!」と強く惹かれる求人を1件見つけた。勤務場所は東京だ。受けるなら引っ越しせざるを得ない。実家暮らしで、社会に出て働いたこともない私には、想像もできない未来だった。

    「さて、どうする?」ここから私の人生は一変する。

    求人へ応募する前に、両親と姉を説得するという最大の難関が待っていた。「どうしてもここじゃなきゃ嫌だ、ここで働くためならなんだってやる!」と、その情熱を、履歴書ではなく、まず家族に訴えるところから就活を始めたのだった。

    今でも覚えている。心惹かれた瞬間の、心臓がバクバクする感覚を。生まれて初めて湧き上がった「内発的な衝動」が、私を「受動的なレール」から引きずり出した瞬間だった。

    私はこの時、「内発的動機」に突き動かされていたことを、歳を重ねて初めて理解した。行動してきた中で読んだ、沢山の本の知識を得て初めて、あの時の突き動かされるような衝動が何だったのか、今では明確に言語化できるようになった。

    ドーパミンの真実:受動的な時間は脳を殺す

    内発的動機とは、「やりたい」「面白い」「好き」という、自分の内側から生まれるやる気のことだ。外発的動機とは、「親や上司に褒められるから」といった外部からの働きかけによって湧き出てくるやる気のことである。

    学生時代まで、私は「外発的動機」でしか物事に取り組んでこなかった。やりたいこともなく、言われたことをその通りにする方が楽だったからだ。しかし、生まれて初めて、自分の中から湧き出て、溢れてとまらないほどやってみたい仕事を見つけた。

    結果的に内定をもらい、家族の協力のもと東京に引っ越せた。全てうまくいくような流れを作れたのは、自分から生まれた「内発的動機」が大きかったからだ。一番行きたい会社に就職が決まったことも嬉しかったが、それ以上に、姉の言うことよりも自分のしたいことを初めて優先できた体験が、ものすごく大きな付加価値となった。

    それまでの、家族のいうことを聞いているだけの状態は、本当の意味で生きていない受動的な時間だった。やりたいこともなく、大事な時間をただ溶かしていた頃は、身体は動かせているのに、脳は死んでいるような状態だったのではないだろうか。

    星 友啓氏の「全米トップ校が教える自己肯定感の育て方」という本には、成績や他人の評価、お金やステータスといった外発的報酬は内発的満足度とは対照的で、おまけの報酬にすぎないと書かれていた。これらは短期的には強いが、長期的に依存していると心身ともに悪影響を及ぼすそうだ。

    内発的動機による行動は、ドーパミンを内側から持続的に分泌させ、フロー状態(集中しているが時間が経つのを忘れる状態)を生み出す。一方、外発的動機は、ストレスホルモンであるコルチゾールを伴うため、疲弊しやすく、長続きしない。遊んでドーパミンは出ていたものの、すぐに消えてしまい持続しなかったことが、私が学生時代に感じた虚無感の正体であり、ドーパミンの枯渇だったと言える。

    行動変容の鍵:あなたのやる気は、外から?中から?

    もしやりたいことがわからない人や、今の状態が合っているかわからない人は、一度立ち止まって考えてみてほしい。その物事に対するやる気が、「内発的動機」か「外発的動機」かを見つめ直してみるといい。

    「親に言われたから」「世間体が良いから」といった外発的動機で動いている限り、あなたの人生の主導権は他人にある。

    親や周りにはちょっと理解されないかもしれないが、「これをやってる時が最高に楽しい!」という感情こそが、あなたの人生を動かす真の内発的動機となる。自己分析を通じて、様々な気づきを得るだろう。


    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。 アメリカの哲学者ラルフ・ワルド・エマーソンが遺した言葉だ。

    「最も大事なことは、自分の心の声に耳を傾け、その声に従って生きることだ。」

    あなたの内側から湧き出る「やりたいこと」は、一体何だろうか。その炎こそが、人生の困難を乗り越える確かなエネルギー源となるだろう。

    vol.10 「ワーキングマザーの習慣化」現状維持の壁を破る短期集中の行動哲学
    vol.10 「ワーキングマザーの習慣化」現状維持の壁を破る短期集中の行動哲学 1024 1024 HAKU

    私は今、「ゼロ100思考」という自らの特性と向き合っている。
    産後、2つの資格(当時働いていた職場で活かせる植物系の資格と、今の仕事で使う医療系の資格)を取得したのだが、その過程は常に極端だった。

    「ゆっくりマイペースで勉強しよう」なんて考えは全くない。
    目標は最短での取得。取れないならやらない。取れないかもしれないなんて、そもそも考えない。やるからには必ず合格してみせる。そんな私を見て、夫がよく言うツッコミを思い出す。「また出たよ、ゼロ100思考!」。それでいい。ゼロだろうがヒャクだろうが、短期間で集中して挑まねば、資格取得は不可能なものだと私は理解できている。

    なぜ「短期」という言葉に、こんなに魂を燃やす必要があるのか?
    それは私のライフスタイルに密接に関わっている。

    ワーキングマザーとホメオスタシスの壁

    今は子育て中の身で、とにかく時間がない。
    子供が少し手を離れたかなと思っても、全くそんなことはない。

    子供が「怖い夢を見た」と夜中にグズグズしながら起きた時に、その理不尽な理由で起こされるのは毎回私で(夫は別室で寝ている。それを望んだのは私だが、腹が立つ)、学校で食べるお弁当を、朝早く起きて仕事に行く前に作るのも私なのだ(夫も学校の連絡アプリを入れているけど、お弁当の日さえ知らない)。

    色んな理由で起きる日々のタスクが多すぎて、自分のやりたいことを実行する為に使える時間が圧倒的に足りないのである。仕事で使える取得したいスキルという「正当な理由」があったとしても、自分の時間を増やすのは本当に難しい。

    おそらく、行動する前にホメオスタシスも全力で働いていたのだろう。

    そんな時、会ったこともない地獄の閻魔様に、こんな風に凄まれるのを想像してしまう。

    「では2ヶ月以内に資格を取得できるのであれば、勉強をスタートさせなさい。ただし仕事や家事、休日の家族とのお出かけも今まで通りやった上で、その隙間で時間を作れるのであればやってみなさい。あなたがやりたいことなので、家族を犠牲にしてまで時間を作ろうなどと思わないように。期間内に資格を取得できなければ…..あなたの舌を抜きますよ?」

    閻魔が舌を抜くなんて、あまりにも非現実的な妄想に「はい、承知いたしました…」とドキドキしながら、目を合わせず答える私がいる。完全に妄想の中での話なのだが、ある意味現実的でもある。

    とにかく時間がない中で、短期間で集中することが求められる。
    そしてその行動を、なぜやらなければいけないのか、家族に説明する必要も出てくる。「資格の勉強をしてくるから、図書館に行ってくる。これは仕事で使う大事な資格だから、勉強が終わるまで家には帰れない。その間、子供の世話と家のことよろしく」なんて、思っても口が裂けても言えない。あくまで私は「資格を取らせていただく側」なのだ(…なんで?)。

    少し前置きが長くなってしまったが、幸いにも資格は何とか期間内に無事に取り終えた。今回のこと以外にも、子育て中の親(特に母)にとって、「終わりよければ全て良し」としなければ、腑に落ちない問題が山ほどあるのだ。

    短期集中と最少行動量の科学的根拠

    そんな時期を終え、また波がやってきた。
    健康やメンタルに良いと、自己流で始めた運動や筋トレだ。資格取得とは種類が異なり、やった分だけ身になる分野の行動である。

    毎日どんなトレーニングが良くて、何が自分に合うのかを、得意の短期集中ルートで探し続けた。パーソナルに通っていたわけではないので、メニュー作りには一番苦労した。教科書のない問題を解くのは初めてだったので、何が正解か全くわからなかった。

    プロからすると、1ヶ月で効果が出るものなどないし、そもそもそんな考え方はやめた方がいいと言われるかもしれないが、こんな科学的データもある。

    早稲田大学などの研究でわかったのは、わずか40秒間だけでも、全力で動くトレーニングをすれば、全身の筋肉が大きく活動し、十分な効果を生む「最少の時間」があるということだ(出典)。また、筋トレ初心者は、筋肉が刺激に慣れていない分、短期間で効果が出やすいことも知られている。私は独断と偏見を可能な限り使い、とにかくやってみた。

    その中で1週間で効果がでたものがあった。それは冨永愛さんのカエル脚腹筋だ。最初は辛かったが、数日で効果が出たのでモチベーションが上がり、毎日続けることができた。それ以外のトレーニングで1ヶ月間効果が出なかったものは切り捨て、ジムのトレーナーがお勧めするものなど、信憑性のある人の発信で本当に効きそうなものだけを試し続けた。

    自分だけの最短ルートメニューを作り、毎月メニューの見直しと更新を行い続けた結果、3ヶ月で友人や家族から「痩せたね」と言われるほど、ボディラインが変わっていた。

    成長マインドセット:失敗を恐れない軌道修正

    牛尾 剛氏の『世界一流エンジニアの思考法』という本には、「検討するより早く失敗した方がいい」と書かれている。挑戦→失敗→振り返り→修正。このサイクルが早いほど価値があるようだ。私も渦中はこの考え方だった。まず、身体機能的にこのトレーニングができるかどうか、試すところから始めた。身体の変化に出にくいものは切り捨て、何が悪かったのかフィードバックし、トレーニングメニューを修正する。

    安全を考慮しつつ、私は筋トレの内容を妥協せず、成果に繋がることだけをやりたかった。なぜなら、できるものだけを何となく続けるのは意味がないと思っていたからだ。

    ちなみに参考にしなかったのは、妊娠中の体重を含めたであろう「⚪︎ヶ月で20kg減量」という発信だ。出産経験がある私からすれば、妊娠前の体重ではなく、子供がお腹にいる状態の増加分まで含めた数字を基準として成果とするのは、フェアではない。そうした信憑性に欠ける発信は、意識的にシャットアウトしていた。

    何を考え、どれを参考にするかは人それぞれだが、正しい情報を選び、適度にフィードバックして修正していく。これも継続する上で必要な考え方だと私は思う。

    継続の本質:行動哲学と自己肯定感

    筋トレを習慣化する上で大切なのは、まず負荷をかけず行動すること。
    そして、どんなに小さくても身体の変化を見つけること。その繰り返しが、やがて確かな自信となる。できないものに執着しなくてもいい。自分で決めた期間内に効果がないなら手放してもいい。

    私の行動がすべて正解だとは思わないが、間違ったやり方を何ヶ月も続けるよりも潔いのではないだろうか。短期間で集中してやる資格取得のためではないので、間違っていたなと思ったらすぐに軌道修正ができるのが、筋トレを含め、体を動かす運動が持つ最大のメリットだと思う。


    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。
    これは、イギリスの自然科学者、チャールズ・ダーウィンが遺した言葉だ。

    「強いものが生き残るのではない。変化できるものが生き残るのだ。」

    このダーウィンの言葉こそ、あなたの短期集中・軌道修正の哲学を最もよく表している。変化を恐れず、常に実験を繰り返す行動が、人生の答えを導くのだ。積み重ねられた行動データこそが、誰にも奪われない自信となる。

    vol.11 「ホメオスタシス」を破る習慣化のスイッチとメタ認知術
    vol.11 「ホメオスタシス」を破る習慣化のスイッチとメタ認知術 150 150 HAKU

    「時間がない。」「疲れることは、極力したくない。」

    そう思って、いつも新しい行動を避けて過ごしていた。好きなYouTubeやNetflixは寝る時間を削ってまで観るのに、運動や何かを学ぶことに対しては、暇なくせにその時間を使いたくなかった。

    このエネルギーの偏りが、そのままお酒に流れていた。
    毎日お酒は飲めるけど、休肝日は1日も作れない。

    飲酒後の運動は非効率だと感じていたし、飲まない日を運動に充てる気もなかった。要するに、ゼロ100思考でドーパミンに操られていた過去の私は、何がなんでも運動を拒否していたのだった。そもそも仕事自体肉体労働だというのに、帰ってから身体を動かすなんて、そんな疲れるようなことを誰がやるんだよとさえ思っていた。

    しかし、勉強するうちに運動のメリットを痛感することが増えた。
    「自分を信じたい」という強い願いと同じくらい、運動が自分に多くの良い影響をもたらすことがわかっていた。だからこそ、とにかくやらなければいけないと心に強く思うように変わっていたのだ。

    では、実際にどう習慣化に成功したのか。ここからはその話をしよう。

    週に2回はお酒をOKとしていたため、ほとんど週末に飲み会の予定を入れていた。そのためカギとなったのは、飲む約束がほとんどない平日だ。仕事が終わって家に着いた瞬間が、私にとって一番危険な時間帯だった。あの瞬間は、まるで何かの区切りの合図のように、無意識にお酒を求めていた。この習慣的な「一息」をどう排除するかが勝負だった。

    習慣化の土台:筋トレとアルコールの非効率な組み合わせを避ける

    お酒は週2回まで。その代わり、残りの5日間は「飲まない日」と決めた。

    いつしか、仕事と筋トレをセットで考えるようになった。仕事がない日は朝のランニングをすることで、結果として、毎日何かしらの運動をこなすのが当たり前になっていた。ここで最も重要だったのは、筋トレの日にお酒を飲むことは絶対にしないと決めたことだ。

    実は、オーストラリアのRMIT大学の研究で、筋トレ後のアルコール摂取が、筋肉の合成(筋タンパク質合成)を最大で37%も抑制することが明らかになっている(出典)。プロテインを飲んだとしても、アルコールがその効果を大幅に妨げてしまうのだ。一方、ランニングの日はお酒を飲んでもOKというルールにした。このように、行動の組み合わせで非効率な結果を避けるように組み立てたのだ。

    行動経済学の応用:習慣化を成功させるスイッチと紐づけ

    仕事と筋トレを習慣化するために参考にしたのが、戸田 大介氏の『継続する技術』と、齋藤 孝氏の『本当に頭がいい人の思考習慣』という本だ。

    『継続する技術』で特に参考になったのは、「楽に動けるタイミングを知る」という点だった。人が最も行動しやすいのは、何か別の行動を起こす前か後だという。例えば、入浴の前に筋トレをする、起床後にランニングをするといった具合だ。

    すでに毎日行っている行動の前後に、新しく継続したいことを紐づけておくと、継続率が上がる。さらに、実行時間になったら通知が来るようリマインダーを設置するのが良いとされていた。

    私の場合、通知やリマインダーは特に設定しなかった。
    シンプルに「18時になったら筋トレをする」と決め、帰宅してから筋トレまでの10分間を準備時間とした。この時間にバナナを食べて水を飲み、インスタグラムで好きな筋トレ&ランニング女子のストーリーズを見ていた。頑張っている人を見て、勝手に勇気づけられる状態を作り、自分を盛り上げ続けた。

    そして、『本当に頭がいい人の思考習慣』では「自分がオン状態になれるスイッチを作る」と説かれていた。私は帰宅中に聴いている曲を、筋トレ中に聴くものへと変えた。家に着くまでの間に、徐々にやる気のスイッチを温めながら帰宅したのだ。その結果、「仕事 → 帰宅中の音楽 → バナナと水とSNS → 筋トレ」という流れを作り上げ継続することができた。

    意志力に頼らない:ホメオスタシスとメタ認知の活用

    新しい習慣を始めると、心の中で様々な声が聞こえてくる。
    「今日は疲れたからもういいや」「あー、面倒くさい」「明日頑張ろう」。

    そんなネガティブな思考は、実は脳が安定を求めて発している信号だ。脳は変化を嫌い、いつものパターンに留まろうとする。ここで大切なのが、その声に耳を傾けすぎないこと。「そういう風に考えている自分がいるな」と客観的に認識するだけでいい。

    そうすることで、感情に振り回されず、冷静に状況を判断できる。ホメオスタシスが働いている状態を、メタ認知することで楽になる。この思考法こそが、「意志力」だけに頼らない習慣化の鍵だ。

    結局のところ、根性論ではどうにもならないのが人間というわけだ。

    行動こそすべて:無駄な思考の余白をなくす戦略

    新しい習慣を邪魔するのは、ネガティブ思考が働く「暇な時間」だ。私はそのネガティブな時間が何分も何時間も続くタイプだったので、筋トレをサボりたくなるような暇な時間を、徹底的になくすよう心がけた。

    仕事が終わったら筋トレ、仕事がない日の朝はランニングといったように、行動の前に余計なことを考える余地を与えない。こうすることで、ダラダラする時間を遮断する。

    「あと30分後、1時間後にやろう」と考えても、時間が近づくほど実行したくなくなるのが人間の脳だ。思考を遮断するイメージで、嫌だなと思ったらすぐに行動に移す。脳内に「面倒くさい」が蔓延する前に、行動でネガティブ思考を食い止めるのだ。


    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。
    これは、哲学者ジャン=ポール・サルトルが遺した言葉だ。

    「人間とは、自分の行動の相である」

    あなたがどういう人間であるか、どんな人間になるかは、頭で考えていることや理想ではなく、あなたが意識的に「何をするか」という行動の総体によって決まる。つまり、「ランニングを習慣にしたい」と願うことではなく、「今、玄関のドアを開けて外に出る」という行動の選択こそが、未来の自分を形作るのだ。

    無駄な思考の余白を埋め、まずは行動でスイッチを入れよう。
    あなたの望む幸せは、いつだって、あなたの次の「一歩」にかかっている。

    vol.13 「ランナーズハイ(脳内麻薬)」で自己肯定感を上げる行動変容術
    vol.13 「ランナーズハイ(脳内麻薬)」で自己肯定感を上げる行動変容術 150 150 HAKU


    自分のことが信じられず、他人の幸せばかりが目に映る日々。

    そんな自分から脱却したくて、私は「即効性のある快楽」を脳科学に求めた。 それが、最強の脳内麻薬とも言われる「エンドルフィン」だ。

    このホルモンは「脳内麻薬」と呼ばれ、モルヒネに似た鎮痛作用と幸福感をもたらすという。とにかく時間がない。自分のことが嫌いな時間を減らしたいという一心で、手っ取り早く自分の脳内にエンドルフィンを分泌させたかったのだ。

    脳内麻薬:エンドルフィンを出すための多様な方法

    エンドルフィンを分泌させる方法は、運動や心の状態、食事など、いくつかあるらしい。脳関係の本でいくつか見たが、詳しく書いている本に出会えていなかったので、AIで調べたところ、以下のようなパターンがわかった。

    • 運動: ウォーキング、ジョギングなどの有酸素運動
    • 感情や心理状態: 大いに笑う、感動する、恋愛感情
    • 強い信念: 困難な状況でも「きっと大丈夫」と信じる
    • 食事や感覚: 甘いもの、スパイス、性行為
    • リラクゼーション: 深呼吸、入浴、瞑想

    ランナーズハイと苦手克服がもたらす成長

    エンドルフィンについて調べるうちに、私が最も心惹かれたのは「ランナーズハイ」という言葉だった。ちょうどそのタイミングで、母親の本棚に西東社編集部により出版された「人生を変える言葉2000」という本があり、その中に書かれていた、マラソンランナー高橋尚子さんの言葉に強く心を動かされたのだ。

    「明日のジョーのように、戦い終え、そのまま頭の中が真っ白になっていくほど走れたら本望なんです。」

    マラソンランナーとしての高橋尚子さんのことはあまり詳しくないため、どんな想いからこの言葉を言ったのかはわからない。それでも、この言葉から多量のエンドルフィンが分泌されているのかもしれないと、直感的に感じたのだ。

    友達と会ったり、音楽を聞いたり、甘いものを食べたりしても、それは一時的な幸せでしかなかった。私が求めていたのは、苦しいけれど、それを乗り越えることで成長を実感できる「何か」だった。それが、今まで経験したことのない「ランナーズハイ」になることかもしれないと感じた瞬間だった。

    ランニングが変えた、私の脳と心

    小学生の頃、マラソン大会はいつもビリに近い順位だった。呼吸が乱れ、心臓が破裂しそうなほどバクバクする上、口の中が血の味がし始めるのが嫌で嫌で仕方なかった。年に1度しかないイベントだったのだが、私にとって長く走り続けることは、生きている中で一番つらい運動でしかなかった。

    しかし、その苦手意識が強い分、克服できたらその成長は計り知れないとも思えた。死ぬほどやりたくないけど、走れる自分を見てみたい。できなかったことができるようになったら、どれほどの効果があるのか、試してみたかったのだ。

    4月からランニングを始め、2ヶ月後には2kmだった距離が、5kmまで走れるようになった。この変化は、体力だけではなかった。

    走り終える5km地点に近づく頃には、どんなに嫌なことがあっても「まあ、大したことじゃないか」と思えるようになっていた。ランニングを終え、クタクタの体でシャワーを浴びてコーヒーを飲むと、今までにはなかったポジティブなエネルギーが湧き出てくるのを感じられた。

    明らかに、脳内が良い方向に変わっていたと実感したのだ。

    行動変容の鍵:習慣化とポジティブな連鎖

    ランニングは、ただのつらい運動ではなかった。私の心をコントロールするためのツールだったのだ。走ることで、脳内にはポジティブな感情を生み出すホルモンが分泌される。体が動けば、心も自然と上向きになることがやっとわかった。

    私のように、エンドルフィンを出すための行動が、もしかしたら苦手なことかもしれない。しかし、やってみなければわからないことは、世の中には無限に存在する。やってみて、「やっぱり嫌」ならそれでいい。

    正解は一つじゃない。数学だって、解き方は色々ある。でもきっと、答えはあなたの中にしかない。いろんなことを試しながら、幸福感のホルモンを分泌させてみよう。


    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。
    古代ギリシアの哲学者アリストテレスが遺した言葉だ。

    「重要なのは何が与えられているかではなく、与えられているものをどう使うかだ。」

    私たちは、生まれつきの才能や環境に恵まれなくても、今持っているものをどう使うかで、新しい自分を創り出せる。ランニングが私にとってのツールだったように、あなたにもきっと何かが見つかるはず。大切なのは、「やってみる」という小さな一歩なのだから。

    自分の脳を意識し、刺激を増やしてみよう。

     

    vol.15 行動を加速させる「言語化」で習慣化を成功させる方法
    vol.15 行動を加速させる「言語化」で習慣化を成功させる方法 HAKU

    目次


    職場のDr.から運動の必要性や、実行した結果のポジティブな効果について具体的に教わっていた。しかし、私は「へぇ、そうなんですね」と、どこか他人事のように聞き流すことを1年も続けてしまっていた。行動の必要性は頭では理解しているのに、何からすべきか分からない。その思考が、私をずっと立ち止まらせていた。

    そんな中、仕事中に行動を言語化することの重要性を痛感した出来事があった。それは、ふとした瞬間に職場のスタッフに「筋トレと有酸素運動の違いって何ですか?」と質問された時だった。頭の中にイメージはあったものの、論理的に言葉で説明できなかった。「筋トレは筋肉をつける運動で、有酸素は歩いたり走ったりする運動かな」と、普通すぎる答えしか返せなかった。

    この時の私は、すでに筋トレやランニングを始めていたにもかかわらず、これほど簡潔な回答さえできない自分が恥ずかしく思えた。

    質問に答えたものの、仕事を終え帰ってからも自分の中で腑に落ちないモヤモヤが残った。私は昔から人に説明することが大の苦手で、話した後に相手に伝わっていないことを察するたびに、自己嫌悪に陥るタイプの人間であることを思い出してしまった。

    そこで、帰宅後すぐにインターネットや本で筋トレと有酸素運動の違いに加え、それぞれのメリットを調べ、専門用語を避けて誰が見てもわかるよう手書きのメモにまとめ、それを翌日そっと彼女に渡したのだった。

    「なんとなく」を言語化する力

    この行動は、彼女のためだけではなく、私自身のためでもあった。

    ぼんやりしていた知識を、言葉にすることでハッキリと整理され、頭の中にちゃんと定着する感覚があった。つまり、誰かに教えるというアウトプットが、新しく知った情報というインプットを、もっとしっかり覚える手助けをしてくれたのだ。そして、この経験がきっかけで、私は運動や脳科学の学びをノートにまとめる習慣を始めた。これは、メタ認知(自分を客観視する力)を高めるのにも役立ったと思う。


    行動と知識の習慣化ループ

    「誰かに何か聞かれたときに、すぐに答えられるようになりたい。」

    この気づきが、私を動かす原動力になった。得意なことをただ頭で理解するだけでなく、人にわかりやすく説明できるほど深く知る。この決意が、私にとっての自己成長の大きな一歩になった。

    行動すると知識が増えて、知識が増えるとまた行動したくなる。
    この好循環が、私の脳内をどんどん変えていった。

    朝の時間を使い、本や動画で学んだ内容を、自分の言葉で表現する練習を繰り返した。この習慣のおかげで、考えがまとまり、仕組みを理解できるようになった。それから「自分は説明できる」という自信もついてきた。これは、認知行動療法の核となる「思考→行動→感情」の良いループが機能し始めた証と言えるだろう。


    言語化が自己成長と思考に開く道

    この経験から、私は確信した。言葉にする力は、コミュニケーション能力の向上だけではない。自分自身の考えを明確にし、自信に繋がるための強い力となる。「なんとなく」を言語化することで、行動の理由が明確になり、より建設的な選択が可能になる。そして、それが次の行動へと力強くつながっていくのだ。

    このブログは、私自身が学びを深めるための「アウトプットの場」でもある。
    自分の過去の経験や、そこから学んだことを言葉にすることで、私自身がもっと深く自分を理解し、成長を感じられるようになった。そして、その気づきを皆に伝えることで、同じように悩んでいる誰かの役に立てるとしたら、それに勝る喜びはない。


    あなたの成長を加速させるヒント

    もし、あなたの中に「なんとなく」とか「モヤモヤ」した気持ちがあるなら、それを言語化するところから始めることを勧めたい。ノートに書き出してもいいし、信頼できる誰かに話してみるのもいい。言葉にすることで、その「なんとなく」の正体が明らかになり、次の行動が驚くほど明確に見えてくるようになる。

    知識を得るだけでなく、それを誰かに伝えられるレベルまで深く理解すること。
    この意識を持つだけで、あなたの学びの質は格段に向上する。それは、あなたが自身の人生のあらゆる領域で、より良い判断を下すための、確かな指針となるはずだ。

    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。
    これは、ドイツの詩人・劇作家であるヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテが遺した言葉だ。

    「知識だけでは十分ではない。それを適用しなければならない。意欲だけでは不十分ではない。それを実行しなければならない。」

    行動を続けながら、言葉で「思考の余白」を埋めていくこと。
    それが、あなたの人生の意欲を実行へと変える前向きな習慣になっていく。あなたの成長は、あなたの行動、そして言語化の積み重ねの先にも必ず存在する。

    vol.17 朝活の習慣化 : 夜更かし依存を断ち切る「脳のゴールデンタイム」活用術
    vol.17 朝活の習慣化 : 夜更かし依存を断ち切る「脳のゴールデンタイム」活用術 150 150 HAKU


    目次


    「毎日をどう幸せに過ごすか。それは、夜の過ごし方が重要だ。」
    いまの生活に変わる前、私はずっとそう思っていた。

    休みの日は、お酒を飲みながら夜更かしをしたいところだが、子供はいつもの時間に寝かしつけていた。そのため19時59分まで飲めるだけワインを飲み、20時になったら寝る支度を始めていた。

    まだまだ飲みたい気持ちをグッと我慢して、21時頃ようやく子供と寝るのだが、たいてい真夜中に目が覚めてしまう。トイレに行きたくて時計を見ると、まだ深夜だ。用を足し、そのまま眠ってしまえばいいものを、眠気まなこでここぞとばかりにNetflixを再生する。 「やっと自分の時間が取れた」という、ささやかな満足感と引き換えに、明け方また浅い眠りにつく。 そんな週末を、私はずっと繰り返していた。

    朝早くに起きた子供に無理やり起こされ、3時間ほどの睡眠で朝ご飯を作り、洗濯物を回す。寝不足でイライラしながら、いつまでたっても起きる気配のない夫を起こし交代する。今度は私が休む番だと仮眠を取り始めるのだが、結局昼近くまで寝てしまい、せっかくの休日が台無しになる。そんなことが度々あった。

    今ならわかる。その日が幸せだと感じるかどうかは、休みだからと夜の生活をだらだらするのではなく、すべて朝の過ごし方で決まるのだ。

    朝活の秘訣:時間の優先順位を変えるだけ

    私は運動する時間を最優先にし、次に朝の勉強と家族との時間を大切にするようになった。とはいえ、自分の時間は、家族が起きる前の朝にしか捻出できない。そこで私は、休日であっても夜21時までには寝て、朝早く起きてランニングと勉強をする生活を行動に移した。

    この転換を可能にしたのは、夜活のデメリットと朝活のメリットを、脳科学の視点から理解したからだった。

    脳のゴールデンタイムを制するメリット

    「朝の2〜3時間は脳のゴールデンタイム」

    「朝の1時間は夜の3時間に匹敵する」

    これは多くの人が知っている情報かもしれないけれど、実際にやってみると本当にその通りだと実感できる。朝の2時間でやりたいことを全部やると、満足感と達成感が同時に得られた。

    これに対し、夜に自分の時間を確保しようとすると、子供がなかなか寝なかったり、夫の帰りが遅かったりするだけで、家族と過ごす最中に「私だってやりたいことがあるのに」とイライラしてしまうことになる。しかし、朝にすべてを済ませてしまえば、そうした感情は意外と湧かないものだと気づいてしまった。

    朝の時間を確保するには、前日の夜の過ごし方が重要だ。朝6時に起きるためにも、夜更かしは厳禁。お酒を飲む日でも、「夕方18時まで」と時間を区切って決めてしまう。このように、翌日の行動にフォーカスすることで、ついつい飲みすぎて翌朝起きられないという事態を避けることができる。

    次の日の「走る楽しみ」や「勉強をする目的」があるから、理性的になれる。自分のやりたいことを明確にすることで、スムーズに行動を変えられるようになれたのだ。

    思考の余白:朝活が創る自己成長の源泉

    朝型生活のメリットは、単に時間を効率的に使えることだけではない。それは、自分自身と向き合う「思考の余白」を生み出すこと。誰にも邪魔されない静かな時間の中で、自分の好きなことをやる。その時間こそが、私にとっての自己成長の源泉であり、日々のイライラから解放されるための最高の時間にも繋がった。

    自分を満たすことで、周りの人にも優しくできる。それは、自己犠牲の上に成り立つ優しさではなく、自分を大切にした結果として与えられる優しさなのだと気づいた。

    あなたの幸せに繋がる「朝起きる喜び」を見つける

    早起きの目的は人それぞれだ。皆同じことをする必要はない。自己成長や目標達成に繋がるような、朝起きる喜びを見つけてみてほしい。そして、ほんの少しずつでいいから、そのための行動を起こせばいい。


    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。
    これは、アメリカの著述家であるベンジャミン・フランクリンが遺した言葉だ。

    「早寝早起きは人を健康に、裕福に、賢明にする。」

    朝の時間に自己投資をする習慣は、あなたの未来の時間を生み出す。
    今日の夜から、ほんの少し早く寝ることから始めてみよう。

    vol.21 「睡眠負債」が招く感情の乱れ:自己受容を高める運動習慣
    vol.21 「睡眠負債」が招く感情の乱れ:自己受容を高める運動習慣 150 150 HAKU

    私自身、かつて慢性的な睡眠不足に陥っていた。
    運動習慣がなかった頃は、ベッドに入っても2〜3時間眠れず、夜中に何度も目が覚めるのが当たり前。子供が大きくなっても、風邪やアレルギーで、鼻が詰まったり咳き込む音に神経を尖らせてしまい、眠りたいのに眠れない日々が10年以上続いていた。

    夜中に目が覚めると、昼間の失敗が頭を占拠し、心臓の鼓動が耳元まで響く。 夢の中でさえ仕事に追われ、出口のない閉鎖空間を彷徨うような悪夢。そして、休まる暇もなく残酷に朝はやってくる。

    その結果、私の心は常に限界まで張り詰めていた。 今思えば、それが睡眠不足のせいなのか、生理前の揺らぎなのか、あるいはその両方だったのか。

    正体のわからないイライラに振り回され、些細なことで声を荒らげ、物に当たってしまう。そんな醜い自分を直視するのが怖くて、夜のお風呂で声を殺して泣くのが、当時の私の精一杯の浄化だった。子供に辛く当たり、感情の矛先をモノに向けてしまう自分。 そのすべてを自分の弱さのせいにしていたあの頃は、ただ涙を流すことしかできなかった。

    自己嫌悪からの脱却:睡眠不足と脳のゴミ

    そんな最悪な毎日から抜け出すため、私は脳科学の知識をつけ、お酒の回数を減らし、運動習慣を取り入れた。すると、ある変化が起きた。ぐっすり眠れるようになったのだ。夜中に目が覚める「中途覚醒」が減り、気づいたら朝だったという日が徐々に増えていった。

    以前は、子どもを寝かしつけた後、眠れないのでスマホや動画を見るのがルーティンだった。しかし、運動を始めてからは身体が疲れているせいか、一緒に寝落ちすることが増えた。今まで2〜3時間かかっていた入眠時間が、大幅に短縮されたのだ。

    ある日、子どもから「最近、朝いつも優しいね」と言われた。その言葉は、私に大きな喜びを与えると同時に、深い罪悪感も与えた。自分が眠れていないことで、周りにどれほどネガティブな影響を与えていたか、ハッとさせられたのだ。今まで感情をぶつけてきたことを思い出し、胸が締め付けられる思いだった。

    脳科学が示す真実:睡眠負債が引き起こす認知機能の低下

    なぜ、私は自分をコントロールできなかったのだろう?その答えを、脳科学から学んだ。

    加藤 俊徳氏の『脳の名医が教える自己肯定感』という本によると、7時間以上の睡眠が推奨されている。ジョンズ・ホプキンス大学の研究では、「6時間以下」の睡眠の人たちが、最も老廃物が脳に溜まっていたという。つまり、睡眠不足は脳の清掃不足を引き起こし、思考がゴミで溢れてしまうのだ。

    さらにオックスフォード大学の研究では、長期的な睡眠不足が脳を収縮させるという結果が出ている。そして、脳が収縮するとさらに睡眠の質が落ち、より脳が縮んでいくという悪循環に陥るらしい。

    この事実を知ったことで、私が感情をコントロールできず考え方を変えられなかったのは、意志の弱さの問題ではなく、頭の中がゴミで溢れ(睡眠不足やストレスによるネガティブ思考、ワーキングメモリの過負荷など)、脳のパフォーマンスが低下していることも原因であることがわかった。私はこのゴミの山を、少しずつ排除することを決意した。

    運動習慣と体温変化:睡眠の質がもたらす行動変容

    眠りに焦点を当て、脳のゴミを捨てて、余白を作り出すために意識と行動を変えていくことにした。眠れるようになると、朝の思考がクリアになり、穏やかな気持ちで一日を始められる。これは、単に気分が良いだけでなく、日中のパフォーマンスに直結する。睡眠という基本的な行動が、私の自己管理能力を飛躍的に高めてくれたのだ。

    運動と睡眠の質の研究から、定期的な有酸素運動が入眠をスムーズにする効果は実証済みだ。メカニズムの核心は、運動後の体温変化にある。運動で一度深部体温を上げると、その後、熱を放出しようとして体温が急激に下がる。この急降下が入眠を促すトリガーとなる。実際、運動習慣がある人は、寝付きにかかる時間が短くなるというデータは多数存在する。

    さらに、アメリカ国立睡眠財団が支援した研究では、定期的に運動を始めた不眠症患者は、そうでない患者に比べて「睡眠の質が改善した」と答えた割合が約65%も高かったというデータがあるのだ。

    自己受容への投資:行動変容の第一歩

    私たちは、外部の刺激や環境に反応するだけの存在ではない。
    自らの内側、特に脳の仕組みを理解することで、より良く生きるための戦略を立てることができる。感情の波に飲まれるのではなく、その原因と向き合い、根本から解決する。質の高い睡眠を確保することこそ、その戦略の土台となる。


    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。
    これは、古代ギリシアの哲学者ソクラテスが遺した言葉だ。

    「世界を動そうと思ったら、まず自分自身を動かせ。」

    睡眠という、まず自分が動かすべき土台を整えること。そして、運動という行動があなたの脳のゴミを清掃し、自己受容を高める。健康的な脳こそがあらゆる成長の基盤であり、どんな困難な状況にあっても冷静に思考し、最適な判断を下すための不可欠なツールとなるのだ。

    vol.22 「悪い習慣」を断つ!ドーパミンとミラーニューロンで習慣化を成功させる方法
    vol.22 「悪い習慣」を断つ!ドーパミンとミラーニューロンで習慣化を成功させる方法 150 150 HAKU

    誰にでも、「やめたい」と思っているのに、どうしてもやめられない習慣があるはずだ。
    私にとってのそれは、食べ過ぎ、度を越したお酒、そして終わりのないSNSのスクロール。 欲望を極限まで満たしたはずなのに、あとに残るのは心地よい充足感ではなく、冷え切った自己嫌悪と、出口のないモヤモヤだけだった。

    頭ではダメだとわかっているのに繰り返してしまうのは、脳の「ドーパミン」が大きく関係している。ドーパミンは、何かを達成した時や快感を感じた時に分泌され、その行動を「報酬」として脳に強く記憶させる。その結果、悪い行動も含め私たちはその快感を再び求め、行動に依存し、自分のことが嫌いになっていく。

    しかし、このループから抜け出すことは可能だった。

    悪い習慣:人生のエネルギー漏れを塞ぐ行動経済学

    スコット・アラン氏の『GREAT LIFE 1度しかない人生を最高の人生にする方法』という本を読んで、ハッとさせられた。私たちは日々、膨大なエネルギーを消費して生きている。そんな中、悪い習慣を断つことは、決して自分を律するだけの苦行ではないのだ。

    悪い習慣とは、人生というバケツに開いた「穴」そのもの。せっかく貯めたエネルギーが、知らぬ間にそこから漏れ出している。 この「穴」の正体が、意志の弱さではなく脳のドーパミンというシステムにあると知ったとき、視界が一気に開けた。

    こうした脳の仕組みを味方につけて、私は一つひとつ、自分の「悪い習慣」を解体していくことにした。

    まずは、食べ過ぎについて。ストレスが溜まると、無性にジャンクフードやスイーツに逃げたくなる。ボトムスのボタンを外すほど食べてしまった後、あとに残るのはただ重たい自己嫌悪だけだった。生理前の抗えない衝動は、幾度となく私の決意を無力化させてきた。

    だからこそ、力ずくで自分を縛るのはもうやめた。「絶対に食べない」という禁止は、かえってその食べ物への執着を深めてしまう。脳の仕組みを考えれば、それは戦略ミスでしかないと気づいたから。

    身体に良いものなら、たまには食べ過ぎてもいい。 ジャンクフードや激辛料理は「3ヶ月に一回の贅沢」として、あえて「ゆるい余白」を作る。自分を厳しく律するのではなく、手綱を緩めながら賢く付き合っていく。

    次に、SNSとの付き合い方になる。今までは朝起きてすぐにスマホを手に取り、SNSのタイムラインをただスクロールする日々だったが、その代わりに体を起こしてコップ一杯の水を飲み、軽いストレッチや運動に充てるようにした。

    他人の華やかな日常と自分を無意識に比較し、時にはネガティブな動画に心を削られる。そんな情報のノイズで疲弊するのをやめた。

    特に、この「入れる情報を選ぶ」という意識。これが私の毎日をガラッと変える大きなきっかけになった。

    寝る前のひとときも、SNSの内容を「自分のモチベーションを押し上げてくれる投稿」だけに絞った。徹底的に情報の取捨選択を行うことで、私の脳は少しずつ、前向きなエネルギーを取り戻していった。

    モチベーションの科学:ミラーニューロンが習慣化を加速する

    寝る前に見ていたのは、毎日努力を続ける2人、kento_lifeworkさんとkidou_vlogさんのアカウントだった。

    彼らのひたむきな姿を見て、やりたいことをやるために、今ある時間を有効的に使おうと強く決意した。この情熱を失わないため、やる気がない時ほど彼らの投稿を見るようにした。それが、私のモチベーションを常に維持してくれる、最高の燃料となった。

    そしてもう一人。気づくとつい目で追ってしまうのが、@jiajiaさんの投稿だった。運動、学び、遊び、ワインやピザを楽しむことなど、彼女が生き生きと人生を謳歌している姿を見ると、自分の心も元気になる。自分よりもずっと年下の彼女から、沢山のポジティブなエネルギーをもらっていた。

    実はこれ、脳科学的に理由がある。

    人間の脳には「ミラーニューロン」という神経細胞がある。これは、他人の行動を見たときに、まるで自分がその行動をしているかのように反応する不思議な細胞だ。誰かが頑張っている姿を見ると、自分の脳も「頑張ろう!」という信号を出すようにプログラムされているらしい。

    つまり、活動の前に彼らの投稿を見ることは、自分の脳にとって「目標達成」のための予行練習になっていたのだ。彼らのポジティブなエネルギーを、無意識のうちに自分のものに変えていた。

    こうした意識を続けるうちに、早く休んで明日に備えようという気持ちが自然と芽生えるようになった。その結果、「今すぐ寝よう!」「今から始めよう!」と、行動への切り替えが格段に速くなり、毎日早めの睡眠を意識する生活が、徐々に定着していった。

    小さな習慣が自己肯定感と自信を創り出す仕組み

    悪い習慣をなくすことは、決して苦行ではない。それは、人生をよりスムーズに、豊かにするための戦略的なメンテナンスのようなものだ。

    自分を信じて行動し続けるために、悪い習慣を見つけ出し、少しずつでいいから変えていく。その積み重ねが、やがて大きな自信となる。


    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。 
    それは、古代ギリシアの哲学者ソクラテスが遺した、こんな言葉だ。

    「満たされない欲望を追求しつづける生活は、網の破れたバケツに水を汲み続けるようなものだ。」

    悪い習慣は、心の穴を埋める一時しのぎの行為だ。 その穴を塞ぎ、自分のやりたいことという名のバケツを満タンにするために、今日からできる小さなことを見つけて始めてみよう。

    あなたにとって、成長を妨げている「悪い習慣」は何だろう?

    vol.23 「過去の呪縛」を断つ!DMNを止めて今に集中する自己受容の習慣化
    vol.23 「過去の呪縛」を断つ!DMNを止めて今に集中する自己受容の習慣化 150 150 HAKU

    目次


    私は今までずっと、変えられない過去に縛られて生きてきた。というよりも、長い間、自分のことを意識的に目に見えない「過去」という鎖に繋いで生きてきた。

    何かやりたいことがあっても行動に移すのをためらい、新しい人との交流も避けてきた。「それが一番楽で安全な生き方だ」と思い込み、いつも自分の範囲内でしか行動していなかった。

    心の奥底には、いつまでも消えない不甲斐ない記憶が、水を変えずに放置していた水槽のように、重い沈殿物となって澱んでいた。

    そんな私に変化をもたらしたのが、苫米地 英人氏の『頭のゴミを捨てれば脳は一瞬で目覚める』という本だった。この本には、未来が良くなっていれば、過去も現在も最高になると書かれていた。運動や勉強を始めて、この思考を取り入れたことで私は少しずつ変わっていった。

    「未来の自分が良くなるか悪くなるかが、今の自分次第だとしたら?」

    そう考えると、未来の最高の自分を作るために、今できることに集中して行動することができた。辛く暗い経験をこれからも増やし続け、自分のことを嫌いになりたくなかった。

    私がこれから変えていきたいのは、自分を信じられるような行動をとること。 そのために、今の自分にできること、やるべきことは、泥臭くたって何だって、すべてやってやるつもりでいた。

    正直に言えば、この時の私は「わらをもすがる思い」でしかなく、自分を救ってくれるそのわらを、ずっと探し続けているような状態だったのかもしれない。

    過去の呪縛の解放:未来が過去の意味を書き換える

    過去の出来事に対する感情は、私たちの脳に深く刻み込まれてしまう。特にネガティブな経験は、あたかも現実で起きているかのように、何度も脳内で勝手に反芻される。これは、脳が危険を回避するために、嫌な出来事を強く記憶する性質を持っているからだ。そのせいで私たちは、いつまでも過去の呪縛から抜け出せないのだ。

    大切なのは、そのループを断ち切ること。
    過去を無理に忘れようとするのではなく、未来を良くすることで、過去を相対化することが出来る。

    未来が良くなれば、今の自分は「最高の未来に向かって進んでいる途中」とポジティブに捉えられる。すると不思議と、過去の嫌な出来事も、「あの経験があったからこそ、今の私がある」と感謝すらできるようになる。つまり、未来への希望が、過去の意味を書き換えてくれるのだ。

    この過去の呪縛から解放される思考術の核心は、「今」に集中することなのである。

    ナイキの可視化:「小さな成功体験」が未来を創る

    ランニングを習慣にして2ヶ月ほど経った頃、NIKEのRUNというアプリを入れて、走る距離や時間を可視化してみた。記録して1ヶ月経つ頃に「これ最近始めてさ…」と何気なくアプリを見せると、夫はアプリの画面をスクロールしたりタップしながら「今月、これだけ走っているじゃん」と教えてくれた。

    私はその日走った距離と時間がわかればいいと思っていたのだが、今までの総距離を知った途端、「こんなに走っていたんだ!」と、思わず声が出るほど嬉しくなった。その日その時の「今」に必死だった小さな積み重ねが、いつの間にか大きな地層のように積み上がっていた。その事実は、過去の不甲斐ない自分をまるごと肯定してくれるような、確かな『自分への信頼』に変わった瞬間だった。

    過去の出来事は変えられない。けれど、その意味を決める未来なら、今この瞬間からいくらでも作り変えていけるそのために、「今」に集中できる行動を見つけ、実行することが必要となる。自分を嫌っていたからこそ、その穴を埋めるように、自分にとって良いと思える行動にひたすら集中した。

    必死に手を動かし続けたその先で、気づけば手にした結果は、想像していたよりもずっと大きく、私の世界を塗り替えていた。

    脳科学:DMNを今で満たす習慣化戦略

    それでも過去に引き戻されそうになったら、専門的な本をパッと開いて読んだり、複雑な計算問題を解いてみたり、強制的に「今」に集中できる何かを自分で用意することも大切だ。

    過去のネガティブな記憶が呼び起こされるのは、脳の「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」という機能が関わっていると言われている。これは、ぼーっとしている時や何もしていない時に活性化し、過去の反省や未来の不安といった思考を巡らせる働きだ。

    だからこそ、意識的に脳を「今」に集中させる必要がある。

    普段の生活中、過去を思い出してモヤモヤ、イライラしてきたら、自分が大切にしている理念を書いた手帳をこっそり見るようにしている。そして、そのために今何を考えなければいけないのか思い起こす。その結果、意識は過去ではなく「今」に向かう。これにより、自然と頭の中は未来に向けて「今すべきこと」に集中できるようになる。

    未来がよくなる行動を今から少しずつ始めて、小さな成功体験を増やし、過去を思い出す脳のスペースを狭くしてみよう。そうすれば、あなたの脳は、過去を振り返る暇もないほど「今」と「未来」でいっぱいになるはずだ。

    今に集中することこそ自己受容のスタートライン

    過去の上に成り立っている現状を「今はこれで良い」と受け入れる。
    「ああするしかなかった」と過去の自分を受容することで、今に集中できる。この集中こそが、私にとっての成長だった。過去の自分の全てを受け入れることは、とても勇気がいることだ。

    私もそうだったので、それは痛いほどわかる。

    しかし、新しい行動を起こし小さな成功を積み重ねるたびに、あなたの脳は未来に向けた希望で満たされていく。この意識こそが、自分を信じるための行動に繋がり、そして、その先の未来をより良いものに変えるのは「今の行動」なのだ。


    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。
    これは、古代ローマの哲学者マルクス・アウレリウスが遺した言葉だ。

    「未来を心配するな。心配は、未来を創る今の力を消耗させるだけだ。」

    未来を心配するよりも、「今」に集中すること。それが、あなたの人生を切り拓く確かな道となり、この瞬間の行動こそが、あなたを最高の未来へと導く習慣と変わるのだ。過去はもう、終わった話だ。過去を断ち切り、未来のために「今」を生きよう。

    vol.26 感情バイアスを乗りこなす「思考の訓練」と習慣の力
    vol.26 感情バイアスを乗りこなす「思考の訓練」と習慣の力 150 150 HAKU

    運動が日常の心地よいリズムとして習慣化し始めた頃。 私は、5月に幕張で開催される「THE BEACH 2025」というイベントに、友人と行く予定を立てていた。

    最高のコンディションで、爆音の中、砂浜で踊り狂う。

    その瞬間をイメージして積み上げてきたトレーニングは、日ごとに熱を帯び、私の準備はこれ以上ないほど完璧だった。
    ところが、イベント前日の夜に届いたのは「イベント中止」のメール。
    先に現地入りしていた友人は、お金も時間も無駄になったと、ひどく落ち込んでいる様子だった。

    ところが、イベント前日の夜に届いたのは「イベント中止」のメールだった。先に現地入りしていた友人は、お金も時間も無駄になったと、ひどく落ち込んでいる様子だった。

    一方、私はまったく逆のテンションだった。「どうしよう?どこ行く?何する?」と、むしろワクワクしていた。なぜなら、イベントが中止になった分、遊ぶ時間が増えたと考えることができたからだ。結局、翌日は急遽プランを書き換え、豊洲エリアで、2人で気の向くままに食べ歩きを楽しんだ。

    ネガティブ感情をチャンスに変える行動経済学的思考

    以前の私だったら、間違いなく絶望の淵に立たされていたはずだ。 友人と共に「お金も時間も無駄にした」と嘆き、その苛立ちを家族にぶつけ、周囲の空気まで最悪に染め上げていたに違いない。

    ところが、この時の私は自分でも驚くほど、真逆の思考の地平にいた。

    なぜなら、2ヶ月間積み上げてきたトレーニングの価値は、イベントの有無に関わらず、私の肉体と精神に刻まれていると知っていたからだ。 運動を通して、私の脳はすでにポジティブな回路へと再編されていたのである。

    この出来事の後に読んだ、岡崎 太郎氏の『億万長者のすごい習慣』という本に、「起きてしまったことは変えられないのだから、気持ちを切り替えて次の行動に移る」という考え方があった。それは、今回の私自身の経験と重なり、とても腑に落ちた。

    物事に良いも悪いもない。
    良くも悪くも、どう考えるかは自分次第だ。

    起きてしまったことを変えられないのであれば、なおさら意識して別の方向に切り替えることが大切になる。イベントは中止になってしまったけれど、この日感じた行動と思考の変化は、私にとってとても有益な体験であった。

    脳科学:気持ちの切り替えと「感情バイアス」の仕組み

    気分や感情の切り替えが、実は私たち自身の脳の機能に深く関係している事を知っているだろうか?

    脳には、物事を良いか悪いか、ポジティブかネガティブかで判断する「感情バイアス」という仕組みがあるらしい。これは、私たちが生き延びるために進化の過程で身につけた機能で、危険を察知したり、リスクを回避したりするのに役立つものとなる。

    しかし、この感情バイアスがネガティブな方向に偏ってしまうと、些細なことでも「最悪だ」と感じたり、過去の失敗をいつまでも引きずることになる。せっかくの人生を、このまま無駄にしてはならない。

    そこで役立つのが、この「気持ちを切り替える習慣」だ。これは脳の感情バイアスを上手にコントロールするトレーニングとなる。

    たとえば、ネガティブな出来事が起きた時、まず一呼吸おいてこう考えてみる。
    「この出来事から学べることは何だろう?」
    「この状況でも、楽しむ方法はないだろうか?」

    こうやって意識的にポジティブな問いを自分に投げかけることで、脳は新しい解決策や可能性を探し始める。ネガティブな感情でいっぱいだった頭の中に、空間が生まれる。これこそがまさに「思考の余白」であり、新しい風が吹き込むような感覚なのだ。

    思考の余白:良い習慣が人生にもたらす自己成長

    運動が私に与えてくれたように、良い習慣は、思わぬところであなたの思考を変え、人生を好転させてくれるものとなる。それは、毎日5分の瞑想かもしれないし、寝る前の読書かもしれない。あるいは、朝起きて最初に窓を開けて、新鮮な空気を吸い込むことかもしれない。

    どんな小さなことでも、それが「あなたにとって良い習慣」であるなら、必ずあなたの心と脳に良い影響を与える。なぜなら、習慣が行動を、行動が思考を、思考が感情を変えるという認知行動療法のループを作り出すからだ。

    「気持ちの切り替え」を習慣化することで、あなたの脳はネガティブな情報をシャットアウトし、ポジティブな情報を優先的に集めるようになる。この思考の再プログラミングこそが、自己成長の最大の加速装置なのだ。

    今、あなたが続けようとしている「良い習慣」は何なのだろう?
    きっと継続するうちに、それは未来のあなたを助けてくれるものに変わるだろう。


    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。 古代ギリシアの哲学者アリストテレスが遺した、こんな言葉だ。

    「我々は、繰り返し行うことの集大成である。それゆえ、優秀であることは行為ではなく、習慣なのだ。」

    良い習慣を続けることで、感情の波に飲まれない冷静な自分を築くことができる。
    そして、それはやがてあなたの人生そのものを、柔軟な思考と前向きな気持ちに満ちたものに変えてくれるものに、必ずなるはずだ。

    vol.27 仕事と育児に追われるあなたへ。脳のゴールデンタイムを見つける方法
    vol.27 仕事と育児に追われるあなたへ。脳のゴールデンタイムを見つける方法 HAKU

    目次


    「時間がない。」

    「自分の時間」なんて、今の私には夢のまた夢。 子育てや仕事に追われ、そう諦めていた私でも、この数ヶ月で人生を変える習慣を見つけることができた。

    それは、朝に時間を「創る」こと。 最初から完璧を求めたわけじゃない。何度も試して、ようやく私にとって一番心地いい「朝4時」という時間を見つけ出したのだ。

    夜9時にはベッドに入り、朝4時に起きる。

    たったこれだけのシフトで、私の日常には驚くほど穏やかな余裕が生まれた。

    時間の作り方:朝のゴールデンタイムを「見つける」思考法

    「時間がない。」が口癖になっていた頃、私は少しずつ変わろうとしているタイミングだった。そんな私は時間を少しでも作ろうと、家事の効率を上げたり、移動時間を減らしたり、必死になってスキマ時間を探していたが、いつも何かに追われている感覚から抜け出せなかった。

    しかし、ある時、考え方が180度変わった。
    時間は誰かに与えられるものでも、苦労して捻出するものでもない。すでにある時間の中から、自分の意志で「見つける」ものなのだと悟った。

    その答えが、朝だった。子どもが寝静まり、夫も眠っている早朝。誰にも邪魔されない、私だけの静かで穏やかなひととき。

    この静寂こそが、私にとっての「思考の余白」だった。誰のためでもない、自分だけの時間。その価値を、私は今まで知らなかったのだ。この自己投資の時間こそが、日々のイライラを解消する武器となった。

    脳科学が証明する朝活の力と感謝の習慣

    「早起きのメリット」は、科学的にたくさん証明されている。
    私が何より実感したのは、ストレスが減ったことだ。これはもう、お金では買えない価値だと悟った。

    リチャード・カールソン氏の『小さいことにくよくよするな』という本を読んだ時、「人間はどれだけ忙しくても、毎日自分の時間を取らないと不満を感じる生き物だ」といった内容に、深く納得した。朝の2時間が、まさにその不満を解消してくれる余白の時間になっていたのだ。

    また、朝は脳が一番クリアな状態だと脳科学でも言われている。朝起きてから3時間は、脳のパフォーマンスが最も高い「ゴールデンタイム」である。この時間に何をインプットするかで、その日の集中力や生産性が決まる。

    さらに、ひすい こたろう氏の『人生が変わる朝の言葉』には、「朝起きると時間を有効に使えるようになって、人生の目的が明確になる」と書かれている。まさにその通りで、朝の時間は私に心のゆとりと、次にやるべきことを明確にしてくれた。

    毎日、世界では10万人以上が亡くなっているという。
    そんな中で、目が覚めて一日をスタートできるのは、奇跡のようなことだ。そう思うようになってから、朝早く起きること、そしてその時間で何をやるか目的を決めること、そして毎日感謝して起きることを習慣に取り入れた。感謝の気持ちで一日を始めると、その日一日がポジティブな気持ちで過ごせるようになった。

    「なんとなく」から「本気」へ変わる習慣化戦略

    仕事と育児を両立する中で、自分の時間を作るなら朝しかない。やらなければいけない家事ではなく、自分にとって意味のあることに朝の時間を使いたかった。

    最初は漠然とした目的だったと思う。5分のストレッチが習慣化した後に、運動、脳科学、朝の習慣など興味のあることをひたすらノートに書き込み、調べてインプットし続けた。

    しばらくすると、この「なんとなく」の行動がだんだん「本気」に変わっていった。朝勉強しないと、なんだか一日が物足りなく感じてしまい、「ちょっとでいいから勉強しようかな」と、体が突き動かされるようになった。

    なぜ、これほどまでに続けられたのか。 それは、朝を義務ではなく「純粋な楽しみ」として、最優先の予定に入れていたからだ。

    寝る前に「明日の朝に楽しむリスト」を予約しておく。 「第1位、2位、3位」と順位をつけ、ワクワクしながらリストを書き出す。

    「明日の朝、これが待っている」 そう思いながら眠りにつくことで、朝、布団から出るのが「辛い行為」ではなく、「楽しみへの入り口」へと変わったのだ。

    楽しみがあるから朝起きられる、起きる目的があるから毎日続く。
    行動と習慣の作り方は、誰かに教えてもらうものではなく、結局のところ自分の中にしか答えがない。

    この「楽しみ」を仕込む戦略こそ、行動経済学における「プロスペクト理論」の応用だ。人は損失回避を強く望むため、寝る前に「楽しい時間」という報酬を確保しておくと、朝寝坊による「報酬の損失」を避けようと体が自然と動くようになる。


    最後に、私自身がこの習慣を続ける上で大切にしている言葉を一つ贈りたい。
    それは、フランスの哲学者ベルクソンが遺した、こんな言葉だ。

    「行動は、思考を形にし、習慣は、その行動を不動のものにする。」

    「時間がない」と悩んでいるなら、まずは自分のための時間を「見つける」ことから始めてみてほしい。それが次第に習慣となり、やがてその時間がとても有意義なものへと変わるはずだ。